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2006年
更新履歴は2006年8月17日時点でブログに引継ぎました。
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2006年
8月14日(月)
(更新)バッハのオルガン・コラールBWV602,BWV633,BWV704,BWV706を入れました。同じコラールと使った曲二つづつなのでつなげちゃってもかまわないかもしれません。BWV706はほとんど通常のコラールみたいな曲がセットになってます。
8月9日(水)
(更新)バッハのオルガン小曲集よりBWV709
定旋律が装飾型なのでソプラノも十分楽しめます。このシリーズのオススメ度は横着して一律に○一つにしてしまいましたがこの曲なら二つでもよかったかもしれません。
 ブリラントやらトリルやらうまくやらないと様にならないので工夫して下さい。9小節目のトリルが難しいと思います。mp3では一応普通どおりにしましたが少々物足りない気がします。19小節目の最後のトリルはターンを付けてみました。直前に32分音符の走句があるのでこの方が流れがよいと思います。
8月8日(火)
(更新)バッハのオルガン小曲集よりBWV620
ソプラノとバスがカノンになっています。中声部同士も良く似た音形でカノン染みているため、二重カノンのように響きます。変化音が多く和声の交代が活発なのでやはりテンポを速くするのは禁物です。のんびりのんびりやるのが一番です。
 ヨハネ受難曲では第2部冒頭と第37曲に使われています。
8月7日(月)
(更新)バードの5声のイン・ノミネ第5番
これでバードのイン・ノミネ・シリーズは完結です。やる気が出るのは4番とこの5番でしょうか。4番は一度取り上げているので今度はこれと目論んでいます。暮れに出せるかどうかは微妙なところですけどね。
 バードはどの曲も全体を幾つかに分割して異なる動機を用いてつないでいくやり方でした。イタリアのカンツォン様式に定旋律をかぶせたみたいな感じです。でも部分毎に一休みして他のテンポに切り替えることはないので最初のテンポのとり方が重要になりますね。5番も最初をゆっくりし過ぎると間が持たなくなる恐れが出そうです。
8月6日(日)
(更新)オルガン小曲集よりBWV637
バッハのフィグーラの実例によく紹介される曲です。最初に指摘したのはシュヴァイツァーだったと思います。アルト、テノール、バスそれぞれが全く異なる動機を用いてコラールの内容を音形化しています。バスの減7度降下音形はアダムの失楽園を現しています。同時に明白な十字架音形になっているのはおそらく後のキリストによる新しい契約を暗示しているのでしょう。アルトとテノールは滅びを表現しています。冒頭から変化音の連発で旋法とか調性とかがなくほとんど無調に近いのでまさに混沌そのものです。2小節目だけでGisを除く11音が登場します。
 ほとんど1音ずつ和音が変化するみたいな感じなのでテンポはかなり遅めにすべきでしょう。気分から言っても8フィートがお勧めです。摩訶不思議な音の流れを体験できます。
8月5日(土)
(更新)オルガン小曲集よりBWV619BWV643
この曲集はコラールそのものに対位法的和声的な装飾を施しただけでそれ以上の拡張はしていません。従って一つ一つはとても短いです。この二つの曲は一つの動機を徹底的に駆使する形で作られていますのでペダルも割りと忙しい。総譜が1枚2枚で収まってしまうのでパート譜は不要でしょう。
8月4日(金)
(更新)ストロッツィのカプリッチョ第2番
 全体は4つに分かれています。第1部(C 1-46)第2部(C 47-60)第3部(3/2 61-97)第4部(C 98-100)。
第1部と第2,4部は拍子は同じですが、最少音価が異なるのでテンポは後者の方が遅くなります。第3部は速いテンポにしますが、音価が長いのでゆっくりに感じるでしょう。悩むのは第3部から第4部へのつなぎ方でしょう。滑らかにやるためには第3部の最後は少しリタルダンドをかけたいところです。
 元は鍵盤曲でしかも厳密に声部を分けた書き方をしていないので細かいところでは異論が出る可能性があります。これは結局解釈の問題ですので厳密に詰める事は出来ないでしょう。
ストロッツィのリチェルカータ第1番
 カプリッチョとは違って一繋がりなので部分部分でまとめるやり方は出来ません。しかもカデンツが来るかと予想すると肩透かしになる箇所が多く、掴みどころがないのが厄介です。主題が4つ、冒頭でいきなりまとめて出てきます。4重フーガではありません。あとは複数の主題がかたまりで扱われたり、一つ一つが単独でストレッタをやったり拡大されたり縮小されたりします。細かく調べてみると相当複雑です。
 この曲も鍵盤曲で声部の区別が厳密にはされていません。主題は崩さないように声部分けしましたが曖昧さは残っているでしょう。
第2回定演の告知が間違いだらけでしたので修正しました。既に見てくださった方、再確認してくださいね(すみません)。
8月3日(木)
(更新)バッハのカンタータ第2番「ああ神よ、天より見たまえ」より2曲
1.コラール合唱 コラールの各節の動機を定旋律に先行して用いるというバッハの典型的なモテット形式で作られています。元が7節なので自動的に7つの単位から構成されています。指示はありませんが、Alla breveと見て良いでしょう。淡々と進んでいくのでAllegro moderato位が適当なテンポだと思います。通奏低音はかなり独立性が高くかつバス抜きで進行するのでFバスにするかCバスにするか迷いましたが、後半になるとバスとの重ねが増えるのでFバス向きと判断しました。その代わり、あまり低音に偏ると上声とバランスが悪くなるので適当に上げたりしています。定旋律をやるアルトにはガイドが必要だったかもしれませんが、横着してしまいました。
6.コラール「神よ、汝はそれを潔く保ち」 コラールの原形です。
暮れの第2回定演の案内を入れました。細かいことは決まっていないので順次追加していきます。
8月2日(水)
(更新)今日は大規模編成ものばかりです。
作者不詳「唯一人の神を」
"colle"の意味が辞書でも解らず、"unum""deum"とも対格なのでこうしてみました。40声が縦に並んだ譜面を見たときには大変だと思いましたが、よくよく確認したら4声一組ずつのカノンだったので入力ははかどりました。40声出揃うと8小節毎に同じことの繰り返しになるので展開に乏しいことは否めませんが、大勢集まったときの余興にはぴったりです。MP3作成に際しては全部4フィートだと厚みに欠けるし、密集しすぎてなんだか分からないので偶数パートは8フィートにしてあります。おかげで凄い音の塊になりました。最終パートは実に72小節のお休みなので途中で止まってばかりいると嫌われそうです。はじめたら止まらないように頑張りましょう。
クレキヨンの12声のカンシオン「類なき美」
これならやれる団体もあるでしょう。6声+6声の二部編成になっています。結構長いので技術的に難しくないとは言え、落ちると絶対復帰出来そうもないので厳しいかもしれません。原譜は最後までB音のままで短和音で終わってしまいますが、当時は長和音終止なのである程度の位置からHに代える必要があります。色々試みた結果、最後の最後だけで済ますことにしました。これはあくまで試案なので実践で別のやり方を取ることは差し支えありません。MP3は例によって第2グループを8フィートにしてあります。もっともFバスが2本、Cバスが3本必要になるので揃えるのが大変かも。
バードの5声のイン・ノミネ第4番
バードのイン・ノミネ・シリーズもあとわずかになりました。バードと言うとブラウニングや6声のファンタジアが人気ですが、イン・ノミネ好きの知足庵はこの曲がお気に入りです。一度、知足庵の希望で演奏会に乗せました。定旋律担当はpikkoroでした。
 序盤がのんびりペースなのでテンポを上げると後半で確実に大混乱に陥りますのでご注意を。例によって途中で主題が4回ほど変わります。性格がかなり異なるので雰囲気もその都度変えていくと面白い。リズムが複雑なので緊張も適度に味わえるお勧めの曲です。
7月30日(日)
サンデー・マチネー・コンサート終了しました。ちょうど梅雨明けとなって天気は快晴。気分は上々。進行は何の支障もなく、内容はボヤ程度はあっても大火事にならずに済み、まずは一安心です。お聴き下さった方々、市川文化振興財団のスタッフの皆様に心からお礼申し上げます。のんびりする暇もなく暮れの第2回定演の曲決めと練習に突入します。今日のプロはバッハが2曲と少なめだったので定演はバッハに重点を置いた形にしようかと目論んでおります。近いうちにコンサート情報を掲載しますのでご覧下さい。
7月29日(土)
(更新)バードの5声のイン・ノミネ第3番
第2番と冒頭主題が似ています。雰囲気も似ているのでつかみやすいでしょう。定旋律を除けば4つの主題が順次登場するモテット形式とみなせます。元が合唱曲とみても良いくらいです。
とうとう明日が本番となりました。今日は最終練習でしたが、一人欠席で全部は出来ませんでした。この段階でしゃかりきになっても手遅れなので軽く流す程度で済ませました。そろそろ暮れの定演の曲も決めなければならないので物は試しとフェラボスコの6声のイン・ノミネをやってみましたが、初見で通すのは無理でした。曲が見えてくればなんとかなるでしょう。
7月28日(金)
(更新)バードの5声のイン・ノミネ第1番
 途中で拍子が6/4になります。原譜には二分音符分を付点二分音符のテンポにするように書いてありましたが、実際のところそれでは6/4が速すぎるようです。気持ち速めるだけで違和感なく繋がります。定旋律以外にも主題らしきものが三つ出てくるので流れは掴みやすいでしょう。
バードの5声のイン・ノミネ第2番
 曲そのものはゆっくりやる方が気分が出るし、複雑なリズムもないので難しくありません。問題なのは4箇所(B8 18 39 50)に生じるGis-Gのぶつかりをどうするかでしょう。Gisを全部Gにしてしまえば抜本的でしょうが、それだとちょっと間が抜けた感じになります。うまい解決策が見つからなかったのでMP3はぶつけたままにしてあります。
『ゲド戦記』の公開が迫ったので主題歌をよく耳にします。その冒頭のフシがイン・ノミネの一節と似ているので面白がっています。
 そんなことより本番が明後日になってしまいました。大過なく出来れば良いなぁとほんとに思います。
7月27日(木)
(更新)バッハのカンタータ第26番「ああ、いかにはかなく、いかに虚しき」より
1.コラール合唱 元はオーボエ3本と弦楽の伴奏が付きます。トラヴェルソは第1オーボエ、ホルンはコラール旋律と重ねているので一まず無視できます。課題はオーボエと弦楽の応答をどれだけ生かせるかでした。合唱はコラール旋律を除くとそれ程重要な役割を荷っていないので可能な場合に盛り込む程度で済ませられます。7本だと部分的にやや不足気味ですが、ダブつくところも少なからず発生するので面白くありません。知足庵は可能な限りユニゾンはやりたくないのです。それにエオリアン・コンソートでは7本以上は駄目ですから。曲は結構賑やかですがこなせないほどではありません。それよりもコラール旋律を浮き上がらせるために音量の調整をするほうが大事でしょう。コラール旋律は各パートに分散してあります。
4.アリア オーボエ3本の伴奏つきのバスのアリアです。去年から構想を立てていましたが思うに任せず時間がかかってしまいました。ホ短調をイ短調に移してアルト3本でオーボエ・パートを担当します。アルト3本が頑張るのでソロがバスのままだと弱いのでソプラノにしました。中間部が極度に難しいのでエオリアンで実践出来るか少々心もとない。
6.コラール 1.のコラールはばらばらにされているのでこの曲で旋律を確認してください。

バッハのカンタータ第80番「われらが神は堅き砦」よりコラール
これも既に入れてあるコラール合唱の参考用です。簡単ですから和声練習向きです。
 
7月25日(火)
(更新)ハスラーの第2旋法によるフーガ
 息の長い中身の濃いフーガです。ある程度、曲を分割して節目を付けないと訳のわからないまま終わってしまいかねません。内容をしっかり把握しないと難しい。
1-51 主題提示部に当たり、13回繰り返される。最後にソプラノの走句があって終わる。
52-95 対主題が提示されて主題と組み合わされる。途中で1箇所ストレッタがある。
96-130 主題の拡大形。主題はソプラノとバスに1回ずつ現れる。対主題はそれぞれ異なったものを使用し、最後に主題が出てこないやや長い結尾部が来る。
131-148 主題の縮小形。大体ストレッタになっている。
149-156 結尾部。
7月22日(土)
(更新)ヴィクトーリアの葬送の音楽より入祭文「永久の憩い」
昨日、まだ30代の友人の訃報を受け取りました。哀悼の意を込めてこの曲を入れておきます。そういう趣旨なので特にオススメとかの対象ではありません。ご了承ください。
7月21日(金)
(更新)ストロジャースのイン・ノミネ第3番
 イン・ノミネはいくつあっても困りません。知足庵はイン・ノミネが大好きです。定旋律が無色透明で自己主張がないので様々な表情を付けることが可能です。多くの曲が作られたのは流行に乗るだけでなくそんな作曲家の創造力を刺激したためでしょう。その変化を味わうには数が多いに越したことはありません。
 このストロジャースのイン・ノミネは何と言うか断片的な動機のモザイクと言った感じです。それでいて全体にほんわかした気分が漂っています。易しいので是非どうぞ。
7月20日(木)
(更新)バッハのカンタータ第80番よりコラール合唱「われらが神は堅き砦」
 多少編成が大きい曲はなるべく圧縮する方針ですが、ここまで複雑だと7本が限界と判断しました。もっともコラール定旋律が出てくるところ以外は7本も必要ないのが悩みです。そのままにするとコラール・パートはお休みだらけでこれだけ長い曲だといただけません。そんな理由であちこちオクターヴ重ねにしました。もともと華やかな曲なので多少うるさくなっても気になりません。
 コラール定旋律は常にカノンになっています。加えて他の声部でも色々複雑に登場するので内容はかなり豊かです。知足庵は大好きな曲ですが、編成とか特殊な編曲とかを考えるとお勧め度は○一つにしました。
7月19日(水)
(更新)バッハのカンタータ第4番「キリストは死の縄目につきたまえり」より5曲
同一編成に出来ればよかったのですが、到底無理なので一つ一つ独立した曲として扱ってください。名曲なので単独でも十分やりがいがあります。このカンタータはコラール変奏曲の形態を持つ独特なものです。後年のコラール・カンタータとは全く違います。オルガンのためのコラール変奏曲との関係の方が密接でしょう。
Sinfonia 短いですが、実に魅力的な曲です。初期のカンタータにのみ使用されているヴィオラを二部持つフランス様式なのでテノールを二本にしてあります。
Versus 1 編曲が一番難しかったのがこれです。前半は7本で問題ないのですが、アレルヤの後半が4声にまとまってしまうのでうまくかみ合わないのです。ユニゾンにしてしまえば何の気遣いもいりませんが、知足庵はよほどのことがない限り、ユニゾンは避けることにしています。結局調性を他の曲と異なり、イ短調(と言ってもドリア調ですが)にして後半はオクターヴで重ねられる様に編成を作りました。
 定旋律はアルト2に置きました。実践だと他のパートに埋もれてしまう危険があるのでオクターヴで重ねる様な工夫が必要かもしれません。もっとも全部定旋律という訳ではないので多少の按配は要るでしょう。ソプラノとアルト1が少し控えめにすれば解消する可能性もあります。
Versus 4 合唱と通奏低音のみなので扱いは簡単でした。通奏低音を省くことも考えましたが、完全にバスに従属しているとも言えないのであった方がいいでしょう。実践的には外しても問題はなさそうです。
Versus 5 弦楽伴奏付きのバス・アリアです。バスがそのままソロをやるので他のパートは少し遠慮しましょう。低音はFバスだけにまかせましたが、バランスが悪ければもう一本バスを追加してオクターヴで重ねる手が使えます。
Versus 7 最後は通常のコラールです。
7月18日(火)
(更新)ストリッジョの「見よ、祝福された光を」
 「こんなもの入れてどうすんの?」という意見は無視しましょう。何と言っても異色な作品なのでリコーダーだとどんな感じになるかやってみたかったまでです。とはいえ、40声部の譜面作成はそれなりに工夫が要りました。総譜の場合、A4の用紙に40段の譜表を並べるとやたら細かくなって見難いのでやむなくSAとTBにまとめて20段にしました。音符は大きくなりましたが、別の意味で見辛くなったかもしれません。それでも老眼の知足庵にはこちらのほうが現実的です。入力と校訂は恐ろしく面倒でした。パート譜はそれに応じてSAとTBの二段譜にしました。一つ一つ独立させるか迷いましたが、40種類の譜面では管理が厄介そうですので手間を半分にしました。音が混雑することが予想されるので一つくらい他のパートがあったほうがやりやすそうです。
 SATBを単位とした10部の合唱で構成されていますが、声部使用の最少は8声ですから最低2部は使われています。それにSATBの一部だけ取り出して他と組み合わせて9,10,11,13,14,21,23,25声のような多彩な使い方がされています。たとえば、54-58小節は第7-10合唱に第5のBと第6のSATが使われていますし、70-73小節では10声(SATB+SATB+TB)ずつの二部合唱になっています。又、特定のパートに休みが増えないように40声が満遍なく登場するように応唱形に工夫がなされています。たとえば、49-52小節のまとまりでは第8-10+第7のB(13声)、第1-3+第4のS(13声)、第5,6+第4のATB第7のSAT(14声)が三部合唱を構成して順次登場します。
 MP3にするには全部4フィートではあまりにも音が固まり過ぎます。そこで例によって4フィートと8フィートに分けることにしました。調べてみると概ね偶数パートのバスが奇数パートより低音部を引き受けていることが確認できたので偶数パートを8フィートにしました。実践でもこれがお奨めですが、Fバスを5本揃えるのは難儀でしょうね(そもそも人手が集まるかどうか)。コンティヌオ・パートは省いてあります。
 MIDIも入れておきましたが、パソコンにはポートが一つしかないので16音しか同時に響かせられませんので参考用です。MIDI作成ソフトをお持ちの方は色々音色を変えて遊べます。

 
7月14日(金)
(更新)バッハのカンタータ第18番「雨と雪が天から降って」よりシンフォニア
ヴィオラ4本編成という独特なカンタータです。ライプツィヒ以前のカンタータは名曲揃いでこの曲は知足庵も大好きです。ヴァイマル版の他にライプツィヒ版もあり、こちらは第1第2ヴィオラにリコーダーが重なります。元々リコーダーが入っているなら編曲しやすいかというとそうでもありません。リコーダーの音域が納まりきらないからです。そこでソプラノとアルトの組み合わせにして適当に入れ替えをしています。ソプラノの低音部分が吹き難いですが、頑張ってください。一方で低音パートも厄介な分散和音の連発です。結構くたびれますよ。という訳でまとまるまで少々時間がかかりそうです。曲が判り易い点が救いでしょうか。
タイのイン・ノミネ第13番「信頼」
知足庵は定旋律を吹くのが好きなせいかイン・ノミネが大好きです。この曲は5拍単位で定旋律を刻むのが面白い。変拍子は慣れてしまえばさほど難しくはありません。テノール2はバスでも可能ですのでお好みで選んでください。Cバスもd音だけ処理すればバスで出来ますのでSATBBでも構わない事になります。
 タイには「光よ」"O Lux"という名前のイン・ノミネもあります。既にヴェルナーさんのサイトにリコーダー版がありますので興味のある方はそちらをご利用ください。
7月13日(木)
(更新)バッハのカンタータ第64番より合唱「見よ、父なる神の大いなる愛を」
バッハのカンタータには4声体+通奏低音の合唱曲がいくつかあります。順列フーガは展開がある程度で止まってしまう嫌いはありますが、声楽曲ならではの趣に魅力があります。
 主題の冒頭にある二つの二分音符が"Sehet"なので少し強調すると効果的です。それ以外はなだらかにやっていけば問題ありません。
7月12日(水)
(更新)バッティフェッリのリチェルカール第7番
三重フーガなどバッハ以外ではなかなかお目にかかれない貴重品です。しかもこの曲は各主題が独立して提示され、最後に三つを組み合わせるという本格的な形態を持っています。加えて技術的にそんなに難しくないのですぐに取り組めるのが嬉しい。そして曲がいい。要するに至れり尽くせりで文句の付けようがない。構造は実践すればすぐ了解できるので解説は不要でしょう。
 MP3・MID作成に際してアクシデンタル処理を加えた箇所がありますが、譜面ではそのままにしてあります。実践では自由に判断してください。8フィートの方が響きが良いのでそちらで作成しましたが、4フィートでも全く問題ありません。
ゲレーロのカンシオン「やさしさと麗しい眼と」
時折、高声部と低声部の対比がるのが特徴です。簡潔明瞭な曲なのでやりやすいでしょう。
7月11日(火)
(更新)シャインのカンツォン第23番
カンツォンとしては異例な曲です。特定の主題はなく、様々な要素がモザイクのようにちりばめられています。一応4/4と3/2の交代があるのがカンツォンらしい位でしょうか。テンポは各単位ごとに自由に設定してかまわないと思います。途中にかなり思い切った和声が登場するので一瞬と惑うかもしれません。
シャインのカンツォン第31番
こちらは典型的なカンツォンなので判りやすい。冒頭のフーガ主題は反行形、拡大形、縮小形、それらのストレッタまで含んでいて実に多彩な展開を見せてくれます。例によって3/2のテンポは速めに取りますが、動きが多いところは無理することはないでしょう。
マスケーラのカンツォン第14番
拍子の変化などがないのでまとまりが良い曲です。ファンタジアと思ってかまわないでしょう。テンポをゆったりと取って8フィートでやるのが良さそうです。
ル・ジューヌの「天の女王に祝福あれ」によるファンタジー
"Benedicta est coelorum Regina"を定旋律に用いた曲です。どことなくバッハのオルガン・コラールを連想させます。伴奏も定旋律の模倣で作られているのでモテット形式と見てよいと思います。定旋律は各パートにちりばめられているのでカッコで指示してあります。多少は意識しましょう。音量を少なめにして低旋律だけ強調するほうが曲の推移が理解しやすいでしょう。
マヨーネのリチェルカール第2番
作曲者がイタリアの人だけに典型的なリチェルカールですね。カデンツをさっとかわされてつんのめるような箇所があります。人を食ったような進行です。難しいところはないので気楽にどうぞ。
7月7日(金)
あさはたバロックアンサンブルのHPとリンクしました。こちらのリンクも張っていただきました。有難うございます。室内楽のおいしい曲があれば、テレマンクラブ用に頂戴しようかなどとすぐにせこいことを考えてしまうのが知足庵の悪い癖です。
7月6日(木)
一周年を迎えた途端にパソコンが故障してしまいました。ファンにほこりが着き過ぎてやかましくてしょうがないので中のプロペラを掃除したのですが、何の弾みか全く起動しなくなってしまったのです。一昨日修理に出して今日戻ってきました。マザーボードの交換をしたみたいです。元の状態で使えるので一まず安心しました。ソフトを一から入れなおしではたまりませんからね。何事もなく済んでよかったよかった。おかげで色々な作業が立ち遅れてしまいました。これから挽回せねば。
6月28日(水)
 今日は市川市文化会館に出向いてサンデー・マチネー・コンサートの打ち合わせを行いました。基本的に当日会場に行って演奏と司会進行をするだけで他の雑務はないのでありがたい企画です。とはいえ、7月の練習日程と日数を考えると仕上がりは大丈夫かと少々不安もあります。頑張らねば。
 7月早々にテレマン・クラブをやることになったので、今週はHP用の曲ではなくこちらの譜面作りに励んでいます。レアリをする必要があってそうてきぱきとはこなせないのでHPの更新はちょっとお休みしています。ゲレーロのカンシオンが一つ仕上がりそうなので今週はこれ1曲かもしれません。
 早いものでこのHPも一周年を迎えました。公開譜面が開設当初の30曲から10倍に増やせたのでまずまずと思っています。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
6月25日(日)
(更新)アラウホの第4旋法によるティエント第2番
 譜面はKQさんの提供です。相変わらずドラエモンのポケットみたいです。
 かなり密度が濃い曲です。曲調も主題も違った各部分をどうまとめるかが勝負でしょう。つなぎは比較的はっきりしたカデンツになっているので間合いと取ればなんとかなりそうです。
1-20(4/4) 序奏部。ゆったりしたテンポでやるべきでしょう。
20-36(4/4) 更に三つの部分に分かれます。20-24は音域が高すぎるのでオクターヴ下げています。
36-59(4/4) 46小節で前後に分かれます。カデンツがないので一まとめにしておきます。前半は三つの小部分から構成されています。後半はテトラコルドを主題にしたまとめ句に当たります。
60-89(3/2) 3拍子系はテンポを上げるのが普通です。
90-98(C) 面倒な箇所です。拍子はC(4/4)になっていますが、リズムは明らかに9/8。三連符としても3拍子にしかならないので??? あれこれ考えて9/8案もやってみましたが、結局最初の4分音符+8分音符を三連符にしてみました。多分正解だと思います。
99-124(3/2) これはテトラコルド主題の変奏です。
125-147(3/2) 三連符の指示はありませんが間違いありません。
148-161(C) 三連符が続きますが、拍子も音形も変化するのでここから結尾と見なせます。

 4フィートと8フィート両方でMIDを作ってみましたが、ゆっくり部分が多いので8フィートの方を使いました。音域が広いので実践では4フィートが無難かもしれません。
今日はContraさんが出るコンサートがあったので玉川上水まで出かけました。何時も通りの小気味良いリュートが楽しめました。宇多田ヒカルの「SAKURA DROPS」がリュートにぴったりなんて意外な発見もさせてもらいました。出演者の皆様ご苦労様でした。
6月23日(金)
(更新)ゲレーロのカンシオン「澄みきった泉よ、決めておくれ」
もう5曲目ともなると曲の構成やら雰囲気やらは説明の必要もありませんね。曲調がころころ変わるので把握するのが少々大変かもしれません。
歌詞はこんな風です。訳すのはやめておきます。
Dezidme, fuente clara, hermoso y prado de varias yervas lleno y adornado;
dezidme, alegres
arboles, heridos del fresco y manso viento,
calandrias, ruysenores, en loores de Dios en bevecidos,
sombra donde goze vano contendo,
?donde sta agora el tiempo que solia pisar las flores tiernas y suaves,
bever el agua fria?
Passo dolor cruel, amarga hora,
Arboles, fuente, prado, sombra y aves, no's tiempo de dormir,
queda'n buen'hora, qu'el alm'ade ir buscando'l bien que adora.

6月末でこのHPも丸一年になります。これからも内容充実に頑張ります。
6月22日(木)
(更新)ゲレーロのカンシオン「薔薇と百合の色の如く」
ゲレーロには珍しく和声的な進行も含むと同時に物語性のある曲です。起承転結を意識してやってみるのもいいでしょう。題名には「百合」の言葉はありませんが、歌詞は"En tanto que de rosa y acucena(azucena) se muestra la color en vuestro gesto"となっていて、訳すと「彼女の表情はあなたの仕草によって薔薇と百合の色の如く深まる」という感じになるので加えておきました。
 Finaleのグラフィック機能の使い方が少し解ったのでスコアにちょっと味付けをしてみました。いかがでしょうか。
6月21日(水)
(更新)ゲレーロのカンシオン「バホメはここから降ろしてくれる」
ゲレーロ独特の透明感溢れる対位法の妙味が存分に味わえる曲です。MP3・MIDIのテンポは少々速めにしましたがもっとゆっくりでも差し支えなさそうです。お気に入りのテンポでやってみて下さい。題名の中の"descuydo"は現在では"descuido"と綴ります。歌詞の続きも含めて訳すと「バホメは私を山の頂の高みから降ろしてくれる」という感じになります。
作曲家一覧の表枠を外しました。新たに加える度に一つ一つずらすのが面倒になったためです。少ない頃なら気になりませんでしたが、この頃は結構手間になってしまいました。
6月20日(火)
(更新)コプラーリオのd調のファンタジア
C調の姉妹曲と言うべきでしょうか。こちらの方が明快なので4フィートでやりたいところです。28小節目に完全なカデンツがあるので少し遅めに出来ると理想的だと思います。
10-11小節のバスが高音なので声部交換で処理しました。主旋律が壊れるのでオクターヴ下げる手も考えましたが、後のつなぎがうまくいかないので捨てました。
6月19日(月)
(更新)コプラーリオのC調のファンタジアを入れました。リコーダー・コンソートはガンバ・コンソートに比べてテンポを速めに取る方がうまく行く場合が多いのですが、この曲は速めにするとせせこましくていけません。序盤・中盤にかなり音価が長くなりますがそれでも頑張ってゆっくり目にすべきでしょう。8フィートの方がしっとりした雰囲気が出ます。
6月17日(土)
(更新)グノーの小交響曲第4楽章を入れました。これにてこの曲は完了です。多分この楽章が一番やりがいがあるでしょう。難度も少々高めです。
 全体にスラーがあるところ以外はスタッカート処理で弾んだ感じになります。一応ソナタ形式みたいな顔をしていますが、展開部と再現部の境界線は判然としません。かといって再現部に展開部を組み込んでいる(例えばブラームスの交響曲第1番第4楽章)やり方でもありません。なんでしょうかね、これは?
 刻みの伴奏が厚いので旋律線を強めにして伴奏は控えめにしましょう。伴奏の音域は比較的中音にまとめたので音量調節はそう難しくないと思います。冒頭のファンファーレ動機が曲のあちこちに登場します。主にホルンがやっているのでたいていテノールに割り当ててあります。これは少し強めにして前に出すとよいでしょう。
6月16日(金)
(更新)グノーの小交響曲第3楽章を入れました。特に指示はありませんがスケルツォとトリオと見なしてよいでしょう。トリオのソプラノは音域の関係でアルトに持ち替える箇所が出ました。ソプラノ・パートの表記がちょっとややこしくなりました。ただし、そのままソプラノのまま押し通す手も使えます(音程はオクターヴ上がります)。両方試みて良さそうな方を選択してください。テノール2はホルン・パートですのでカリヨン風のアクセントを付けるように心がけてください。
6月13日(火)
(更新)ゲレーロのカンシオン「澄みきった麗しい眼」を入れました。世俗曲とはいえ様式的にはモテットに似ていて、模倣的対位法を使いながら順次旋律を変換しつつ進んで行きます。この曲はバスの音域が比較的高めなので下げられるならそうしたいのですが、テノールとの絡みでうまくいかないので原調のままにしました。高音が安定したバスを使ってください。
6月12日(月)
(更新)ゴンベールのヴィリャンシーコ「告げて下さい、あの騎士に」を入れました。譜面はContraさんから提供していただきました。有難うございます。ゴンベールはフランドル出身の作曲家ですが、スペイン滞在中にカンシオンなども書いていたそうです。この曲の旋律は後にカベソンが「騎士の歌」の名前でディフェレンシアに仕立てています。吹き比べてみるのも一興です。
 譜面上で問題になるのは12小節目です。ソプラノとアルト2に平行5度、ソプラノとアルト1に平行1度が出てきます。なんらかの誤りがある可能性はありますが、なんとも言えません。26小節目のテノールの最初の音符Aは譜面では8分音符になっていますが、出現原因がなんであれ4分音符に間違いないので訂正しました。また、ダ・カーポは付いていませんが、曲の性格上ダ・カーポするのは当然です。
6月9日(金)
(更新)グノーの小交響曲第2楽章を入れました。サボっていたのではありませんがあちこち徘徊しているうちに一月経ってしまいました。この楽章は構造が単純なので単独なら5本でもなんとかなりそうですが、全曲同じ構成にしたいので6本にしてあります。おかげでフルートソロの箇所はどうしても1本が暇になります。一応アルトをホルンパートに当てました。構造はABCAと見て良いでしょう。ABはソロ1本で他は伴奏なので分かりやすいし、Cも割と単純ですのでアンサンブル難度はさして高くありません。
 次は第3楽章です。賑やかなので結構楽しめそうな感じがします。
昨日6月8日にリヴィウスの「ローマ史」第4冊を読了しました。1月20日に第3冊を読了しているので4ヶ月半かかった計算になります。少々時間のかかり過ぎですなぁ。貴族と平民の民主化闘争真っ盛りのBC445-404という時期は著名人もおらず華々しい出来事もないので割りと地味でした。続いて第5冊に取り掛かりましたが、BC390のガリア人によるローマ占領を扱っているので興味津々です。ローマ中興の祖と呼ばれたカミルスも登場します。
6月6日(火)
(更新)アラウホの第2旋法によるティエントを入れました。譜面はContraさんからの提供です。有難うございます。アラウホはスペインのセヴィーリャ出身とされていますが、ポルトガル出身とも言われています。ようするに詳細不明です。生年も調べると1576年と1584年と二つあって私にはどちらとも決定できません。 ティエントはスペイン版のリチェルカーレかフーガという形式ですが、この曲では途中からカベソンのディフェレンシアを思わせるような走句中心の部分が多くなります。バスパートがかなり難しいのでかなり気合が入ります。主題が半音階的なせいか渋い曲調なので途中でだれないよう気を引き締める必要がありそうです。
 Contraさんからバスケスの5声のヴィリャンシーコを頂戴しました。譜面がまるで確保できない曲集なのでこんなありがたいことはありません。頑張らねば。
6月5日(月)
(更新)ギボンズの「私の窓から」を入れました。原曲はガンバ・コンソート用です。譜面はContraさんから提供していただきました。有難うございます。
 原調を長二度下げると丁度収まるのでバスの低音以外は特にいじらなくても済みました。問題はアクシデンタル処理で、原譜のままだと音がぶつかってしまう箇所があるので付け加えたり削除したりしてあります。どこまでやってしまうか悩むところですが無理なく流れたほうがよいと判断しました。
 定旋律が10回繰り返されます。音形やリズムが少しずつ変化するので注意して下さい。特にGはバス1とバス2が分担してやるので分かり難い。原譜ではバス1にしか定旋律の数字が書かれていないので私もそのままにしてありますがはバス2にも書いておいたほうが親切かもしれません。テンポはバスの走句が破綻なく出来るように設定すれば問題ないでしょう。結構動きが多いので少しゆっくりにしてもだれる心配はありません。
6月1日(木)
(更新)ゲレーロのカンシオン「我が神よ、汝を見る時は」を入れました。ゲレーロの5声のカンシオンと4声のヴィリャンシーコは全てContraさんから楽譜の提供をしていただきました。有難うございます。中々入手できない貴重な譜面でかつ好曲揃いなので順次掲載していきたいと思います。
 さて一曲目ですが、音源も情報も持ち合わせがないので題名は辞書引きの拙訳です。本当に合っているのやら。これからもこれが一番しんどいかもしれません。曲自体は分かりやすいので悩みはないと思います。音価は半分にしました。
5月31日(水)
(更新)ファロネルのディヴィジョンを入れました。奈良の坂本さんから譜面を提供していただきました。有難うございます。昨年の10月に親子コンサートを催した折に聴いて、これはリコーダー・デュエットにしたいと構想を膨らませてました。簡単に出来るかなと安直に考えていましたが、やり出すとそう容易くは参らず、大分時間を喰ってしまいました。ディヴィジョンですから原曲の低音は同じことを繰り返すのみですのでソロ・パートの重音を生かした以外は全て知足庵の創作です。我ながらいい感じに仕上がったとほくそ笑んでおりますがどんなもんでしょうかね?
テンポは自由に動かしたほうがいいです。と言うか、そうしないと出来ません。表情付けもスラーがある程度なのでそれなりに工夫してください。なんせ有名な「ラ・フォリア」なので曲を把握するのは難しくないでしょう。
(更新)ボワモルティエの5本のフルートのための協奏曲第6番を入れました。全6曲これにて完結です。てきぱき入れられたのは去年の段階で音符入力が完了していたからです。校訂、レイアウト、MIDI・mp3作成の作業ならこのペースでなんとかなります。
 6番は第1楽章の扱いが厄介です。下手をするとだれてしまうので結構表情付けに神経を使います。Alto1がブリッジにアドリブを入れる手もありでしょう。mp3ではやりすぎになりそうなので控えました。第3楽章は3連符と2連符のぶつかりをそのまま生かしたほうが面白そうです。表情付けは譜面に書き込まれていないので何通りかやり方があると思います。お好みで選びましょう。
山田貢さんがラウテンクラフィーアを使ったコンサートをやるとご隠居から連絡がありました。今度の日曜なので日が近いのですが、興味のある方はどうぞお越しください。この楽器、山田さんの委嘱を受けてご隠居が制作したもので、チェンバロの箱の中にリュートの本体が何個か(四つだったかな?)装着されているという中々の変り種です。細かいことは知足庵では???なのでbassocontiの奥座敷に問い合わせてください。もっと詳しく知りたい人は山田さんがこの楽器に関する著書を出していますのでそちらをご参照ください。
5月30日(火)
(更新)ボワモルティエの5本のフルートのための協奏曲第5番を入れました。この曲集の中では一番易しいと思います。冒頭がバッハのトリオ・ソナタに似ているせいか印象にも残りやすい。第2楽章にエコーがあるので強弱を付けると効果的です。第3楽章には3連符ソロがあります。伴奏のほうに通常の音符がある時は3連符にするべきでしょう。
5月29日(月)
(更新)ボワモルティエの5本のフルートのための協奏曲第1番を入れました。順番がまちまちなのは単なる気まぐれです。この曲はAlto1の比重が高いのでこのパートをやる人は心してください。他のパートは幾分易しめでしょう。第3楽章がちょっとあっけないのが残念です。
引き続き、ボワモルティエの5本のフルートのための協奏曲第2番を入れました。これで4曲になりましたが、全部短三度上げの原則でなんとかなります。第2番はハ短調になって変化音が多いのでちょっときついかもしれません。快調なテンポで行きたいところですが、無理は禁物と用心するところでしょうか。この曲に限らず装飾は譜面に書いてある通りにやっていればなんとかなるので凝った趣向はこなれてからで差し支えありません。
5月28日(日)
(更新)バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番のシャコンヌを入れました。随分前に作ったのですが、細部の出来が気に入らなくてお蔵入りしていました。なんとか様になったみたいですので公開することにしました。通常の編曲と違って単旋律を4声体に仕立て直すことになるのでシャコンヌを使った別の曲とでも解釈してください。楽しんで作ったのでバッハの意図とは無関係に色々遊びを入れてます。特にバスは入れ方でだいぶ曲の雰囲気が変わるのでそれなりに神経を使ってます。アルペッジョは一変奏ごとにやり方を変えてみました。終わらせ方は悩んだ末にトッカータとフーガ二短調を転用しました。是非は問わないで下さい。
 テンポはかなり揺らさないとうまく行かないので工夫が要ります。音符が細かいところはどうしても遅くしないといけませんがアルペッジョのところは速くしないとだれてしまいます。
 229小節目からソプラノとテノールに変え指を使っています。元が開放弦なのでちょっとはそれっぽくしたいので少々音色を変えることにしました。
 MP3、MIDIの出来はイマイチ気にいっていませんが細かいことを気にしだすと収拾がつかないので妥協です。
26日・27日の二日をかけて家内と一緒に奈良に行っておりました。26日の夜にオルティス・コンソートの定演がありましたのでそれを聴くのが主目的です。ご子息Contraさんは東京住まいなので奈良で親子三人参加のコンサートは滅多に出来ないそうなので今回は逃せませんでした。会場は聖公会の教会ですが、なんと建物は純和風の寺の講堂でした。なんか不思議な気分になります。
 内容は前半がラクリメ各種、後半はSmileを主題にした歌やコンソートを集めたもので純イギリスものでまとめてありました。17年も続けている実績か、会場はぎっしりで、しかもとても家庭的な雰囲気があります。こんな風に音楽が町に根付いるのを見るととても嬉しくなります。
 打ち上げにも出席して翌日は昼食までご馳走になりました(ご馳走様でした)。しかもContraさんからゲレーロとヴァスケスの譜面を豊富に提供していただきました。入手が難しいものばかりなので貴重なものです。当然リコーダー用の譜面もこれまで存在しないのでHPに順次載せていこうと思います。請うご期待。
5月25日(木)
(更新)ボワモルティエの5本のフルートのための協奏曲第4番を入れました。元がロ短調なのでニ短調に移調しています。緩徐楽章の装飾が面倒でいやになりますが、フランスものの通例なので少しでもうまく出来るようになればと思います(知足庵にはなかなか出来ない業です)。第2・第3楽章は快調なので可能な限りの高速でぶっ飛ばせれば最高です。トリルだのプラルトリラーだの一杯付いていますが無理なら無視してテンポ重視で行きたいものです。
5月23日(火)
(更新)ボワモルティエの5本のフルートのための協奏曲第3番を入れました。フルートの曲は短三度上げてリコーダー用にするのが普通です。移調した他は特に余計な処理はしていません。
 第2楽章はフランス風のリズムなので(まぁフランスの人なので当たり前です)付点4分音符+8分音符は複付点4分音符+16分音符に統一します。第3楽章にもこうしたほうが良さそうな箇所がが何箇所かあります。音が密集しているので音合わせに神経を使って頑張りましょう。エオリアンでは一度試みましたが、そう簡単に音が寄りませんでした。
 譜面には通奏低音の数字が付いていますが、音が高すぎてチェンバロの右手を入れる余地があまりありません。とするとオクターヴ下げるのが普通なので第5アルトもついでにバスにする方法もありそうです。試験的に作ってみましたがさして効果が上がる気もしないので紹介は控えます。
5月22日(月)
(更新)フェラボスコ二世のイン・ノミネを入れました。元は6声のガンバ・コンソート用の曲でこの種のものとしては規模が大きいでしょう。定旋律は上声から順次下声に降りていきます。残念ながら音域の関係で後半は二つのバスを入れ替えたのでこの編曲版ではCバスの方が先に定旋律をやっています。定旋律にはカッコを付いているのでそこを吹くときは少し強調するとよいでしょう。最もそうでもしないと何がなにやら訳が分からなくなりかねませんけど。MIDI、MP3でも少しだけ強調しておきました。あまりやりすぎるとリコーダーらしくないのでさり気ない程度で十分です。メリハリで聴かせる曲ではないのでテンポは少し遅い位で丁度良いようです。カデンツはあちこちにありますが、完全に区切りになるほどではありませんのでテンポを揺らす必要はないでしょう。
5月21日(日)
(更新)ヘンデルの「王宮の花火の音楽」序曲を入れました。bassocontiがこのところ入れ込んでおりました。編成規模が大きい割りに独立した声部が少ないので思い切り圧縮して4本で済ましてしまいました。トランペット、ホルン、オーボエの対比をリコーダーだけでやってしまうので原曲らしさをどれだけ反映させられるかが苦労の種です。おかげでオーボエの走句をテノールが担当する羽目になってこのパートだけやたらと難度が高くなりました。苦労の介あってそれなりにうまくまとまったと思います。
 どのパートも高音域を多用するので高音に強い楽器を使わないと破綻する危険があります。ご注意下さい。原曲のテンポ指示が二つしかないので(Adagio,Lentement)あとの部分は吹きやすいテンポを探してください。冒頭と中間の緩徐部はフランス風リズムにしてもかまわないのですが、必要なところと不要なところが混在していて統一感が保てないので無理にやらなくても問題なしです。mp3,MIDIどちらもカデンツでほんの少しいじっただけで全くやってません。中間のアレグロはファンファーレのスタッカートを強調すると他との対比がよく出るでしょう。
(更新)シュッツの「我は復活と命」を入れました。ドイツ・マニフィカトと同様、彼の最後期の作品です。4声+4声の応唱形式なので4f+8fがよいでしょう。mp3もそうしています。難度は高くありませんが、曲の途中に区切りが多いのでうまく処理しないと中途半端になりかねません。つなげようとしないでそれぞれ終わらせた方が無難そうです。一番悩みそうなのが最後の結尾部。第2合唱が細かい音形をやっている最中に第1合唱が結尾音形に突入してしまうので間合いをうまくやらないとドタキャンになりかねません。テノール2本に全てがかかっています。
 歌詞の典拠は突き止めていません(CDの解説でもあればいいのですが)。ドイツ語訳の福音書だけしかみていないのでそれ以外を捜索しないといけませんね。新約なら黙示録が最有力でしょうか。パウロの可能性はないでしょう。旧約まで手を伸ばすと捜索は大変です。という訳で突き止めたらその時にまた書き込みます。
5月18日(木)
(更新)バスケスの「喜びを与える特別な恋」を入れました。バスケスには4声と5声のビリャンシーコがありますが、残念ながら知足庵は5声の譜面をこれ一つしか入手しておりません。折があればContraさんにおねだりしようかと勝手に思ってます。この曲もバスケスらしく旋律線が明確なのでやりやすいと思います。原譜の音価を半分にしてあります。他の曲は元の音価のままにしたのですが、実践ですと速いテンポ向きではないと分かりました。この曲のテンポはアレグロ・モデラートぐらいでしょうか。速くもなく遅くもなく位でしょう。
5月12日(金)
(更新)スヴェーリンク(オランダの人なので正しくはスウェーリンクなのですが、ドイツ語読みの癖が治りません)の「我が若かりし時は過ぎ」を入れました。とにかく有名なので解説らしきものも必要ないかもしれません。この人は根っからの鍵盤楽器作曲家で厳格4声体に拘っていません。いい曲は多いのにアンサンブルに直すとなるとなかなかうまく行かない困った人です。その中でこの「我が…」はかなり4声体の部分が多いのでかなりうまく行きます。しかも彼の代表作ですから申し分ありません。旋律はドイツの民謡だと言われていますが、この曲以外に使用例がなく、詳しいことは分からないようですね。
 全体は6つのヴァリアティエに分かれています。第1、第2、第6は4声体なのでまぁ誰が編曲しても結果は同じです。問題は残りの第3-5で、ほぼ3声体なのでかなりの部分で一人お休みとなります。知足庵も最初はそのまま忠実に作ったのですが、アンサンブル編曲としては不満が残りますので思い切って4声体を維持することにしました。和音の補強をしたり、時には旋律っぽいものも加えてあります。鍵盤楽器ほど低音が強く出ないので厚みも出たと思います。別に原曲からかけ離れたことはしていませんので音にしてみてもどれが原曲と違うか区別は付かないでしょう。
 テンポは第5の前半だけ少し速くしてあります。細かいところは相当いじっていますが、6連符などは実践でテンポを決めるしかありませんね。実演では相当テンポが変動しました。
5月11日(木)
(更新)ギボンズのパヴァーヌとガイヤルドを入れました。これもガンバ・コンソートを対象にしているせいかバス声部の音域が広く、かつアルト・パートの出番がありません。どうやってもパヴァーヌやガイヤルドっぽくならないので緩急の二曲セット程度に考えておけばいいでしょう。ガイヤルドは次から次へと主題が受け渡されていくので三拍子と聴き取れるかどうか。舞曲と言いつつ対位法が優勢なのでやりがいがあるでしょう。
(更新)「MP3紹介」欄にA.スカルラッティのシンフォニア第5番H.パーセルの4声のソナタ第4番を入れました。どちらもContraさんが聴音で採譜したものに知足庵がチェンバロのレアリゼーションを加えてMP3化した曲です。スカルラッティのフーガなどはContraさんも正確に採譜出来なかったということなので譜面の公開は控えさせていただきます。
 A.スカルラッティのシンフォニアは第6番以降はペータースから出版譜が出ていますが、第1-5番はありません。絶版中なのかも分かりません。という訳で現在のところ確かな譜面がない状況です。これほどの名曲なのに実に不思議です。Contraさんは10年前(中学時代!)から採譜を試みていたそうです。MP3化に当たって知足庵がレアリをしましたが、和音を鳴らすだけに控えました。緩徐楽章と最終楽章にはリコーダーに遊びを入れています。Allegro-Largo-Fuga-Adagio-Allegro
 H.パーセルの4声のソナタ第4番は元々ニ短調ですが、Contraさんがト短調にしてリコーダー用に改めたものです。チェンバロは和音を鳴らすだけでは曲にならないので色々試みています。少々ぎこちないのは知足庵の責任です。リコーダーにも色々味付けしました。Adagio-Allegro-Adagio-Vivace-Largo
 テンポは譜面からあれこれ検討して知足庵の判断で最適と思われるものを採用しています。パーセルは幾分速過ぎるかもしれませんが、なかなかいい感じだと思います。
5月10日(水)
(更新)ギボンズのファンタジア第2番を入れました。彼のファンタジアは二曲しか持ち合わせがないのでこれでおしまいです。第1番に比べると比較的音形が明確なのでまとめやすいと言えますが、途中から動きが速くなるので最初にテンポを上げすぎると失敗します。最初を遅くすると息切れしてしまうので頃合を見てテンポを遅くする必要があるでしょう。機械は平気でテンポどおりにやってしまうのでここというところでリタルダンドをかけてその直後にテンポが変わっても気にならないようにしましたが、実践ではなんとなく変化させることも可能でしょう。終わりになるとまた音符がまばらになるので再度テンポを上げてます。技術的には難度が高いとは思いませんがバスの低音Asにはてこずるかもしれません。これだけが要注意です。
5月8日(月)
(更新)ギボンズのファンタジア第1番を入れました。譜面はだいぶ以前に入手していましたが、各声部の音域が広いので操作が面倒だったので放置していました。調性はあれこれ動かしてみましたがうまい具合に行かず、結局原調に戻りました。バスの2声部は音域が広すぎてどうやっても無理があるのでバスとCバスにした上で適当に入れ替えをしています。テノール2に一箇所低音のBがあります。オクターヴ上げるとイマイチなのでそこだけCバスに預けました。元々ガンバを前提にした曲なのでこの程度のやりくりはやむを得ないところでしょう。
 曲全体は4つの部分に分けられるので区切り毎に少しテンポを遅くして明確にしました。19小節目、29小節目、47小節目が該当のところです。基本速度は第1部だけ少し速めにして後は幾分遅めにしてあります。曲の技術難度は高くないのでこうしたことに注意を払うべきでしょう。
5月6日(土)
(閑話休題)昨日今日とContraさんが聴音したスカルラッティのシンフォニアの譜面やMIDIを作っております(対位法のややこしい曲を耳で聞き取るんですからたいした人です。まったく)。
 連休直前からふと江戸期の漢詩を久々に読みたくなったので譜面作りの合間に読んでいます。祇園南海(1676-1751)の「乙酉試筆」を見たら何か我が事のように思えておかしかったので紹介します。

非農非賈又非隠
独作太平游惰民
鏡裏鬢毛歳歳改
眼中風物村村春
学耕只恐耽詩懶
売薬応因沽酒貧
高日三竿眠未覚
今朝猶是去年人

この人の詩は気宇が大きくて好きです。この詩はそうでもないですけどね。
5月5日(金)
今日、合宿から戻りました。二泊三日、初日からエンジン全開で今までになく練習に力が入りました。今回、演奏会に載せる曲の他にこれまでやって来た曲や新作も良い機会なのでどんどんやったので暮れに向けての構想も随分膨らんできました。練習のテーマに「どのパートでも全員が出来る曲を一つ作る」ということに決まり、バードのブラウニングを入れ替わり立ち代り何度もやりました。練習に誰か欠けてもいくらでも対応出来ますから実現すれば越したことはありません。
 恒例のご隠居と奥様を師範とする満腹道場も第7ステージまで完璧に実施。ご馳走様でした。知足庵は確実に1週間分の栄養を摂取したと思います。夜は夜でおいしいワインで盛り上がり、ちゃんと7月のコンサートの曲目選定と配列も決まりました。コンサート情報の方に書き込んであります。中には難物もありますが、残された日数でなんとかこなせるでしょうか。頑張らねば。バスケスは時間のつなぎなのでもしかしたら省くかもしれませんが、一応予定にしておきました。
 
5月2日(火)
(更新)グノーの小交響曲第1楽章を入れました。以前からpikkoroから頼まれていながらこれまでずっとシカトし続けてきた曲です。調性と編成をどうするか迷っていたことと少々私の好みから外れていたのが主な理由です。とはいえ、ある程度やる気が出てきたのでひとまず第1楽章を作ってみた次第です。一応それなりに鳴ってくれるようなので良しとしました。全曲作ってからポンと出すほうがかっこいいのですが、生憎明日からエオリアンは二泊三日の合宿に突入してしまうのでHP更新に間が空くので埋め草も兼ねて一つだけ入れておいた訳です。
 調性はヘ長調にしました。原調のままだとフルート・パートが補強的な浮き草になりかねないのでなるべく生かすための処置です。そのためソプラノに少々無理をさせる結果になりましたがご勘弁ください。
 原曲は木管九重奏曲なので編成は9本でもかまわないのですが、いろんな楽器を使う場合と違ってリコーダーでそのままやっても無駄な音が多すぎます。6本が適当だと判断しました。旋律を分けて音色を変えるすべはないのでその手の手法は全部無視。フルート→オーボエの交代などは全部まとめてソプラノに押し付けてます。
 編曲の上で悩むのは第2ホルンと第2ファゴットのどちらが最低音をやっているのか判然としない箇所が少なくないことです。あまり凝った和声付けはしていない曲なのでなるべく根音の方をFバスにまかせるようにしています。
 合宿後に他の楽章にとりかかりますが、編成は同じでいくつもりです。
(更新)カウォティム・リコーダー・アンサンブルにリンクしました。リンク先の物色は積極的にしてこなかったのですが、ミールさんの所属団体を放置してきたのは知足庵の怠慢です。これからもよろしくお願いします。
4月30日(日)
(更新)西早稲田コンソートをリンクに加えました。なんでも全国のリコーダー関係サイトとリンクすることを目指しているそうです。すごいですね。
(更新)モーツァルトの「すみれ」を入れました。とても有名な曲ですよね。「野ばら」と同じでゲーテの花にちなんだ詩はアレゴリーと物語性があります。「野ばら」はシューベルトもヴぇルナーも有節歌曲形式ですが、モーツァルトはそうしないで節毎の内容に応じて物語性を強調しています。歌詞なしだとまとまりに欠ける恐れがあるので表情付けには注意を払うべきでしょう。3声で済んでしまう箇所もあちこちにありますが、独自の旋律を加えて4声を維持しました。別に曲の邪魔はしていないと思います。

1-6小節 序奏。
7-12小節 Ein Veilchen auf der Wiese stand, 野原にすみれが一輪咲いていた。
     Gebuckt in sich und unbekannt; ひっそりと誰にも知られずに。
     Es war ein herzigs Veilchen. それはかわいいすみれでした。
12-22小節 Da kam eine junge Schaferin そこに女羊飼いがやってきた。
      Mit leichtem Schritt und muntrem Sinn 軽やかな歩みと溌剌とした心地で。
      Daher, daher, Die Wiese her, und sang. そして野原に来て歌いました。
22-26小節 間奏
27-42小節 Ach! denkt das Veilchen, war ich nur ああ。すみれは考えました。
      Die schonste Blume der Natur, 私がきれいな自然の花だったら。
      Ach, nur ein kleines Weilchen, ああ、ちょっとでも時間があったなら。
      Bis mich das Liebchen abgepfluckt 愛する人が私を摘み取って。
      Und an dem Busen mattgedruckt! 胸に抱きしめてくれるのに。
      Ach nur, ach nur Ein Viertelstundchen lang! せめて15分でもいいから。
44-51小節 Ach! aber ach! das Madchen kam ああ、けれど娘はやって来ても
      Und nicht in Acht das Veilchen nahm, すみれに全く気が付かず。
      Ertrat das arme Veilchen. 哀れなすみれを踏みつけた。
52-60小節 Es sank und starb und freut' sich noch: ぐったりと死に瀕してもすみれは喜びました。
      Und sterb ich denn, so sterb ich doch 私はこれで死んでしまうけれど
      Durch ihren Fusen doch. あの人の足で死ぬのだから。
61-65小節 das arme Veilchen! 可哀想なすみれ。
      Es war ein herzigs Veilchen! それはかわいいすみれでした。

最後の2節は原詩にはありません。モーツァルトが締めくくりに繰り返したものです。こういうささやかな処理にもモーツァルトが詩の音楽化に当たって細心の注意を払っていたことが分かります。旋律の再帰がなかったらこの曲の統一性は維持できなかったでしょう。
4月28日(金)
バルトークの最終楽章が完了しました。かなり難航して思ったより時間がかかりました。最大の問題は音の数が極度に多いことから情報量が多すぎて我が家のCPUでは対応し切れないという限界問題でした。漫然と譜面を見ていたせいかこれまでピアノが連弾になっているとは知りませんでした。ピアノとハープだけで音が20個以上の箇所まであって同時に弦のほうも重音を使っているので途方に暮れたりしました。音洩れやらテンポが上がらないやら音量バランスが悪いやら。少しずつ改善しましたがちょっと不満な結果になりました。その代わり、第1楽章と第3楽章の問題点の解決策が見つかったのが収穫でした。今回はそちらも改訂版に置き換えてあります。
 対位法が好きなせいか、バルトークとかベルクとかの「複雑」な曲に惹かれます。オーケストレーションは華やかでも構造はスカスカでは興ざめします。「弦チェレ」は高校時代からの愛聴曲ですが、今回は改めてじっくり味わった気がします。いやぁ、凄い曲です。
 そろそろ本業に戻りたくなったので連休明けから再起動しようと思います。手始めはカベソンあたりでしょうか。
4月24日(月)
(更新)カベソンの「ご婦人のお願い」の改訂版を入れました。ルネサンス・リコーダーだとソプラノの高音域にどうしても無理が出てしまうのでそれを解消するためです。該当箇所は70小節目前後で、ソプラノの旋律線をアルトに移してあります。アルトに高音Dが出てしまいましたが、これは一回だけなので頑張ってください。前後のつながりが不自然にならないようにテノールも少し変わっています。
4月23日(日)
相変わらずバルトークに勤しんでいます。第3楽章は予想通り、難航しました。そもそもゆっくりした曲は細かい表情を付けないと様にならないのでただでさえ面倒なのです。この曲のMIDIをオンラインで出している方がいますが2楽章と4楽章だけです。
 今回の最大の悩みはティンパニのトレモロ+スライド。この二つは元々両立しない機能なので一方を指定すると他方は受け付けてくれません。仕方がないのでトレモロを入れておいてから手動でピッチベンドを操作しています。なんとか様になりました。
 タムタムは音が用意されていません。あって当たり前なのに不思議です。それらしい音を探して"Church bells"を使いましたが少し重厚さに欠けます。これはやむなしです。
 弦のトレモロは手動で入れたら想像を絶する苦労が入りますが、嬉しいことに"tremolo strings"が用意されているのでラクチンです。でもハープやピアノのアルベッジョはないので全部手動で入れています。苦労のかいあって破綻なく鳴ってくれました。
4月20日(木)
14日に書いた通り、今現在はバルトークのMP3作りに精を出しております。更新が長々と停滞してしまったのでつなぎと言っては何ですが、完成した第1楽章と第2楽章を紹介します。出来栄えにはまだまだ不満がありますが、今の私の実力はこの程度です。MP3は容量が大きいのでMIDIですませられるなら越したことはないのですが、チャンネル数16程度では満足した音になりませんのでやむなしです。それにMIDIだとパソコン次第で音がどうなるか分かりませんからあてになりません。以下に制作上の留意点などを書いておきます。MIDIやMP3に興味がない方は無視して結構です。
 この曲は弦楽器が命なのでこれに手は抜けません。従来のGM音源だと立ち上がりがぬるくて中が膨らみすぎる怪しげな音でしたが、MU500には各弦楽器毎に"- Section"と"Hard Attack - Section"が備えられているのでかなり改善されています。第1楽章はなめらかに進むので"Violin section"以下を使用し、第2楽章は主に"Hard attack violon section"以下を使っています。普通に進行するだけなら特に悩みはないのですが、重音が多くなると困ります。というのもこの二つの音源は音素を二つ消費してしまうので音が多くなりすぎると切り捨てられてしまうからです。二つの弦楽五部だとチャンネルは10個でも音素数は20消費しますからいくら最大音素が64あってもあっという間に不足します。そこで適当に曲が不自然にならないように音を外します。第2楽章の180-182が一番音が多くて音が32個あります。適当に省いて18個で済ませました。
 同じ音源の音をユニゾンにすると変質してしまう悩みはリコーダーと同じです。中低音なら気になりませんが、ヴァイオリンは無理でした。第1楽章はVn3とVn4が9割がたユニゾンなので一方を外しました。Vn1とVn2も何箇所かあるのでどちらかを抜いてあります。これは機械音の最も困った特徴でしょう。
 グリッサンドはピッチベンド処理なのでどうしても音が変化します。第2楽章で多用されていますが、多少不自然でもこれ以上妙案はなさそうなので堪えて下さい。第3楽章にもあるので油断できません。鍵盤楽器と違ってスライドなのでやむを得ないところです。ティンパニの方はそれ程気になりません。
 Sul ponticelliは音が用意されていないので音をわざと半音下げておいてピッチベンドで押し上げることで少し歪みを出しました。distortionやfrangerもやってみましたが芳しくありません。癖のあるエレキバスは面白いのですが音色が違いすぎてなじみません。
 バルトークピチカートもないので弦は普通のピチカートにしておいて"Whip Slap"を加えてあります。これが一番似ているようです。
 弦は伸ばしが長くなると途中から音が膨らみます。テンポにもよりますが、第2楽章では4分音符以上になるとそうなるのでその辺りで音量を絞ります。あちこちにあるのでまめに処理しなければならず、実に面倒。
 第2楽章のアウフタクト音は音がきついので音量を増しています。こうしないとスカになります。これも頻繁なので面倒この上ない。
 con sordinoも音は用意されていません。バスフィルターをカットするとそれらしくなるようだとはいえ、実験が細かくでややこしいので今回は"Brightness"を30まで落としてみました。こもった感じになって問題ないようです。
 リコーダーだと100%の音をある程度削りつつ表情を付けていくのですが、弦楽器はそのやり方が通じません。速いパッセージをレガートにするには逆に音を余計に伸ばしてあげるほうがうまく行きます。あまり伸ばし過ぎるとぐしゃぐしゃになるので101%にしました。わずかな違いですが、100%とはなめらかさがまるで違います。ピアノのレガートもこのやり方でいけますが、もっと伸ばしてあげないと効果が出ない様子です。
 スネアなしのドラムはなかなかよい音がなく、ちょっと邪道な音を使ってます。ラテン系っぽくなったかもしれません。
4月14日(金)
更新とは言っても新曲はありません。一週間お休みしたのは初めてですが、今年になってから結構頑張ってきたので休暇にしました。他にやっておきたいことが大分お留守になっていたのでそっちも片付ける必要がありますので。
MP3制作に少し力を入れようと思ってバルトークの「弦チェレ」に挑戦しています。コンピューターの弦の音は難点が多いのですが、ソロよりは合奏の方がましなのでやる意味はあります。打楽器に悩むと予想しています。そんなわけでそっちが片付くまで新曲には取り組めない状況です。
その後の計画ですが、カベソンのティエントが中途半端に中断しているのでこれに取り組むつもりです。後、パレストリーナのミサをもう一曲入れておきたい。4月中になんとかしたいですね。
4月7日(金)
(更新)モーツァルトの「誠のお体」を入れました。ふと思い立ったのでやってみました。あまりにも有名なので説明無用でしょう。と言っても合唱パートはほとんど無視したのでアルト2本は旋律線がかなり装飾されています。細かいニュアンスをうまく按配すれば元々響きはきれいなので問題ないはずです。どの曲でもそうですが、それぞれの節の終わり方は神経を使います。いい感じを掴みたいものです。
 題名に意味があるものはなるべく邦訳したいので「アヴェ・ヴェルム・コルプス」とはしませんでした。
(更新)バスケスのビリャンシーコを1曲追加しました。「私の眼の命」と訳しましたが当たってるでしょうかね。短い旋律を繰り返すだけですが、一度聴いたら忘れないでしょう。
4月6日(木)
(更新)バスケスのビリャンシーコ3曲を入れました。至って簡素な構成の曲ばかりですが、旋律線が愛らしいのが魅力的です。複雑な点は何もないので解説と言いつつ特に書きようがありません。
 スペイン語はまるで畑違いなのでカベソンでも題名に相当悩みましたが、こちらも同様です。"?Con que la lavare?"はなんでしょか? 私にはお手上げです。"De los alamos vengo, madre"は"madre"しか分かりませんでした。"Descendid al valle la nina"だけはなんとか「娘が谷に降りてった」だと分かりました。いずれ判明したら載せるつもりです。
 Finaleの特殊文字入力の方法がようやく判明しましたので譜面の題名や作曲家名も正確に書き込めるようになりました。既に作ったものを修正するのは手間なので無視します。ご容赦ください。

(追加)
上記の不明な点についてContraさんから情報を戴きました。一部をそのまま転載します。

<バスケス(は)ゲレーロのものと並んでスペインの世俗ポリフォニーでは珠玉の曲群ですが、一般には手に入りにくいはずなので、おそらく愛好家の方は喜ばれるでしょう。個人的には、音価を半分にすると多少見やすいかもしれません。スペイン語の表記はvがb音なのでバスケス、ビリャンシーコなどとするのがたぶん普通だと思います。あとタイトルはCon que la lavare「何を使って顔を洗いましょう?」de los alamos「ポプラ(の森?林?)に行きます、お母様」だったと思います。2つとも当時の有名な民謡で、前者ではソプラノ、後者ではテノールのパートが定旋律ですね。私も大好きな曲です。>

という訳でバスケス、ビリャンシーコに直しました。題名の意味が判明しましたので楽譜コーナーの方にも入れておきます。曲の解説もこれに尽きているので特に付け加える持ち合わせはありません。いつものことですが、Contraさんの知識量には恐れ入ります。有難うございました。
4月5日(水)
(更新)ヴィラールトの「驚くべき神秘」を入れました。何となくヴィラールトに関心が向いたので一曲選んでみた結果です。形式はごく普通のモテットですが、カデンツの作り方には幾分15世紀の名残が聞こえてきます。それほどメリハリを付ける必要はありませんが、最後だけ強調してみました。これは知足庵の趣味なので判断は分かれるところでしょう。
4月4日(火)
(更新)バッハの平均律クラヴィーア曲集第2巻から第4番嬰ハ短調を入れました。プレリュードもフーガも3声なので都合が良かったですね。
 プレリュードは装飾音がかなり書き込まれているので忠実にやればかなり曲が出来上がります。ただ記号の処理法は一定ではないので一番良さそうなやり方を工夫する必要はあります。トリオ・ソナタの感じなので試しにRec,Ob,Fgで鳴らしてみたらなかなか効果的でした。
 フーガは主要主題の反行形を伴う二重フーガです。第2主題が半音降下のあまり自己主張しないもので、しかも主題導入前に半音降下の予告が長いので初めて聞いた時は本当に主題かどうか戸惑いました。主要主題との結合は4回あります。1回目は45小節からで主要主題の開始音がCisで第2主題がFisの五度関係。2回目は55小節からで主要主題のCisに対して第2主題もCisで始まる12度の転回形です。3回目は61小節からで主要主題がGisで第2主題がCisなので1回目と同じ。4回目は66小節からで主要主題がCisで第2主題がFis。これも1回目と同じですが、主要主題の後半にもう一つの第2主題がからむのがミソです。
 かなり七面倒な音形ですが、なるべく速く突っ走りたいものです。
(更新)ストリッジョの「ニンフと羊飼い」を入れました。原題は"Eran Ninfe e Pastori"となっていて"Eran"が悩ましい。辞書には該当する単語がないのです。400年前のイタリア語ですからなくても不思議はないのですが、訳しようがない。後の歌詞から推測するとイタリア語のbe動詞に当たるessereの大過去三人称複数の"era"ではなかろうかと思います。とすると「ニンフと羊飼いがおったとさ」とかなんとかの意味になるでしょう。とはいえ確証がないので安全策を取って無視することにしました。
 この曲は1592年にヴェネツィアのアンジェロ・ガルダーノが出版した「ドリの勝利」というマドリガル集に収録されています。29人の作曲家が1曲ずつ提供しています。この曲集について知識の持ち合わせがないのでドリが何者でどんな物語なのか、設定なのか皆目分かりません。この曲の最後の方が賑やかになりますが、この部分は「麗しきドリ、万歳」"Viva, bella Dori!"と叫んでいるのでとりあえず浮かれておきました。実はその前の歌詞内容とどう繋がるのかさっぱり分かりません。登場人物は二人だけなのでおそらくニンフの名前だろうとは思いますが、何の前提も為しに出てくるので確信は持てません。
4月3日(月)
(更新)バッハの管弦楽組曲第3番BWV1068を入れました。オーボエにトランペットやティンパニまで入った大規模な曲集ですが、よくよく見てみると弦楽合奏が基本でそれ以外は強調したいところの付加物に過ぎません。そこで弦楽をうまく移植すればほとんど原曲の雰囲気を損なわずに編曲出来ます。所々でトランペットに独自旋律が含まれているので多少参照すれば万全でしょう。
 序曲の緩徐部分は第1番と同じようにあまりリズムをきつくしていません。特にこの曲の場合、16分音符と32分音符の書き分けがなされているのでなお更無理する必要はないでしょう。アレグロ部分は二つの中間部にヴァイオリン独奏があります。息継ぎの問題がありますのであまりテンポを上げると破綻すること請け合いです。多少遅めでも雰囲気を損ねるとは思えないのでいいテンポを探すと良いでしょう。リトルネロは緩やかなパーミュテーション・フーガで出来ています。このフーガ様式はイタリアの協奏曲形式に合っているのでしょう。
 エアは有名なので特に触れることもありません。バスの扱いが悩ましく、Cバス版も用意しました。バスならば、Fバスを重ねることをお奨めします。
 ガヴォットはスタッカートをきかせればなんとかなるでしょう。ガヴォットUは強弱の対比が向いています。
 ブレーはガヴォットよりテンポを速めて差別化しましょう。
 ジグ
はスラーが多いので柔らかく表現するべきでしょう。
4月1日(金)
(更新)バッハの管弦楽組曲第1番BWV1066を入れました。2番・3番に比べるとあまり著名とは言えませんが、昔からリコーダーに向いていると思っていました。ハ長調のままやることばかり考えていたせいかうまく行かず、変ロ長調が妥当と思い当たるのに手間取りました。変化音を増やす発想はなかなか出ないものです。
フランス風序曲は緩徐部分の扱いが難しいのですが、今はやりのきついリズムを付けるとテンポが破綻しかねないので16分音符以上に細かくはしないことにしました。中間部は可能な速さでこなせるでしょう。原曲はリトルネロとトリオの交代になっていますが、リコーダーのみでは音色が変わらないので気分だけ出せれば良いでしょう。
 クーラントは速すぎもせず遅すぎもせず中庸が良いでしょう。他の曲もそうですが、伴奏はあまりレガートにせず弾ませたほうが舞曲らしくなります。
 ガヴォットは二つあります。Iの方はアクセントを強調し、Uはなだらかにしてテノールのファンファーレを強調すると面白い。
 フォルラーヌは凝っていてソプラノは優雅に旋律を吹き、アルトとテノールは少し音量を落として小川みたいに流れるようにリズムを揺らし、バスは割りと無愛想にやると結構いけます。
 メヌエットはUのテンポの方が速いのですが、それでも遅く感じます。メヌエットUだけソプラノはアルトに持ち替えます。
 ブレーはTもUもテンポは同じです。Uは変ロ短調というとんでもない調になってしまいましたが、少し慣れれば何とかなります。序でに変化音の練習になります。
 パスピエはメヌエットと同じ3/4なのでどう差別化するか悩みますが、メヌエットよりレガートにすれば何とかなりそうです。
 
3月30日(木)
(更新)バードの5声のミサを入れました。なんとか翌日になる前に出来ました。名前が有名な割りに知足庵はあまり関心がなかったのですが、今回作ってみてなるほど名曲だと実感しました。ゲレーロやヴィクトーリアとほぼ同時代なのにその書法は明白に異なります。スペイン物に慣れてしまったので思わず入力ミスが出てしまいます。言葉で表現するのは難しいのですが、とにかく違います。
 曲は至って平易なので特に触れることもありません。サンクトゥスとベネディクトゥスを一つにしてありますが、これは初めからセットになっています。終わり方も同じです。強弱は私見で付けたのであくまで参考に過ぎません。まぁ、どのみちリコーダーですからそんなにはっきり付けるものでもないでしょう。テンポはゆっくり目が似合います。グロリアとクレドは長いので少し速くしてあります。
(更新)「今週のMP3」を差し替えました。残ったものを全部入れましたのでこのコーナーはこれにて完結しました。
しばらく新譜を入れていません。サボっているのではなく規模が大きいので手間取っています。あと少しです。
3月27日(月)
(更新)テレマンのリコーダーとフルートのための協奏曲を入れました。テレマンは原曲のまま楽しむ機会があるのであまり編曲する意欲はありません。この曲は自分の練習用にスコアを入力してあったのでそれを利用したまでです。ただ転調しただけではお粗末なので5本にまとめました。ト短調にしたところ、原曲より難しくなった可能性があります。練習曲にはよさそうです。
3月26日(日)

(更新)ストリッジョの「狩り」第1番第3番を入れました。なんか気分が爽やかになる曲です。第2番はオープニングに使っていますが、たまには交代させてもよいかと思います。こういう曲のストックはありがたい限り。第1番は強弱をはっきりさせた方が楽しい。曲作りは各人のお好みで。第3番は擬音効果を使うので少し大げさに表現すると効果的でしょう。

(平成30年2月26日改定)原本に基づく新版に移行しました。

 →http://aeolianconsort.chakin.com/Striggio.htm


 

(更新)ブルメルのミサ「そして大地の動もすを見よ」のキリエを入れました。昨日、練習がありました。午前中にネット上でこの曲の譜面を見ていたんですが、練習場所に着いた途端にKQさんがこの譜面をくれました。「な、なんという偶然!」 聞いたら、以前からbassocontiと話題にしていてご隠居も関心があったとのこと。あきれた面々です。
 というわけでこれは作らねばと思って早速やってみました。音価は半分にしましたが、それでもキリエUは12/4ですから拍の取り方がかなり面倒です。声部が多いだけに見失う危険が大ですので要注意です。一箇所どうしても音が不自然なところがあったので独断で修正してあります。アルト3の38小節目4つ目がそれで元々Aですが、Gにしました。和声がG durですし、経過音ではなく跳躍で非和声音に入ることはまず有り得ないので間違いないと思います。H音の可能性はほとんどありません。
 二つのキリエは定旋律を持ちます。キリエ1ではテノール4、5、バス3が担当します。キリエ2はテノール4です。楽器を重ねて強調するやり方もありでしょう。
 複合唱形式ならともかく普通の形で12声の進行を維持するのは相当難事業なはずですが、規則違反は一つもありませんでした。すごいなぁ。楽理の教科書だと陰伏5度や陰伏8度の禁止などと書かれていますが、この時代ではそのような禁止はないのであちこちに出現します(たとえば、65小節目にはアルト3のD-Hとテノール5のA-Hの陰伏8度があります)。これを禁止したら12声は到底無理かもしれません。全曲譜面があるのでそのうち残りも作りたいと思います。縦が長くて面倒ですけども。
3月24日(金)
(更新)バッハのアラブレーヴェを入れました。200小節近い大きな曲ですが山場など気にしないでひたすらなだらかに演奏すべき曲でしょう。アラブレーヴェというと比較的活発な印象がありますがこの曲には合わないと思います。内容は明確なフーガですからこの名前は単に2/2の意味と受け取っておくべきでしょう。
 8フィートの方が良さそうですが、4フィートでもなかなか味があります。どちらも捨てがたいのでMP3は両方入れておきました。テンポは8フィートの方を遅めにしておいたので聞き比べると雰囲気が随分違います。お試しあれ。
3月23日(木)
(更新)バッハの8つの小プレリュードとフーガから第4番BWV556を入れました。3曲目ですが、印象からしてこれはバッハの作品ではないでしょうが、好曲です。声部が薄い部分に音埋めはしていませんのでパートによっては休みが増えてしまいました。分散和音の練習に向いているかもしれません。
「今週のMP3」フローベルガーのカンツォーナに差し替えました。
(更新)バッハのロ短調ミサから「我は唯一の神を信ず」を入れました。ヴァイオリン2声と5声合唱の計7声のフーガに通奏低音が付いています。調性をヘ長調に移したらヴァイオリンがアルトに収まるのでうまい具合です。テンポは急ぐ必要がないのでそう難しくないのですが、Fバスが全く休みなしなのでスタミナがいります。
 ロ短調ミサはCredoではなくSymbolum Nicenumとしていますが、言い方の違いだけで中身は同じです。ミサ曲では伝統的にキリエ、グロリア、クレドなどの前に該当するグレゴリオ聖歌を付けます。ロ短調ミサではこの曲がその役割を果たしていて、フーガの主題はクレドの一番有名な旋律です。バッハの合唱曲用フーガの中でも対位法技術が相当高い曲で、ストレッタは頻繁だし、主題の拡大形も登場します。拡大形はCバスが吹くんですが、かなり息が入りますので覚悟して下さい。
3月21日(火)
(更新)マショーの「慰めのレー」を入れました。レーの中でカノンになっているものは第16番(一部のみ)とこの第17番だけです。第17番は全曲がカノンなのでやってみました。12個のカノン全てが三パートとも全部吹ききるのでパート譜は一つで間に合います。入りの箇所はお米記号で示してあります。先に終わったパートは他のパートが吹き終わるまで待ちましょう。先走ってはいけません。
 響き具合はアルス・ノヴァより一昔前のペロタンなどに近い気がしますが、リズムの分割法などはやはりマショーらしさが出ています。後世なら不協和音とされる和音も頻繁に出てくるのでかなり独特な響きになります。
3月20日(月)
(更新)モラーレスの「神の聖母は称揚せらる」を入れました。ゲレーロ、ヴィクトーリアと並ぶ16世紀スペインを代表する宗教曲作曲家ですからいつかは入れようと考えていました。最初に入れるのはやはり6声ものと思って選んだのがこの曲です。面白いことに14日に入れたゲレーロの「敬虔なる教父ヒエロニムスよ」の同じ定旋律循環形式を持っています。特にそれとして選んだわけではない偶然です。定旋律はソプラノ2が担当します。
 副題は譜面に書き込みませんでしたが、"in Assumptione Beata Maria Virgine"です。「聖母被昇天の祝日」のことで8月15日です。日本では敗戦の日ですけど、折があったらこの日にやりたいものです。バッハのカンタータの中でこの日のための作品はありません。ルター派に聖者信仰はないので当たり前ですけど。
3月18日(土)
(更新)パガニーニのカプリース第1番を入れました。譜面を作って一度みんなでやってみましたが、不評でお蔵入りになった曲です。音符が細かいせいか? 三連符にフラットが多くで全く吹けないせいか? 編曲が悪いとは断じて思わないぞ。ということで放置は悔しいので公開します。テンポを無理しなければ出来ると思うんだけどなぁ。
編曲に当たってはパガニーニの原曲だけでなくリストのピアノ編曲版も参照しています。9割は同じ(右手・左手の交換指示を付けただけ)なのですが、三連符のところだけ低音部がちょこっと付いているのでそれを拝借しています。
3月17日(金)
(更新)「今週のMP3」フローベルガーのファンタジア第6-8番に差し替えました。
3月15日(水)
片桐邸サンデー・マチネー・コンサートに関する打ち合わせがありました。組織変更等があったようで今回は年度計画の素案作りのようなものでした。その結果、5月に予定されていたガラ・コンサートは見送られることになりましたので当初からの腹積もり通り、7月のみの出演になります。ガラについては曲目選定も含めて頭が痛い面もあったので少し息がつけます。これからは7月に向けてしっかり練習せねば。
3月14日(火)
(更新)ゲレーロの「敬虔なる教父ヒエロニムスよ」を入れました。定旋律を持つ曲は初めてです。例によってなだらかにかつ躍動感を持ってやればそう難しくはないでしょう。
 定旋律はソプラノ2が担当します。8音符の旋律線を何度も繰り返す形です。扱いが面白い。第1部は全音符のみで五回繰り返します。開始音はA-D-A-D-Aと交代します。第2部の前半は付点二分音符音価になります。これはかなり珍しいやり方でしょう。開始音はD-Aで二回出ます。次は二分音符音価で二回。開始音はD-Aです。次は二分音符四分音符の組み合わせでD-A。ここまで音価が順次短くなっています。そして、最後の二回はこれまで出た音価全部を使って(全音符+付点二分音符+二分音符+四分音符)出てきます。見事な構成力だと感嘆しますね。
 この曲は聖ヒエロニムスの祝日のために作られた作品です。9月30日に演奏できれば最善ですがそうは中々うまくいかないですねぇ。この人はラテン語訳聖書ヴルガータを作ったことになっています。現在では彼以前のラテン語訳が幾つも知られていて古ラテン訳と名づけられています。ヒエロニムスは翻訳したというより編集したのだろうというのが最近の評価だそうです。おまけですが、カトリック教会では新ヴルガータ以前は彼のヴルガータを聖典としてきました。いつから聖典になったかというと16世紀のトリエント公会議の時に決まったんですね。ルター派に対抗する意図から出たことなので意外と最近なんです。それまでカトリックには本文を固定した決定版の聖典はありませんでした。それにしてもギリシア語原典がこれでけで回っている現在でもラテン語訳を聖典にしているところがなんとも頑固。カトリック教会にはバチカン写本という優秀なギリシア語聖書があるのになんで? 聖書研究上の話ならヴルガータは参考にしかならないのに。
昨日、摩文仁堂鍼灸院の富山さんが急逝されました。習志野フィルでも楽器購入でも治療でもお世話になった方ですので残念でなりません。つつしんでご冥福をお祈りします。
3月13日(月)
(更新)プレトリウスの「深い苦しみの淵から汝に向かって叫ばん」を入れました。バッハと同じコラールを使っているのでセットにしました。ほとんど解説が重複するのでこの方が効率がいいでしょう。
 せっかくなので歌詞の訳も付けておきます。

Aus tiefer Not schrei ich zu dir, 深い苦しみの淵から汝に叫ばん
Herr Gott, erhor mein Rufen; 主なる神よ、我が呼ぶ声を聞きたまえ
Dein gnadig Ohr neig her zu mir 汝の慈悲深き耳を我がために傾け
Und meiner Bitt sie offne! 祈りを聞き届けたまえ
Denn so du willt das sehen an,Was Sund und Unrecht ist getan, かくて汝、罪と不正の為されしを見んと欲すれば、
Wer kann, Herr, vor dir bleiben? 主よ、汝が御前に止まり得る者あらん?

バッハのカンタータ第38番がこのコラールを使っています。原形に近いので参照するとよいでしょう。
一昨日の昼食中にやたらとプレトリウスの話題で盛り上がりました。下手をすると暮のコンサートの半分はプレトリウスになりそうな勢いです。他にも候補曲は多いのにどうすべぇ。と言いつつしばらくはプレトリウスを物色することにします。
3月12日(日)
(更新)バッハのオルガン曲「深い苦しみの淵から、汝に向かって叫ばん」BWV686を入れました。原曲はマニュアル4声、ペダル2声の計6声という大規模なものです。ペダルで二つの声部をどうやってるんですかねぇ。聴いてはいても中々演奏を見られないのがオルガンなので興味津々です。
 定旋律は歌詞も旋律もルターの自作です。同じプロテスタントでもルター派は音楽の活用に積極的ですが、ルター自身の音楽的才能に負う部分の多いのかなと勘繰ってしまいます。ヨーロッパでカルヴァン派とカトリックの礼拝に出席したことはありますが、あいにくルター派は経験がないので現在の状況は???です。パリのノートルダム寺院でミサを受けたことがありますが、グレゴリオ聖歌を何曲か歌ってご機嫌でした。例のくねくねした指揮には参りましたけど。カルヴァン派はハーレムの小さい教会に紛れ込んだのですが、日本と同じで簡単な賛美歌ばかりで飽きました。終わった後で東洋人がいると皆に歓迎はされましたが。
 さてこの曲です。原曲に忠実に最初の2節を繰り返します。後は3節を順次進めていきます。ゆったり進めていけばいいのでさほど演奏上の悩みはないでしょう。
 さすがに6声ともなると定旋律が潜ってしまうのでMP3、MIDIはアルトをかぶせてあります。実践でもお奨めですので人数に余裕があるなら試みてください。
「ホワイトデー・コンサート」は無事終了しました。monitorgoldが譜面を乱丁にして演奏中に探すという大失態をやらかしましたが、まぁこの程度のことは想定内ですので(でももうやめてね)。それなりに音は寄っておったそうでまずは一安心。さぁ、五月に向けて本格発進です。
3月11日(土)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第3番第3楽章を入れました。この曲は三楽章形式なのでこれでおしまいです。メヌエットなのでなんだかもう一つ楽章が続きそうですよね。KV155からKV158まで弦楽四重奏曲が4曲まとめて並んでいますがいずれも三楽章しかありません。皆かわいらしい曲ばかりです。
明日はいよいよホワイトデー・コンサート当日です。まぁ音楽好きが集まってお互いに演奏をやったり聴いたりという内々的性格の企画なのである意味気楽です。集合時間や出演時間がようやく今日になってわかったくらい暢気な催しです。午後一時開演で私たちの出番はどん詰まりの4時近くだそうです。待機時間が長くていきなり音出しで大丈夫なのだろうか?
最近、楽譜コーナーが大きくなりすぎて少々編集に不便を感じてきています。バッハだけでも独立させようかなどと考えていますが、案外手間のかかる作業になりそうなのでもう少し様子を見てからにしようと思います。
3月10日(金)
(更新)今週のMP3」をフローベルガーのファンタジア第1-4番に差し替えました。全部8フィートにしてあります。
3月9日(木)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第3番第2楽章を入れました。簡明なソナタ形式の曲です。強弱の交代に特色がありますが、あまり極端にする必要はないので厄介ではありません。
3月8日(水)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第3番第1楽章を入れました。ト長調をヘ長調に移調しましたが、、あまり編曲した部分がないくらいリコーダー向きに出来ています。プレストと指示されていますが少し遅めにしても支障はないでしょう。
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第18番第4楽章を入れました。これで完結です。改めて大曲だなぁと痛感いたしました。やはりこの人は偉大ですね。
 この楽章はソナタ形式なので見通しは付けやすいと思いますが、驚いたことに第2主題がない。その代わりにフガートが延々と続くので主題提示部に展開部が組み込まれているみたいになっています。そのため、余分な音形がほとんどなく実に引き締まった曲に仕上がっています。
 編曲にいそしんだおかげで四つの楽章をかなり詳しく知ることが出来ました。古典派、特にハイドンによって音楽構成上、主題労作とその発展と展開の技術が発達しました。その継承としてこの弦楽四重奏曲は第1楽章の第1主題からこの楽章ばかりでなく全ての楽章を創作したことが明瞭に見て取れる好例となっています。他の作品ですとかなり複雑な分析を要する場合が多いのですが、この曲ならその心配はありません。スコアをつぶさに見ていけばすんなり理解できると思います。その種の分析に慣れていない方には格好の教科書になるでしょう。
3月7日(火)
(更新)臼井リコーダーアンサンブルにリンクを張りました。同じ千葉の団体ですからこれからも色んな機会にお付き合いしていきたいと思います。
(更新)シュッツの音楽的葬送ミサ第2部「主よ、我ただ汝を持てる時」を入れました。KQさんの推薦曲です。技術難度は高くないのですが、音域の関係でシャープ二個になったのがちょっと辛いところ。第2合唱は8フィートの方がリコーダーとしては響きが良いのでMP3とMIDIはその形にしてあります。パート譜は4フィートのままですが、そのまま読むのに難はないでしょう。
 全体を一応三つに分けて1-23小節が序奏(緩)、24-91小節が主部(急)、91-98小節が結尾(緩)という具合にテンポを変えてあります。強弱は8声の総奏を強くすれば問題ないでしょう。
3月6日(月)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第18番第3楽章を入れました。6つの変奏とコーダを持つ長大な緩徐楽章です。彼の緩徐楽章の中でも圧倒的に規模が大きく、ベートーヴェンかと錯覚しそうです。音符がかなり細かいのでなんかやたらに難しそうな印象を受けますが、テンポがゆったりしていますから見てくれほど忙しくはありません。それより問題は息継ぎ(特に第2変奏のアルト)でしょうね。息継ぎまで考慮して編曲するのは無理だったので、実践的に工夫するより仕方ないでしょう。
3月5日(日)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第18番第2楽章を入れました。トリオのソプラノがやや難しいですが、それ以外は合わせ易いと思います。特に解説するような悩ましい点はなさそうです。
(更新)マショーのノートルダム・ミサを入れました。この曲は知足庵のお気に入りなので以前から作っておこうと考えていました。なにせ和声法もリズムも独特なので固定観念を壊すにはもってこいです。
 この曲にはイソリズムという循環リズムがあちこちに用いられています。実践譜とはいえ、これを意識せずにはすまないので書き込むことにしました。曲の節を区切るのには複縦線を使い、イソリズムの区切りには太線を使っています。それに循環毎にローマ数字で回数を入れてあります。イソリズムの対象になる声部はテノール二本だけです。アルト二本には適用されません。又、イソリズムの使用箇所は必ず三拍子でテノール1にグレゴリオ聖歌などの定旋律が置かれています。
 二重導音が多用されています。これが独特な響きの源と言えるのですが、アクシデンタル処理について決定的な版は存在しないのである程度校訂処理しなければなりません。実践譜を意識して私見で加えた箇所もなきにしもあらずです。
 参考にした原譜には何箇所か誤りと思われる音符があります。これまた決定版を確認するだけの情報を持ち合わせていないので幾分不遜ながら一存で代えてあります。それでもまだ不確かな箇所もあるのですが、私の実力ではなんとも出来ませんのであしからず。

キリエ 原譜ではキリエ1・クリステは三回ずつ繰り返すことになっています。後半のキリエは2を二回、3を一回やります。ですが、ただ繰り返すだけでは面白くないと見えて、聞いたCDは皆二度目は定旋律のグレゴリオ聖歌の原曲を入れています。私もその方が良いと考えたので加えておきました。テノール1を見れば、全く同じだと確認できるでしょう。そこで演奏順は
 Kyrie1/Chant/Kyrie1 Christe/Chant/Christe Kyrie2/Chant/Kyrie3
となります。
 全部イソリズムが使われています。キリエ1は6小節×2回、クリステは7小節×3回、キリエ2は8小節×2回、キリエ3は14小節×2回です。
グロリア この曲はイソリズムを使っていません。104小節以下(Amen部分)はそれっぽいですが、違います。43小節以下、91小節以下に大全音符だけのところがあります。どちらも歌詞は"Jhesu Christe"で、強調されていますので意識して下さい。
クレド 途中何箇所か節目毎に器楽の合いの手があります。アルトが二本ともお休みの小節ですので確認は容易です。合いの手の手前で一旦曲が完結するようにして下さい。70小節目に全休符があって大全音符に続きます。ここの歌詞は"ex Maria Virgi(ne)"でそのまま後段に続きます。
 163小節以下が"Amen"のイソリズムになります。12小節×3回です。実はここは複拍子になっています。アルト二本は作成した譜面どおり3/2拍子ですが、テノール二本はその3小節分で一つの小節になっているので正確には9/2とでもしなければなりません。なんとか書きようはあるのでしょうが、私の能力を越えますし、実践譜向きではないので全部3/2拍子で統一してあります。
サンクトゥス 最初の15小節が前奏に当り、16小節から本体になります。17小節からイソリズムが始まって8小節×10回繰り返されます。お分かりの通り、歌詞上の切れ目とイソリズムの循環が必ずしも一致する訳ではありません。最初に書いた通り、複縦線が歌詞上の切れ目に当たります。
アニュス・デイ この曲はロンド形式のような形になっています。簡単に書くとA-B-A-B-A-Bになります。B部分にイソリズムが使われています。三回ともリズムは異なります。
デオ・グラシアス イソリズム循環2回だけのなんともあっけない曲です。
3月3日(金)
(更新)今週のMP3」を差し替えました。フローベルガーのカプリッチョはこれにて完結です。
今週に入ってから風邪がぶり返してへたっております。今に至るも完全復調になっておりません。参った参った。集中力がなくなってさっぱり作業がはかどらないので今週は新譜を載せることが出来なくなりました。何にもないと情けないのでMP3だけ入れ替えましたが、とにかく体調を戻さないと話になりません。
 そんなこんだで漫然と過ごしています。今日はBS2で「将棋界の一番長い日」を放送するのでばっちり見るつもりです(これ書いてる現在は午前11時)。今日は将棋のA級順位戦最終局が一斉に行われます。名人戦挑戦者は8勝1敗で並んでいる羽生4冠と谷川9段の二人に絞られています。今日決まるのか挑戦者決定戦に持ち込まれるのか興味津々。皆さん、プロ将棋は面白いですよ。ついでに私はプロ囲碁も好きでして羽根・山下の棋聖戦も楽しみました。山下天元の4連勝は一方的過ぎてちょっとあっけなかったのが残念。
2月27日(月)
(更新)カベソンの"Qui la dira"によるティエントを入れました。"Qui la dira"はジャヌカンの5声のシャンソンだそうですが、原曲の譜面も音も見聞きしたことがないので比較は出来ません。それに"Qui la dira"をどう訳したものか??? 原詩が知りたいところ。このティエントは特に難しいところもないのでやりやすいと思います。一応AATCbにしましたが、ATTBとかSATBでも可能です。お好みで代えてみてください。
(更新)リストのバッハの名前によるプレリュードとフーガを入れました。冗談と真面目の境界線上の曲とでも申しましょうか、理論的には可能と申しましょうか。作った理由はいたって単純でとにかくこの曲が好きだからです。昔、ヨーロッパ旅行中にどっかの大聖堂で聴いた経験があります。それ以来、編曲する意欲がありました。当時はMP3を作る技術を持っていなかったので作っても音にするあてがなく、見送っていましたが、今なら一応音に出来るので実践向きでなくとも問題ありません。
 この曲は1855年、リストが44歳の時に第1稿が作られ、1870年に改訂されています。中期以降のリストは調性からの逸脱が顕著です。この曲で調性が感じられる部分はそんなに多くありません。又、減7和音の多用に大きな特色があります。
 「フーガ」と銘打っていますが、あまりそれっぽくないので全部プレリュードというかファンタジアとでも考えておいたほうが無難でしょう。
2月25日(土)
(更新)モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」から「我は歓喜せり」を入れました。色々悩んだ曲です。というのもこの曲は他のものと違って通奏低音が重要な意味を持っているのでどうしたものか決めかねてしまったからです。当初は(一年くらい前になりますか)一貫性を持たせようと考えてFバスなしで作ってみたのですが、鳴り方がイマイチでパッとしない結果になりました。その時はそのまま放置して他の曲をやっていましたが、Fバスの出番がまるでないので益々やる気が失せてしまいました。まぁ今では一段落しているので変なこだわりもなくなったし、こんな名曲を放っておくのももったいないので久々に蔵から出してFバスをつけました。響きに厚みが出てようやく様になったみたいです。
 音符で問題なったのが、何箇所かのカデンツに出てくる通奏低音のH音と上声のB音のぶつかりです。鳴らしてみるとやはりこれはあんまりなので3箇所ほど通奏低音のH音をB音に代えました。校訂とかは無視して実践を優先した次第です。それ以外にも問題になりそうな音もなきにしもあらずですが、切りがないのでよしとしました。
 構造は次の通りです。原譜は4/2と4/4がまちまちに出てきますが、全部4/4に統一したので小節数はほぼ倍になっています。以下の小節番号は編曲版です。

1-55 通奏低音上のテノール・ソロ + 合唱 + 通奏低音上のテノール・デュオ の三部構成になっています。
56-92 ソプラノから始まる走句的部分から合唱につながります。
92-146 通奏低音上のソプラノ・デュオ + 合唱 + 通奏低音上のトリオ。
147-173 ロンバルド・リズムの走句部分 + 合唱。
173-189 通奏低音上の6重唱。詩篇の歌詞はここまで。以下は例の「父と子と聖霊に…」の定型句。
190-232 結尾部。更に細かく分割できますが、いずれも合唱です。
(更新)バッハのプレリュードとフーガハ短調BWV546を入れました。大分以前に作っておいたままほったらかしにしていた曲です。全体に各パートへの振り分けが厄介でまとめるのが難しくて嫌気がさしていたせいです。この程度の難度ならば、練習に取り上げたいので各パートにあまり無理すぎる音符は書けないんですね。これでもバス・パートは少々やり過ぎ気味かもしれません。加えて、プレリュードは実に内容が濃いのに反してフーガの方は比較的淡々としていてかつ長いので少々間が持たないのが辛い。もっともバッハのフーガの場合、オルガン曲よりチェンバロ曲の方がはるかに内容が濃い傾向があるのでやむなしでしょうか。そうは言ってもそこはさすがバッハ。これはこれで立派な二重フーガですよ。
2月24日(金)
(更新)今週のMP3」を更新しました。今回はフローベルガーのカプリッチョ第7番から第12番までです。
楽譜紹介の最初の文を少し変えました。「オリジナル編曲」としていましたが、そうとも言えないものも多くなったので少々看板に偽りあり状態になったので「編曲及び自作譜面」としました。
色々譜面を作っていると編曲とそうでないものの境界線の引き方がよく分からなくなります。合唱曲などは譜面上は元とさほど変わらないのですが、必ずしも楽器割り当てを元の声部指定通りにしている訳ではありませんし、移調したり、音域に不都合があれば他の楽器に回したり、あれこれ工夫しています。こういうのは編曲と言うのか言わないのか。それに合唱曲は大抵パート譜なるものが存在しないので(元々はあったのにね)自分で入力して作るしかありませんから公表する意味が全くないとも思えませんし。まぁ、難しく考えても始まらないので出来たらなんでもとりあえず発表しておくつもりです。
2月23日(木)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第18番第1楽章を入れました。何て言うか、例のごとく一つ傾向に集中しちゃう癖が出てるだけですかね。弦四は大好きな分野なのでなお更です。他の作曲家の作品に手を出したい気は十分あります。さてこの曲ですが、とにかくひたすら「なだらかに」やるだけ。強弱とスタッカートでメリハリを付けるだけで十分でしょう。相変わらずCバスが面倒ですが、ちょっとした手直しでバスに交換出来そうなので試してみてください。
2月21日(火)
(更新)ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番第2楽章を入れました。ベートーヴェンの緩徐楽章は中期以降優美さが一段と濃くなってきます。リコーダーではなかなかこなし切れない領域に入ってきますが、編曲に挑戦するには面白い素材になります。とはいえ、この曲は典型的な「ベートーヴェンのアダージョ」。テンポを上げることもならず、耐久力勝負に賭けることになるでしょう。
 調性はヘ長調にしました。一つの曲はなるべく調性関係を原曲のまま保持したいのですが、その原則だとこの楽章は同主調のニ長調になりますが、どうもうまく行きません。しょうがないので平行調で妥協しました。そもそもこの第8番は全楽章がホ短調かホ長調になっていて主音が変わらないという特徴があります。「月光」のような例はあるもののそう頻繁に使われる調配置ではありません。短調系の曲の緩徐楽章は平行調の下属調が一番多いでしょう。二つの短調系交響曲、5番、9番はどちらもそうなっています。とすれば、8番は変ロ長調にすれば安全となりますが、これまた無理と判断する他ありませんでした。
 さてこの楽章。複付点音符とか三連符とか扱いが面倒な音符の続出で苦しみます。縦の合わせがとにかく難しいですね。バスを使うと音形がかなりゆがむのでCバスにしましたが、相当優秀な楽器でなければこなせないでしょう。
2月17日(金)
今日は風邪で熱やら咳やら頭痛やらに苛まれてます。頭働かないので安静安静。
(更新)今週のMP3」をフローベルガーのカプリッチョ第1〜6番に差し替えました。
2月16日(木)
(更新)ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番第1楽章を入れました。出来る出来ないは二の次で編曲してみたい曲というのがあってこれもその一つです。ppからffまで表情を付けるのはリコーダーではまず無理でしょう。別の手を考えないといけませんね。容量を食うのであまりやりたくないのですが、MP3もMIDIも後半の繰り返しをしています。困ったことにこの曲は後半のリピートにも一括弧二括弧があってやっておかないと居心地が悪いんですね。誰だったか「作曲者が書いた音符は全て音にすべきだ」と言った人がいましたが、私も同意見です。たとえば、「運命」第4楽章の後半は絶対繰り返すべきでしょう。
 この曲は冒頭の主題提示が斬新で好きです。E mollの主題をいきなり半音上げてF durで繰り返してその流れで次のFis dimにつなげる発想はさすがです。
 この曲と同時期に作曲されたピアノ・ソナタ「熱情」の第1楽章の主題も同趣向です。こちらはf moll - Ges dur - f mollと元に戻るふくらみ型で、和声だけでなく動機的にも重要な要素になっていて、全楽章にわたって使われています。
 もう一曲、少し後の作品ですが、弦楽四重奏曲「セリオーゾ」の第1楽章でもこの方式が用いられています。第8番と同じf moll - Ges dur - g mollの上昇型で、しかも楽章全体に浸透している分、より過激です。ベートーヴェンは一つの動機なりやり方なりをしつこく追求する人ですからよほど気に入っていたのでしょう。
 この半音上昇形はナポリの6度の拡張から発展したのではないかと思います。「熱情」の第3楽章が一番明瞭ではっきりとナポリの6度になっています。ナポリの6度はサブドミナント機能を持ちますから弦楽四重奏曲第8番第1楽章冒頭もI-IV-V-Iの基本的なカデンツの拡大型と解釈できますし、一番最後の箇所ではナポリの6度そのままで出てきます。「セリオーゾ」まで来るともうそんな印象はなくなりますけど。
 そういえば、この方式の代表的な後継者ブルックナーの交響曲第5番はナポリの6度のオンパレードでしたね。
2月15日(水)
(更新)バッハの8つの小プレリュードとフーガから2曲入れました。大分以前に作っておいたのですが、完璧に忘れていました。練習したこともありますが、曲があっさりしすぎて少々物足らない感じだったので自主的にお蔵に入れてしまいました。今回出してみると「それほど悪くもなさそう」という印象なので又持ち出したい。
真作説偽作説がなにかとかまびすしい曲集で新バッハ全集ははじいてしまってますが、新バッハ全集は真偽不明の場合は載せない方針なので載っていないから即偽作とも言えない所があります。BWV553はともかくBWV554は真作として何の不思議もないと思います。8曲まとめて考えるより一つ一つ判断した方が良いかもしれません。
2月14日(火)
(更新)カベソンのティエントを二曲入れました。ディフェレンシアに比べて対位法的なのでフーガ好きの人はどうぞ。二曲とも"Primer Tono"つまり第1旋法でD音から始まるドリア調です。No.1は音をずらしていないのでそのまま見れば分かります。No.2は4度上げなので正しくはフラット一個なのですが、E音よりEs音の頻度が高いのでフラット2個にした結果、表記上はドリア調になっていません。譜面の見易さを優先したまでです。
2月13日(月)
(更新)ゲレーロの「天の女王」を入れました。8声ものというと4+4の応唱型が普通かもしれませんが、これは違います。これだけ入り組むと音がごちゃごちゃになりがちですが、この曲にその心配は要りません。カデンツの繋留音のそこここの適度な経過音以外に不協和音らしきものが見当たりません。透明感はその和声のせいでしょう。
定旋律が順次進行するというある意味で典型的なモテット形式です。旋律の変わり目が歌詞の変わり目でもあります。
1-14 regina caeli 明確な定旋律はソプラノ2とアルト2にあります。
13-24 Alleluia 小節が入り組んでいるのは声部毎に順次入り込むからです。定旋律はソプラノ1,2ほかあちこちに出てきます。
24-38 quia quem meruisti ソプラノ1、バス1に基本形があります。
37-47 portare 定旋律はバス1,2など。
47-53 alleluia 先ほどのアレルヤと同じですが、基本形はソプラノ1に一度出るだけです。
53-68 Resurrexit sicut dixit バス1が基本形に近い。
69-73 alleluia ソプラノ1,2に基本形があります。
73-84 Ora pro nobis Deum バス1が基本形。
84-109 alleluia テトラコルドの形があちこちに出てきます。
2月11日(土)
(更新)トロンベッティの「主を恐れよ」を入れました。4曲目ともなるとあまり書くことがありません。基本的に全奏をフォルテ、声部が少ないときはピアノと強弱を付ける程度で問題ないと思います。開始直後しばらくは調性的に不安定な感じを受けますが、もともと調性が確立していない時代ですから調性的に発想しても意味はありません。そういうもんだと思っておけば耳が勝手に慣れてきます。ただし、旋法の転換とか主音の移動程度のことは起こるので時としてアクシデンタル処理に悩む場合はあります。この曲ではその心配は無用です。
2月9日(木)
(更新)ブクステフーデのプレリュードハ長調を入れました。調性はともかく結構見え難い曲かもしれません。フローベルガーと同じで細かい曲の集合体なので緩急次第で大分気分が変わります。
1-13 序奏的走句部分
13-45 フーガ部分。さほど技術的に見るべきものはありませんが弾んだ感じが出れば良いでしょう。
45-54 フーガに続く終結部。各声部の絡み具合とテンポの揺れが意外と合わせ辛いかも。
55-65 アレグロとなっていますが軽いフーガ風。最後の2小節は音符が細かいのでここだけテンポを落としても問題なさそうです。
66-96 12/8のこれもフーガ風の終結部。
(更新)今週のMP3」をベートーヴェンの弦楽四重奏曲に差し替えました。
2月8日(水)
(更新)ヴィクトーリアのミサ「満ちたりし時」を入れました。一曲位はミサを入れたかったのでまとめて出しました。全部通そうなどとは考えないほうが無難でしょう。適当に選んだ方が安全です。
キリエ 中間部のクリステ・エレイソンはS,A1,A2,T2になります。全部でもさほど長くないのでまとめておくべきでしょう。
グロリア 中間部はA1,A2,T1,Bになります。原譜にテノールがどちらになるか指示はありませんが、キリエと別のパートにまかせることにしました。
クレド どうしても長くなります。四つの部分に分かれていて第3部はS,A2,T2の3声になります。これも指示はありませんが、知足庵の判断で決めました。この部分を削除しても長さは十分なので試みる意味はあるでしょう。
サンクトゥス・ベネディクトゥス どちらも短い曲です。それにサンクトゥスは後半がA1,A2,T1,Bの4声、ベネディクトゥスは前半がS1,S2,A1,T1の4声なので4声の好みの方を選んで三部にまとめる手が使えます。ベネディクトゥスのソプラノ2はアルト2の持ち替えにしてあります。
アニュス・デイ 後半はソプラノが増えて7声になります。
2月6日(月)
(更新)モーツァルトの弦楽五重奏曲第2番第4楽章を入れました。これにて完結です。この曲だけ取り出すなら原調のハ短調のままでも良さそうですが、シリーズとするとイ短調にするしかありません。その分ちょっと厄介でしょうか。
 変奏曲形式ですが、変奏毎に一息入れるよりどんどん繋げて一気に突っ走るほうが良いでしょう。ただしテンポは少し変化させたほうが無難です。特にコーダは少し速くします。
 メゾフォルテピアノなどという見慣れない記号が出てきます。意味は分かるので軽くアクセントを付ければ済みます。
2月4日(土)
(更新)モーリーの「水晶の泉のほとりで」を入れました。実は使用した譜面が疑問の音符だらけで厄介でした。別に調べた楽譜で訂正が出来た箇所もありますが、こちらの譜面にも疑問があったりしてなかなか確実さが得られないので何箇所か暫定的処理を施しています。判断に困ってとりあえずそのままにしたところもあるので気になる箇所もなきにしもあらずです。いやはや。
 テンポは速めに取りたいのですが、やりすぎると和声進行が濁ってしまうので程々にしたほうがよいでしょう。テンポは揺らさなくても音価の大小で緩急が付くので音符まかせでもかまわないかもしれません。
2月3日(金)
(更新)モーツァルトの弦楽五重奏曲第2番第2楽章第3楽章を入れました。忘れていたわけではありませんが他の曲にかまけていて先送りにしてしまいました。
 第2楽章は簡明なソナタ形式で出来ていて滑らかにやればそう難しくはないでしょう。テンポは多少動かしたほうがやりやすいと思います。表情付けが難しいかもしれないので○二つにしておきました。
 第3楽章は定型のメヌエットですが、カノン技法を使っているところが独特です。トリオは反行の二重カノンという大変技術難度の高いものです。メヌエットにカノンを使った他の作品は交響曲第40番くらいしか思いつきません。
 トリオはイ長調のため変化記号が多くなりますが、テンポを遅めに取れば、さほど難しくはないでしょう。原曲では第2ヴィオラがお休みですが、あんまりなので前半はテノール1、後半はテノール2と分けました。
(更新)今週のMP3」を差し替えました。これでバッハとドビュッシーが完了しました。
2月2日(木)
(更新)トロンベッティの「我が唇を喜ばしめん」を入れました。比較的掴みやすい曲なのでありがたい。途中に三拍子があります。通常、三拍子はテンポを少し速めにするのですが、どうもこの曲ではしっくり来ないので遅めにしてみました。8フィートよりも4フィートのほうが気分が出ます。
(更新)シュッツのドイツ・マニフィカトを入れました。KQさんの推奨曲で譜面も提供してもらいました。歌詞はマニフィカトですからルカの第1章第46-54節のドイツ語訳ですが、第50節が省略されているので8節分です。曲の区切りはこれに従っているので了解しやすいでしょう。1545年版のルター訳聖書と比較してみましたが、数箇所異同があります。冒頭からして"erhebt"と"erhebet"と違っている位なので使用しているのはルター没後に出た最終版かなと推測していますが、あいにく手元にないので確認できませんでした。
210小節目からは例の「父と子と聖霊に栄光あれ…」なので結尾部と見てよいでしょう。
 途中のフェルマータが三回出てくるので(42、121、209小節目)全体を大きく四つに分けてまとめていけば、結構やれるはずです。エオリアンでは一人足りませんが、バスを統合してしまえばなんとかなります。これは内輪版ということで秘密です(おおげさな)。
2月1日(水)
(更新)トロンベッティの「主よ平和を与えたまえ」を入れました。トロンベッティはパレストリーナやラッソの少し後輩に当たる人ですが、かなり雰囲気が違う気がします。この曲もそうですが、なんだか雰囲気がふっくらしているんですね。あまりソプラノを使いたくない。
 それにしてもこの人、伝記を調べても???です。誰か知りませんか。
(更新)ラッソの「最後の時にゃ」を入れました。ラッソは合唱ならどんなタイプの曲でも書いた人なので時折こんなのに出会います。歌詞がラテン語でしかも6声となると、これは初めからモテットのもじりというべきでしょう。大体前半と後半の組み合わせ方が意表を付こうという意図がミエミエです。演奏もその辺りを誇張してみると面白いでしょう。
 前半の歌詞は題名の通り、"In Hora Ultima"で何やら最後の審判を匂わせます。明るい和声ばかりなのにバスのオクターヴ降下が何となく不吉さを持っています。ここはモロにモテット気分を出すべきでしょう。
 後半の歌詞は"tuba, tibia et cythara, jocus, risus, saltus, cantus et discantus."(ラッパ、フルート、それにキタラ。ふざけて笑って踊って歌って)てな具合で賑やかに騒ぎまくります。最後の直前に一箇所だけ短和音があったのでリタルダンドしてみましたが、これは知足庵の趣向なので気にしないでください。
 あっという間に終わってしまう曲なのでアンコール向きでしょうかね。
(更新)ゲレーロの「いとも麗しきマリア」を入れました。ここしばらくイタリア、スペインの合唱曲に集中しています。エオリアンはこの時代の合唱曲が大好きなのでストックはいくらあってもかまいません。大体、5-7声のものがねらい目です。この曲もそんな事情から目をつけたのですが、ゲレーロは曲調が明るいのでヴィクトーリアとは好対照でしょう。なかなか得難い作曲家です。
これまで高声はアルトにもっていきましたが、この曲はどうもうまく行かないのであきらめました。8フィートにする気にはならないのでそのままMP3、MIDIに入れています。
1月31日(火)
(更新)バッハのオルガンのためのコラール編曲を三つ入れました。一部は以前に作ってあったのですが、行方不明になっていたり、データが古過ぎたりしているので作り直しました。パレストリーナ様式のコラール三つでセットになっています。コラール・パートを除くと割と難しい。変化音が多いので減らそうかとも考えましたがうまい手が見つからなかったのであきらめました。
今回はMP3、MIDIを少し味付けしてみました。BWV669とBWV670は8フィートにしてコラールはオクターヴの重ねで強調してあります。BWV671はセットの締めくくりなので華やかにと考えて全部4フィートと8フィートを重ねました。バスのコラールはアルト、バス、Fバスの三つを組み合わせたので11本編成です。
一月が終わりました。結構頑張ったので曲数が増えました。色々な作曲家の作品を入れたので彩りも出てきたかなと思います。
1月30日(月)
(更新)モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」からソナタを入れました。原曲の性格からしてコンソート向きではないのですが、シリーズのまとめの意味で入れておきます。ヴァイオリンとコルネットの対比をどうしようか悩んだのですが、楽器を変えるのも音色を変えるのも無理そうなので全部アルトにして左右対称形に配置しておきました。とりあえず対比は出るでしょう。原調だとソプラノ4本になってやかましいので五度下げてアルトに回してあります。定旋律が最高音にくるようにしたので音が潜らずに済むでしょう。MP3、MIDIではテノールを重ねておきました。移調した結果、テノールの出番がなくなってしまったのでメンバーに余裕があるならテノールも参加させるとよいでしょう。
想定した配置は A1 A2 B1 Fb S T B2 A4 A3 です。
例によって拍子の変化が厄介です。特に3/2の三拍子と2/2の三連符のテンポをどうするかが難問で、どう区別するか悩みます。MP3、MIDIでは後者を少し速めにしてあります。
1月29日(日)
(更新)ジェンキンズの6声のファンタジアを入れました。通常ファンタジアは複数の主題を連ねていくものですが、この曲は一つしか主題がなく扱い方は完全にフーガと同じです。主題処理はなかなか凝っていて音価の2倍・4倍の拡大形もあれば、ストレッタも頻繁に出てきます。バスとCバスがかなり手こずりそうです。どちらのパートも音域が広く、一方の楽器2本では扱えないので二種類の楽器で音域にあわせて適宜入れ替えて音程の上げ下げをしないようにしました。
 47・83・101小節目が区切りになっているので一呼吸置いて次に進む方がよいでしょう。
(更新)バッハのカンタータ第207番の行進曲を入れました。バッハの曲としては珍しい部類に入るでしょう。原曲はトランペット、ティンパニ、オーボエ、ファゴットという吹奏楽編成です。軽さが欲しかったので高音楽器でまとめました。コンサートのオープニングに使えないかと考えています。
1月28日(土)
今日は練習日でした。あれこれ選曲しなければならないので持ち込む譜面が多くで重いのなんの。知足庵は電車通いなので肩にきます。曲が決まればそれだけ持っていけば済むのでラクチンになりますから早く決めたい。7月のプログラムにトロンベッティをやろうと話がまとまりました。演奏会に一つは8フィートものをやることに決めていますが、7本でやるのはちょっとした快挙かもしれません。ムフフ楽しみ。
(更新)ゲレーロの「喜びのバルバラ」を入れました。とてもやり易い曲なので特に書くこともありません。彼の曲には躍動性があるのでさわやかさを表現できないかと考えています。聖バルバラの祝祭日は12月4日だそうです。一箇所平行八度があったので誤植と判断して音を変えてあります。
1月27日(金)
(更新)ゲレーロの「聖母マリア」を入れました。譜面を見ているうちに「これはいける」と思ったので早速やってみた次第です。原調を4度下げてあります。活発な曲ですが、上声がソプラノ2本ではやかましいかもしれません。アルトの方がやわらかくなるでしょう。8フィートもよさそうですが何となくその気になりませんでした。特に難しいところもなく、アンサンブルもやり易そうなので今年中に演奏会に上げてみたいものです。
題名は"Beata"(祝福された)"Dei"(聖なる)"genitrix"(生母)でまぁ直訳するとうっとうしいので「聖母マリア」で差し支えないでしょう。
(更新)「今週のMP3」を差し替えました。今回はバッハの平均律クラヴィーア曲集をまとめて出しました。
(更新)ヴィクトーリアの「行きて町に至れ」を入れました。ヴィクトーリアは秀曲が多いのでこれからも探索していくつもりです。16世紀のモテットはあまり自己主張の強い主題が出てこないのでとらえどころがない感じですが、それでも不思議と作曲家の個性と技量が分かります。パレストリーナやラッソとはやはり違うんですね。
"Vadam et circuibo Civitatem"を上のように訳しましたが、出典が分からないので知足庵の意訳です。あっているかどうか。副題が"in planctu Beata Mariae Virgine"となっていて「哀れみの聖母マリア」です。曲の構造について特に触れるところはありません。
 このところ合唱曲ばかりやっています。どうしても一種類に集中する癖が出ます。
1月26日(木)
(更新)トロンベッティの「主よ、汝に呼ばわらん」を入れました。7本ものは得難いのでこれはと思うものを見逃せません。内容がいまひとつはっきりしない曲ですが、音にしてみると割といい感じです。原譜ではカデンツの導音をアクシデンタル処理している箇所が少ないので扱いをどうするか迷いましたが、そのままにしてあります。ある程度強弱がないとメリハリが出ないので適当に処理しましたが、決定版かどうかは疑わしいところ。曲が見えてこないとうまくいかない可能性大です。8フィートの方が断然いい感じなのでMP3もMIDIもそちらにしてあります。
1月25日(水)
バッハのカンタータ第14番のコラールのソプラノ1・パートを差し替えました。途中の休みが長いのでガイド音符を付け加えてあります。
1月24日(火)
(更新)モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」から「しもべたちよ、主を誉め讃えよ」を入れました。合唱は8声ですが、Bass generalisの独立性も高いので9声ということも考えましたが、使うとなればFBassとなってシリーズの一貫性に支障が出るのでやめておきました。バスはところによって合唱パートではなくこちらに回っています。バス2本のデュエットが苦しくなってテノールの助けを借りましたが、これは許せる範囲でしょう。音価は場所によってやり方を変えています。
 この曲もテンポの交代が実に面倒です。リタルダンドかなんかで一呼吸置ければ、随分楽になりますが、あいにくいきなり変わる場所も多いので曲を頭にしっかり入れておくしかないでしょう。
 全体は大雑把に4つの部分に分けられます。原譜と小節数が異なりますので以下の小節数は編曲版のものです。

1-27 合唱部分に当たります。更に二つに分けることが出来ますが、一応一つにまとめて扱って問題ないでしょう。元は4/2ですが、所々2/2も混じっていて処理が面倒なので全部2/2に統一しました。音価は元のままです。
28-87 デュエット部分です。ソプラノ、テノール、バスの三つに分かれます。ここも音価はそのままで2/2に統一してあります。
88-140 合唱部分です。テンポも拍子も目まぐるしく交代するので一番ややこしい部分でしょう。三拍子系は速めに、二拍子系は遅めにが原則。三拍子系の音価は短くしてあります。二拍子系は2/2に統一しました。
141-197 それまでと同じく合唱部分ですが、ここから例の「父と子と聖霊に…」になるので別にしておきます。途中6/4もあって雰囲気は前の部分とそれほど変わっていません。151小節以下と158小節以下にテノールとバスだけの部分があります。リコーダーでは音がやせ過ぎになりかねないので2本重ねにする方が良いかもしれません。MP3、MIDIではそうしてみました。結尾は声部が減っていって最後はテノール2本のユニゾンで終わります。ちょっと風変わりな終わり方ですので効果を工夫すると楽しいでしょう。
1月23日(月)
(更新)モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」から「主を除きて」を入れました。変な題ですが、"Nisi Dominus aedificaverit domum:"「もし主以外の者が家を建てたならば」の一部なのでこう訳してみました。
 同じ傾向のものを続けてしまう癖は相変わらずです。この曲はとても好きなのでことのついでです。5声ずつの二部合唱形式ですが、バス二つは独立性が低いので"Bassus generalis"のパート一つで代用することも可能です。また、定旋律を担当するテノール1とテノール4は10声まとめて出てくるところではユニゾンなので少し工夫すれば、一つに統合することが出来ます。従って、ほとんど雰囲気を損なわずに8声でやれることになります。この場合にはバスとテノールを中央に配置してSATTBTASにすれば良いでしょう。ま、それは分かっているのですが、どうせエオリアンでは人数不足ですから試みる意味がないので紹介するのは10本版です。
 バッハのモテットでやってみた第2合唱を8フィートにする手はここでも使えます。MP3にして響き具合を確かめてみましたが、この曲の場合、音程の近い声部の交錯に魅力があるので断然こっちというほどでもありません。MP3は4フィート同士の版を採用しています。

曲は4部構成です。
1-18 10声の複雑な部分です。譜面は難しくありませんが、合わせるのはかなり難しいのでテンポは遅めに取るほうが無難です。あまり速いと聴いていても何のことやら分からなくなります。二つの部分に分けられますが、知足庵は例によってどちらもリタルダンドをかけています。
19-82 中核部分で応唱形式になっています。テンポを速めにして軽やかさを意識するべきでしょう。テノール1とテノール4が定旋律なので音量を大きくしてかつゆったりと鳴らすようにしました。他の声部は音量を下げてあります。6/4との交代が実に難しい。練習で勘を掴むしか手がないでしょう。
83-89 ここからお決まりの「父と子と聖霊に…」になります。短いですが、独立した単位と判断します。ここは二つの合唱が同じなので5声です。ここだけは8フィート入りの方がオクターヴ重ねで荘厳。かなりゆっくり目にして他と区別しました。
89-109 最初の部分のほぼ繰り返しに短い結尾部が付いています。

(補足)8声版も入れました。Tenor1とTenor4が一つになり、Bassが統合されています。後のパートはそのまま使えます。
1月22日(日)
(更新)モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」から「主は語りたもうた」を入れました。この曲をやりたがる人は相当変わり者? 原曲をしっかり把握しないと曲作りが到底出来ないでしょう。知足庵も実践よりMP3を作りたくて試みたのであって、仲間に振り向いてもらえるかどうか。
 recit.があちこちにあって、元々音符一個に歌詞が付いてるだけです。一応、ラテン語の抑揚をチェックして4/4に収まるようにしましたが、当然ながら「こうでなければ駄目」という性格のものではありません。適当にいじくるのは自由です。
 歌詞は詩篇110番なのでとりあえず歌に不向きではないにしても各節毎に曲想を変えているので構造はかなり複雑です。

1-8 Dixit Dominus Domino meo: 「主は我が主に語りたもうた」の部分で以下は全部その語った中身です。これが序奏にあたります。
9-11 sede a dextris meis. 短いですが「我が右に座せ」というゆっくりとしたコラール風の部分です。テンポ変化の指示はありませんが序奏より遅くすべきでしょう。
12-27 Donec ponam inimicos tuos: … recit.+ 合唱 + recit. + 合唱 + リトルネロで完結します。最初の合唱は"tuos"、次が"tuorum"でrecit.の最後の言葉をメリスマで歌います。拍子も気分も違うのでテンポは変えますが、直前のrecit.と必ず連続するのでテンポをしっかり覚えないとうまく繋がらないでしょう。
28-43 Virgam virtutis tuae … ソプラノ2本のデュエット部分。歌詞の節を歌いきるので次のrecitとは繋がらない。
44-62 Tecum principium in die … ここもrecit.+合唱が二回繰り返されてリトルネロで完結します。合唱の拍子パターンも同じです。
63-77 Iuravit Dominus … テノール2本のデュエット部分。ここも次のrecitとは繋がりません。
78-94 Dominus a dextris tuis: … ここもrecit.+合唱が二回繰り返されてリトルネロで終わります。
95-111 Iudicabit in nationibus … 合唱ですが独立したブロックです。
112-121 De torrente in via bibet: … ここもrecit+合唱が二回繰り返されますが、最後のリトルネロはありません。詩篇の歌詞はここまでで完結します。
122-144 Gloria Patri et Filio … ここは結尾部に当たります。歌詞は「父と子と聖霊に栄光あれ、云々」という定型句です。冒頭にテノール・ソロがあります。和音がないのでせっかくのフラットが無意味になっちゃいましたが、ゆっくり厳かにやっておけば問題ないでしょう。後は賑やかにやって終わりです。
1月21日(土)
(更新)モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」から「イェルサレムよ、主を褒め称えよ」を入れました。本数でばれますがこれも全員目当てです。「聖母マリア…」は多声の名曲揃いでよだれが出るのですが、いざ編曲となると面倒なところがあって中々手が出せません。本当はソナタをやりたかったのですが、扱い方がまだ解決していません。
「イェルサレムよ、…」は本体がテノールを中心に置いた応唱形式になっていますので配置はSAB + T + BASの対称形になります。4+4ではないので二部ではなく三部と解釈するべきでしょう。音価は半分にしましたが、この曲の場合、元のままでも半分にしても読みにくさはさほど変わりません。全体は三つのブロックに大別できます。
1.(1-10)導入部でテノール対6声の応唱になっています。テノール冒頭の呼びかけを除いた旋律が「聖母マリア…」の定旋律です。ここは勢いが欲しいのでテンポは少し速い方が気分が出ます。
2.(10-53)ここがテノールを真ん中に置いた左右の応唱部分。33小節からは応答がどんどん詰まってきてごちゃごちゃになります。45小節から半拍ずれの応答になるので勝負どころです。このあたりはテノールが規則的なリズムを刻みます。ケチャのタンプール役みたいなものでしょうか。MP3,MIDIではここのテノールの音量を他より大きくしています。
3.(54-82)結尾部と見てよいでしょう。歌詞もここからお決まりの「父と子と聖霊に栄光あれ、云々」です。定旋律はS1-B2-S2&B1にあります。途中にカデンツが二箇所あって知足庵はリタルダンド好きなので遅くしていますが好みが割れるところでしょう。
1月20日(金)
今日、リヴィウスのローマ史第3冊を読了しました。十二表法は無事成立しましたが、貴族と平民の紛争は50年経過しましたが、まだまだ続きます。戦争と内紛を交互に繰り返しているので笑っちゃいます。時には重なって戦争が出来ないなんてこともあったとは知りませんでした。平民が軍務拒否をやるんです。
印象に残る人物はやっぱりキンキナートゥス。息子が対平民過激派で追放と罰金で全財産をなくして農業をやっていた貴族です。独裁官になって16日で敵を破り、平民に復讐もしないでさっさと仕事に戻った気風の良さ。イタリアのどっかに像があったはず。どういう理由か知りませんが、アメリカのシンシナチは彼の名前に由来します。(Cincinati = Cincinatus)
もう一人は十二表法制定の中心人物アッピウス・クラウディウスですが、十人委員会で独裁をした挙句、没落して獄で自殺するというなんとも極端な男です。
第4冊はBC445から始まります。いきなりカヌレイウスが護民官で登場。授業でやった名前はやはり親しみがありますね。
(更新)ヘンデルの「メサイヤ」から第4曲と第11曲を入れました。7人全員でやる曲が決定的に不足しているのでやってみました。6人や8人だと割と曲が多いのに7人というのは不人気なんでしょうか? 知足庵はヘンデルは正直なところ苦手で今まで手を出したことがありません。バッハが好きなせいかヘンデルの譜面を見ていると「もう一工夫あればいいのに」なんて思ってしまうんですね。いい曲はいっぱいあるのに。
第4曲は「メサイヤ」の最初の合唱です。3度下げてヘ長調にしました。音程を下げて合唱パートをアルト以下で処理するのが知足庵の好みです。こうするとヴァイオリン・パートが合唱の上に来ますからかなりユニゾンを回避できます。オクターヴ重ねの方がユニゾンよりましですから。テンポはあまり速くない方が気分が出ます。強弱は付けていませんが、ソプラノ2本が頑張りすぎると合唱パートが潜ってしまうので適宜音量を抑えましょう。最後はアダージョが付いているので直前にリタルダンドしない方が効果的です。いきなり音がプツンとなくなっちゃうのが面白いので。
第11曲は二番目の合唱。要するに順番に編曲してるだけです。5度下げてハ長調にしました。
以前、Bassocontiが原調で編曲しましたが、諸般の事情で没になってしまいました。その折、二人であれこれ検討した時に5度下げが考慮されたので今回それでやってみました。全員でやるとなると編曲に当たってどのパートを誰にやってもらうかを想定しなければなりません。やはり個人差がありますので。ですから4本の曲などと比べるとどうしても「エオリアン用」という色が出ますのでご了承を。
 この曲の難点は低音のソロが多いことでしょう。上に伴奏が重なるとなにやら正体不明に陥る可能性大です。やむなく原曲にはない強弱記号を書き込みました。低音ソロの場所は伴奏の音量はpp位にしておきましょう。MIDIもMP3もちょっと強弱過剰かくらいにしてあります。"wonderful"さえ元気に出来れば後は適当に(無責任な)。
1月19日(木)
(更新)ラッソのモテット「星を見ると」を入れました。特に悩ましいところはないと思います。第1部の後半がぐっと動きが少なくなるので幾分テンポを速くしないと間が持たないでしょう。最後でテンポを抑えれば第2部に元のテンポで入れます。
 歌詞はマタイ伝第2章10,11節で東方の博士(単数です)が生まれたばかりのイエスにあった経緯をヘロデに話している場面です。ことに11節はイエスとマリアを見る場面で宗教画によくある題材です(私はジャン・ジェラールの作品が好き…これは関係ないか)。内容からしてクリスマス向きですね。
MP3とMIDIは8フィートにしました。この手の曲はやっぱり8フィート向き。
1月18日(水)
(更新)今週のMP3」を差し替えました。今回はバッハのオルガン曲の総ざらいです。
普段、MIDI作りは音量と残響をつけて後はgate timeとテンポ処理程度ですましています。ところがパレストリーナの場合、曲がゆったりのせいもあってか、アタックがきつくてちっとも優雅にならない。そこで今回は試みにAttack timeとBrightnessを少し加味しました。やりすぎると奇妙になるのでほんの少しです。上声があまりきらきらしなくなったのでそれなりの効果はあったようです。
(更新)パレストリーナの教皇マルチェルスミサを入れました。実はさや堂の経験からこのホールの場合、こんなゆったりと響かせる曲が効果的だろうと考えるようになったので今年の課題曲の一つになりました。全部やると長いので適当に選択することになるでしょうが、検討はずっと後の話です。
 キリエと二つのアニュス・デイを他より遅めに設定しています。一応全体の枠なので思わせぶりにやる方が効果があると考えています。グロリアクレドは3声、4声の小単位の複合体になっていて、節目毎に5、6声の箇所が出てきます。ここだけ少し音量を上げて強調すれば、メリハリが付くでしょう。特にクレドはもともと歌詞に向いていませんからだれる危険性大です。幾分テンポを速めに取るのが無難です。サンクトゥスホサンナベネディクトゥスも含んでいます。ベネディクトゥスの後にホサンナ部分を繰り返します。最後のアニュス・デイUだけが7声です。これは3声のカノンを含みます。バス1が提示、テノール2・アルト2が五度上で応答します。

1月16日(月)
(更新)ミヒャエル・プレトリウスのドレミファソラによるマニフィカトを入れました。ドレミファソラが二曲続いたのは全く偶然です。この曲はWernerさんのサイトで元の合唱曲として紹介されています。合奏では音価が大きすぎるので半分に縮小しました。各パート譜が6ページになる長大な曲です。
 対位法が複雑だし、歌詞の性格からして途中で曲想がコロコロ変わるのでまとめるのが難しい。加えて転調が極まれで各部分の独自性を出すのも厄介なので難度は相当高いと思います。それでも○二つが妥当でしょう。MP3、MIDIはあくまで参考に過ぎませんが、この曲は私見では音源がないようですのでどういう曲か知る手がかりになるでしょう。
 調性がハ長調かト長調に見えますが、第7旋法ミクソリディア調です。
 曲の構成は次の通りです。カッコ内は小節数、拍子は縮小した私たちの版によります。

1. Magnificat anima mea Dominum.(1-8) 2/2
2. Et exultavit Spiritus meus in Deo salutari(*1) meo.(9-48) 3/2-2/2
3. Quia respexit humilitatem ancillae suae:
  Ecce enim ex hoc beatam me dicent omnes generationes.
(49-82) 2/2
4. Quia fecit mihi magna, qui potens est, et sanctum nomen eius.(83-107) 2/2
5. Et misericordia eius a progenie in progeniem(*2), timentibus eum.(108-127) 2/2
6. Fecit potentiam in brachio suo, dispersit superbos mente cordis sui.(128-150) 2/2
7. Deposuit potentes de sede exaltavit humiles.(150-183) 2/2-3/2-2/2
8. Esurientes implevit bonis et divites dimisit inanes.(184-208) 2/2
9. Suscepit Israel puerum suum, recordatus misericordiae suae(*3).(209-238) 2/2
10.Sicut locus est ad patres nostros, Abraham et semini eius in saecula.(239-268) 2/2
11.Gloria patri et Filio et Spiritui Sancto.(269-311) 3/2-2/2
12.Sicut erat in Principio et nunc et semper et in saecula saeculorum, Amen.(312-350) 2/2-3/2-2/2
13.Et in saecula saeculorum, Amen.(351-376) 6/8-2/2

(*1)古ラテン訳では"salvatore"
(*2)実はこの形はどの写本にも存在しない。"a progenie in progenies"が一番近い。古ラテン訳は"in progenies et progenies"
(*3)"suae"を付けるのは一写本のみで通常はない。なお11-13.はルカの本文とは無関係。

3/2が四箇所にあります(2.7.11.12.)。2/2と比べてほぼ倍テンポにするのが普通でしょう。面白いと思ったのはフローベルガーと同様に三拍子系のカデンツが必ず2/2に戻っていること。プレトリウスの方が先輩ですからフローベルガーがこの手法を受け継いでいることになります。宗教曲でも世俗曲でも同じというのが興味深いところです。
 バッハの時代とは違って歌詞を正確に絵画的に描くやり方ではないのであまり歌詞を気にすることはないと思います。ただ、モノフォニーの部分は多少強調の意味があるのであわてずに遅めにするのが適当でしょう。三年間、たまに持ち出しては練習していますが、舞台に上げるのはいつになることやら。
1月15日(日)
昨日は今年の初練習でした。色々新曲の選定をやりましたが、とりあえず間近に迫っているヴァレンタイン・コンサート(時期ずれがひどくても名前は変えないらしい)は暮にやったシュッツとラッソをもう一度やることで決まり。どちらも不満が残っているので再挑戦。後、一曲はバッハにしたいということで5声のフーガを一つ。これも再挑戦もの。さすがに二ヶ月で新曲を出す勇気はありませんでした。
今年はコンサート・スケジュールが出来たも同然なので早目に準備が出来ます。でも曲目には頭を抱える。詳しくは演奏会コーナーに順次入れていきます。
今日はCD制作に費やしていたので譜面の方の更新はなしです。KQさんからカベソンの譜面の追加提供がありました。今度は比較的やさしそうなフーガがあるのでこれまた順次紹介できそうです。
1月14日(土)
(更新)ブルのドレミファソラを入れました。循環定旋律を使った曲です。この定旋律はフローベルガーのファンタジア第1番にも使われていますし、他にもあります。この曲の真骨頂はその大胆な転調にあります。ジェンキンズのファンタジア同様、異名同音も使われています。
 曲の途中にほとんどカデンツらしきものが出てこないので区分けが難しいのですが、定旋律の処理で大体三つに分けることが出来ます。

第1ブロック(1-28小節) 定旋律ソプラノ(アルト1)とアルト 開始音はG-A-H-Des-Es-F
第2ブロック(29-66小節) 定旋律バスとテノール 開始音はAs-B-C-D-E-Fis-G
第3ブロック(67-96小節) 定旋律ソプラノ 開始音はG-G-G-G

ご覧の通り、定旋律は17回出てきます。そして最後のGの連続を除くと二つの全音階になっていて12音全てが登場します。この発想は明らかに平均律を意識したものです。ジェンキンズが五度圏で動いていたのとは大きく異なります。五度圏の考え方からすぐに平均律は出てきません。
 フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブックのDoverの譜面の序文でもこの曲は注目すべき曲として構造について言及があります。全音階のことにも触れています。
 実践面では変化記号のやっかいさはやむなしとして第3ブロックの開始部分が問題になります。定旋律の音価が1.5倍になりますが、拍は同じにして三連符感覚でやるべきでしょう。その方が71小節目からの二連符・三連符の合成も掴みやすいはずです。拍子変化は原譜どおりで元々その都度の変化は書いてありません。それでは合奏に不便なので全部表記してあります。それでも結構見辛いでしょうね。ほとんど変拍子みたいなものです。音価を二分の一にしたのは見易さのためです。本当は「定旋律は全音符」というのが当時の慣例のようです。In nomineも大抵そうですね。
 
昨日、カウンタが5000を越えました。5000=訪問者数ではないにしてもとりあえず数字が着実に上がっていくのは励みになります。自分でカウンタを増やしては意味がないので知足庵が訪問するのはごく稀です。6ヶ月半でこの数字なので単純計算なら半年後に10000突破になりますが、お客さんが増えて欲しいものです。
1月13日(金)
今週から家内が二ヶ月間の介護休暇で実家に行っております。独り身は気楽なもんで編曲したり、リヴィウスを読んだりですごしています。おかげさまでリヴィウスもはかどってなんとか成文法制定十人委員会の崩壊にたどり着きました。二週間で第三冊70章のうち33章-54章が終わりました。BC449年はローマ史の一つの節目だけあってこの年だけで第三冊の三分の一を占めています。この年を完了するにはまだ時間がかかりそうです。
(訂正)「別れを別れと呼んだのは誰?」の作曲者についてContraさんからご指摘を受けました。
年明けからカベソン特集というわけで、私も昔から好きなだけに新しいものが出るたびわくわくして聴かせてもらってますが、作曲者について少し補足をしたいと思います。というのは、五声曲「別れを・・」(75番)が弟のファン・デ・カベソン(?〜1566))の手になるものらしいのです。手元のカベソンの曲集(KQさんのものとは版が違う可能性もあります)では、[Juan de Cabezon?] と一応 なってるほか、最新のグローブの記述でもこれをファンのものと推測しています。74番の作品(これもスペインの歌曲が基です)でははっきり弟の作と明記されていて、様式が近いことから続きの作品のところで作者を略したのだろうというわけです。
 上の番号は、カベソンの息子エルナンド・デ・カベソンの編纂した1578年曲集の通し番号ですが、実はそれよりも初期の作品がベネガス・デ・エネストローサが1557年に出版した曲集にいくつか収められています。今回提供させてもらった「雌牛」はその中にあって、前後のカベソンの曲と似ている点が多いので、私はカベソンの真作として問題ないと思います。そうでなくてもAnonimoとAntonioの表記は一見すると紛らわしいのですが

 有難うございます。実はKQさんの譜面でも"Anonimo(=?Juan de Cabezon?)"とあるのを見逃しておりました。様式の違いには気づいていましたが、少し無頓着すぎました。
 もう一つ、Anonimoの「雌牛」の方。私自身が曲集全体を見ていないため、カベソンの初期の様式をすぐには確認出来ないので判断できないのですが、少なくとも今回入れた10曲と比較すると明らかに様式が違うという印象です。ですから今現在はカベソンの可能性を頭に置きながらアノニム扱いのままにしておこうと思います。KQさんの蔵書にありそうなので拝借して調べてみます。
 Contraさんは何かとご教示を与えてくれるのでとても感謝しています。戴いた譜面もまだまだ沢山ありますので頑張ります。
(更新)作曲者不詳の「バラフォストゥスの夢」を入れました。トムキンズの曲とどうしても比較してしまいますが、こちらの曲も佳品です。それにしてもこの原曲はかなり強烈な個性があります。もっと他の作曲家が手を出していそうなものですが、私は知りません。
 4つの変奏はかなり性格が異なるのでテンポを変えてみたり、表情付けを変化させたりする方が効果的でしょう。一つ一つ完結しているのでつなぎでは一呼吸置いて間を取るべきでしょう。最後が割りとあっけないので和音をもう一回吹き直す手もあります。
1月12日(木)
(更新)作曲者不詳の「雌牛」による五つのディフェレンシアを入れました。原譜はContraさんの提供です。元の音価を半分にしてあります。カベソンの「雌牛」と違ってこちらは主題が明確。パッヒェルベルのカノンの最初と似てますな。スペインの鍵盤曲は単旋律+和声が基本形ですが、それではあっさりしすぎているので今回は大幅に味付けしてあります。ちょっとやりすぎたかも。でもその分、各パートに面白みは出たと思います。
 主題だけ3/4で変奏は3/2になっています。主題は舞曲っぽくてきぱきやって変奏はなだらかにやるのが良さそうです。第5変奏まで行ってリタルダンドしてみても何か終わった気がしなかったのでMIDI、MP3はダ・カーポして主題をもう一度やりました。知足庵は実践でもこれで行きたい。
 おまけ。"Cinco"はスペイン語なので「スィンコ」と発音します。ゆめゆめイタリア語発音にしないよう注意しましょう。イタリア語では"cinque"「チンクェ」です。
1月11日(水)
(更新)今週のMP3」を差し替えました。今回はバッハのカンタータの棚卸しです。順番に始末していかないと訳が分からなくなってきましたので同系列が揃います。今回のものには不満があるものもありますが、気にしていたらきりがないので無視です。
(更新)カベソンの「それはどうして」を入れました。カベソン・シリーズはこれにて完結です。この曲は基本的に3声で書かれていて4声部分はほんの僅かです。それも和声補強的で独立性が低いので削除しても曲が壊れる心配がないので無視することにしました。そのせいかどの声部も動きがあるので結構楽しめると思います。
32小節目のテノールは原譜ではBになっていますが63小節目の同じ箇所を参照してA音にしました。校訂が付いていないので、これが写本通りなのかその後に生じた誤植なのかはわかりませんが、すっきりするように改めました。気になるならば、元の通りにやってみて気に入った方を選べばよいでしょう。
1月10日(火)
(更新)カベソンの「雌牛」によるもう一つのディフェレンシアを入れました。カベソン・シリーズも10曲目になりました。手持ちは後一曲を残すのみです。これで晴れて鍋爺さんに楽譜を返却できますのでほっとしてます。カベソンはどちらかと言えば、構造が単純なので何曲か練習すると大体勘所がつかめます。全部の曲をやろうとすると多少へこたれるので適当に選曲すればよいでしょう。
 この曲はそのままだとアルトの9割が全音符というとんでもない結果になりますのであちこちに味付けしてあります。知足庵も大分カベソン慣れしてきましたので一見しただけではどう変えたか分からないでしょう(エヘン)。三連符の悩みもないので組し易いと思います。
 MP3とMIDIは8フィートにしてあります。昨日の曲もそうですが、カベソンはこっちの方が聴き映えがします。実践もそうした方がいいでしょう。
1月9日(月)
(更新)カベソンの「雌牛」によるディフェレンシアを入れました。前に入れておいた曲と同じ題名なので番号で区別します。こちらは83番。カベソンの曲の組み立て方はどの曲でもそれほど変わりません。和声進行も分かりやすいのですが、この曲で一箇所、繋留による不協和音とその解決が出てきた時、「オオ!」と驚いてしまいました(45小節目のアルト)。カデンツ以外ではここだけなのでささやかなことでも意外性が出ます。
 途中、6/4になりますが、ここは原譜だと三連符になっているので拍の刻みは4/4と同じです。間延びしないように注意がいります。
 曲がなだらかなのでMP3とMIDは8フィートにしました。こちらの方が気分が良さそうです。
演奏会の音源も揃ったので報告を掲載しました。演奏中は写真を撮るとやかましいのでASANOさんのDVDから取りました。MP3はじゃんぼさんのCDから取りました。とにかく贅沢な話で演奏内容が追いつかない、が実感ですが、自分たちでは気が付かないことでもこうして客観的に見たり聞いたりすると欠点がよく分かります。また練習をつんで少しでも克服したいと思います。
 7日・8日と新年会でした。CDとDVDを付けっぱなしで大いに「反省」しました(かな?)。KQさんは新しいハンドルが決まり、「AKU爺」となりました。又、冬季限定で「鍋爺」もありです。適当に使い分けることにします。
1月6日(金)
(更新)カベソンのヴィリャンシーコ「誰が怒らせたの、イザベル」によるディフェレンシアを入れました。今日中に間に合いました。実のところ、この曲は入れようかどうしようか迷いました。条件がよくないんですね。第1にこの種の曲としては長い。編曲段階で途中割愛したりするのは趣味ではないのでやりたくありません。第2に途中で58小節間にわたって3声だけのところがある。第3に全体に音が薄くて間延びする。
 そこでこの曲については3声を4声にする、音の薄いところを装飾的に補強するという方針で臨みました。全体の3割くらいが3声なので全部手を入れてありますし、動きの少ないところはどこかしら味付けしてあります。露骨なことはしなかったつもりなのでさほど原曲から離れてはいないと思います。その結果、カベソンの他の譜面と違って作曲者名の下に"arr. Nimura"と入れてあります。
 長さばかりはどうしようもないのですが、変奏の区切りを複縦線にしてあるのでどれか割愛するか、各変奏にある繰り返しを省略するか、程度の工夫が必要でしょう。忍耐度が高いので難度は○二つ。
(更新)今週のMP3」を差し替えました。今回はバッハの平均律3曲モーツァルト各種です。モーツァルトはとりあえずMP3を完了しました。
カベソンの続きに挑戦中ですが、今やっている曲はそのままでは使えないので結構手間取っています。明日には何とかしたい。
1月4日(水)
一昨日ASANOさんよりDVDが届きましたので昨日と今日にかけてキャプチャー取りをしました。実は自分たちで写真を撮る努力を一切しなかった(シャッター音が案外うるさいのです)のでDVDが頼りでした。それからじゃんぼさんからも昨日、打ち上げの写真が届きました。容量の圧縮やら切り取りなどをやりつつ演奏会記録を作り始めたら結局今日一日終わってしまいました。後は音ですが、じゃんぼさんのCDが完成したのでそこから切り出して無難な箇所を最低一分は選ばなければなりません。これは来週早々の作業になりますからどんなに急いでも週の半ばになりそうです。しばらく他の作業はお休みするしかないでしょう。
(更新)カベソンのイタリア風パヴァーナによるディフェレンシア「ご婦人のお願い」の歌によるディフェレンシアを入れました。原曲の題名が違っていますが、どっちも同じ曲です。ソプラノとバスが例によってやや難しいのですが、難度は丸一つで十分でしょう。どちらの曲も音程を四度上げてあります。
カベソン・シリーズはあと4曲ですが、これからの作品は少し規模が大きくなります。
1月3日(火)
(更新)カベソンの「別れを別れと呼んだのは誰?」を入れました。実はカベソンの作品かどうかは不確かでAnonimusの可能性もあります。確かに他の作品とかなり様式が違うし、五声だし、結構対位法的だし、と差異が目立ちます。曲はゆっくりしていてしかもかわいいのでやってみる価値は大いにあります。特に気をつけるところもなさそうです。
カベソンの「騎士の歌」によるディフェレンシアも入れました。こちらはまさにカベソンですが、各声部とも少し動きが活発です。バスの休みが多いのですが、手を加えるのは控えました。
1月2日(月)
(更新)カベソンの「ミラノ風ガジャールダ」によるディフェレンシアを入れました。それっぽく少々リズムにアクセントを付けました。もう少しテンポも上げたいのですが、変奏がきつくなるのでこれが限界でしょう。末尾の"D.C. hasta Fin sin las repeticiones"は多分見当は付くと思いますが、「最初に戻ってFinまでやる。繰り返しはやらない。」ということです。Finの小節のテノールは二分音符ですが、最後だけは全音符にする方がいいかもしれません。
(更新)今週のMP3」を差し替えました。今回はバッハのモテットをまとめて出しました。一曲ずつではちっとも作業がはかどらないのでこれからしばらくはまとめ出しを続ける予定です。
(更新)カベソンの「雌牛」によるディフェレンシア「イタリア風パヴァーナ」によるディスカンテを入れました。譜面はKQさんの提供です。「雌牛」は人気が高く、カベソンにも他に2曲手持ちがあります。また、CONTRAさんからもANONIMの作品を頂戴しているので今3曲もあるのでこの際、まとめて出してしまおうかともくろんでいます。「パヴァーナ」も有名なものですからご存知の方も多いでしょう。
今回の曲もそうですが、カベソンの曲は旋律線が大抵ソプラノとバスに集中しています。和声を合わせて響きをしっかりやる気にならないと中声部はだれてしまいます。「雌牛」のMIDとmp3には最後におまけの和音を入れました。そのままだと少々終わった気分が足りなそうなので用心しました。これは必ずそうすべきなどという種のものではありません。
1月1日(日)
(更新)あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
早速ですが、ジェンキンズのファンタジア第15番を入れました。CONTRAさんから戴いていた譜面の一つです。イギリスのコンソート様式なので雰囲気さえ掴めば、取り組めるのですが、途中に転調の嵐が来るので要注意です。異名同音を利用しての転調は当時としては珍しい試みではないでしょうか。
ハ長調で始まって26小節目あたりからト長調に移り、34小節目にト長調のカデンツがあっていきなりホ短調、ロ短調に移ります。40小節目にロ短調のカデンツ、43小節目に嬰へ短調のカデンツ、46小節目に嬰ハ短調のカデンツとここら辺は転調の連続です。ここで異名同音を使って変二長調、変イ長調となって51小節目で変ホ長調に落ち着きます。60小節目あたりからハ短調っぽくなってきて70小節目にハ短調のカデンツ、75小節目からハ長調になって終わります。
前半は短調、後半は長調の違いはありますが、五度圏を上昇する転調なのでそれほど無理は感じません。平均律だと折角の転調が平板になってしまうので試みに4分の一ミーン・トーン(C音基準、Gis調律)で鳴らしてみましたが、Ais,As,Gesがかなりのウルフを生じます。GisをAsにしたほうがましです。6分の一ならこれほどではないでしょう。さすがにヴェルクマイスターVなら問題はありませんでした。とにかく大胆な曲です。
昨年はHP立ち上げから軌道に乗せるまで随分試行錯誤がありました。カッコいいHPを作る実力は全くないので内容くらい頑張らねばと考えてきましたので、ある程度充実してきたかなと思います。それに年末のコンサートで一区切りも着きました。今年はまず新曲の選択と練習に務めることになりそうです。今年のコンサート企画もちらほら見えてきましたのでおちおち出来ません。コンサート報告はいずれ材料がそろってから作成するつもりです。MP3も入れたいのですが、紹介するに耐える部分がどれほどあるものか、何とも言えないところが実力でしょうか。
知足庵の個人的なもう一つの目標だったリヴィウスは残念ながら十二表法制定にはたどり着けませんでしたが、成文法制定十人委員会の発足には到達したのでまずまず及第です。今年は少しペースを上げないと自分の寿命と勝負になります(今年並みだとあと17年かかってしまう)ので頑張るのみ。この後にはポリュビオスが控えているのです。誰か邦訳を出してくれれば助かるのですけど。
2005年
12月29日(木)
(更新)今週のMP3」をバッハのモテット「イエスは我が喜び」に差し替えました。出来が不満でなかなかMP3にする決心がつかなくてほったらかしていましたが、もういいやと思って入れました。私たちの課題曲でもあります。
このあとせっせと棚卸し気味に追加しました。年の瀬ですし、新年分もコミみたいなもんです。
(更新)バッハのカンタータ第14番の冒頭コラールを入れました。1735年作曲のコラール・カンタータの一つです。冒頭のコラールはコラール旋律の各節を使用した七つの主題がフーガで登場するモテット形式で書かれています。しかもフーガの応答は全て反行形になるという技巧的にも高度な曲です。各声部の入り具合を楽しむくらいの気持ちで臨みたいですね。それほどメリハリをきかせるタイプではないので少しゆっくりしたテンポで淡々とやるべきでしょう。MP3もMIDIもほとんど手を加えていません。
ソプラノ1がコラール旋律を吹きますが、音が高いので最後を除いてソプラニーノでやる手もあります。休みが多いパートはやり手の希望が少ないのですが、知足庵はこの手の定旋律が好きです。
多分、今年の更新はこれが最後になるでしょう。このところバッハばかりですので年明けは少し他の作曲家に移りたいと思っています。実はCONTRAさんからかなりな量の譜面を頂戴しましたので珍しい作曲家の作品も紹介できると思います。ご期待ください。
12月27日(火)
更新履歴も大分長くなってきたのでカレンダーなんぞをつけてみました。多少は見易くなったでしょうか?楽譜のほうにもこちらの解説とリンクしないと探しづらくなってきたので付け加えました。規模が大きくなってくると中々面倒なことが増えてきますね。
12月25日(日)
(補足)バッハのカンタータ第22番の前半はバスのアリアですが、これはイエスの言葉です。マタイやヨハネと同様、バッハの場合、イエスの言葉の担当はバスと決まっています。後半はイエスの呼びかけに応じた弟子たちの合唱です。予想の範囲ですが、十二人ですので主題は律儀に十二回登場します
(更新)バッハのカンタータ第22番冒頭の合唱を入れました。オーボエ+弦楽+合唱をかなり忠実に写しました。原曲はト短調ですが、オーボエ・パートをそのままソプラノにすると音が高すぎるのでハ短調に移調してあります。前半のバスのアリアはC-Bassがソロを担当します。かなりユニークかもしれません。後半の合唱は五声で済むのですが、アルトをただユニゾンにしてもつまらないのでソプラノ持ち替えでオクターヴ上を吹くようにしてあります。入りの位置は原曲のオーボエの入りにあわせてあります。
アリアと合唱のつなぎをどういうテンポ取りにするか悩むのですが、結尾と同じようにリタルダンドして突如速くなる形にしました。いきなり気分が変わるので面白いと思います。それほど難度は高くないので挑戦してみてください。
第1回定期演奏会、無事終了致しました。
まずは予想を上回る方々においで頂けたことに心からお礼申し上げます。おかげをもちまして実に気持ちよく吹かせていただきました。とにかく大過なく(我々にとってはここが肝心なのです)終えることが出来ました。打ち上げのお酒もおいしかったです。録音・録画についてはJinboさん・ASANOさんにご面倒をおかけしてしまいました。CDやらDVDやらも制作していただけるということでなにからなにまで感謝感謝です。
 当日の映像やら音源やら写真やらデータの収集が終了次第順次掲載したいと思います。
 来年も何やら企画話が出てきておりますのでその節はこれにめげずにご愛顧のほどよろしくお願いいたします。エオリアン一同、これからも腕に磨きをかけていく所存でございます。
12月24日(土)
(更新)バッハのカンタータ第19番冒頭の合唱を入れました。原曲は合唱と弦楽にトランペット3本、ティンパニ、オーボエ3本まで付いた大規模な編成ですが、リコーダー5本で済ましてしまおうというあきれた(?)試みです。元がミカエル祭用だし、歌詞も大天使ミカエルらしく竜との戦いなので主題もファンファーレみたいです。そんな気分を出してガンガン吹きまくるべきでしょう。
12月22日(木)
(更新)バッハのファンタジアとフーガBWV904を入れました。大分以前の編曲ですが、入れるのに手間取ったのはMIDI作りに満足できなかったからです。特にフーガの第1主題部最後のソプラノはぴったり来るやり方が思いつきません。なにもしないとノッペラボウでつまらないし、トリルのやりっぱなしも無愛想になります。いっそオルガン・コラールで使うトリルでも採用しようかとも思いましたが、ここだけ妙に凝るのもなんか変な気がします。ウーン困った。
 最初の編曲ではファンタジアはFバスではなくCバスでした。冒頭はその方がうまいのですが、後の方でバスとのユニゾンが多くなるので幾分独立性が低くなるのが気に入りませんでした。それにフーガは連続性を維持したいと思ってもCバスではどうしようもない。というわけでFバスで通す形に直しました。フーガの方は4声で済んでしまうのでフーガだけやりたい人は4人で間に合います。
 ファンタジアはリトルネロ形式に近く、イタリア協奏曲の第1楽章と様式が似ている気もします。トゥッティとソロの表現がまるで違います。トゥッティはオルガン的で旋律線があちこちに分散しているので音量のバランスに苦労しそうです。特に冒頭は音が高い(アルト・テノール)ので音程も要注意です。ソロはもっぱらトリオなので大抵1パートがお休みです。きつい曲なのでむしろ良い息抜きでしょうか。
 フーガは典型的な二重フーガです。第1主題部と第2主題部はまるで別の曲と思った方が良いでしょう。MIDIでも表情付けは分けてあります。第2主題にはやっかいな対旋律のおまけまで付いているし、転調が目まぐるしくて混乱に陥る危険があちこちにあります。
 とまぁ、悩ましいところだらけですが、名曲中の名曲をあきらめるつもりはありません。
(更新)バッハのカンタータ第179番冒頭の合唱曲を入れました。ご覧の通り最近はバッハのカンタータの譜面をパラパラめくってリコーダー向きの曲を漁っております。たまにこういうモテット形式の曲があるので拾い上げるとかなりの数になりそうです。この曲は冒頭の主題応答が反行形になっているのが特徴でしょうか。第2主題の提示直前に明確なカデンツがあるだけで後はフリギア終止でつないでいるのでメリハリの付け方が難しいかもしれませんが、何となく流れていくだけでも差し支えないでしょう。このカンタータは1723年の作品で第148番と一月しか間がないのですが、全く気分が違いますね。
12月21日(水)
しばらくの間、リヴィウスの「ローマ史」に関係してローマの統治者一覧を作っておりました。執政官・独裁官・皇帝、その他もろもろ…。なにせ執政官だけでも1000年分(BC509-AD541)2000人ですから調べだすときりがありません。でもなかなか有効な情報なのでせっせと励んでしまいました。一段落したらKQさんに提供する約束をしていますが、そろそろ良いかと思います。肝心のリヴィウスはBC461年がやたらと長くて到底十二表法に行き着けそうもありません。トホホ…。
(更新)今週のMP3」をバッハのヴァイオリン協奏曲第2番に差し替えました。全部やると長大になるのですが、是非やってみたい曲です。ソロの難度が高いのはあたり前ですが、アルト2も決して易しくはありません。来年の課題曲の一つと思っています。第2楽章は定旋律型の曲で、バッハでは他にヴァイオリン協奏曲第1番とかチェンバロ協奏曲ニ短調、3台のチェンバロのための協奏曲ハ長調などにも使われています。
(更新)バッハのカンタータ第150番から5曲を入れました。アリア2曲を除いたシンフォニアと合唱全部に当たります。バッハのカンタータの中では最も早い時期(1708年)の作品なので後のカンタータとは随分雰囲気が違います。編成はVn2部+Fg+合唱+ソロ+通奏低音という極簡素なものです。最後のシャコンヌの定旋律はブラームス交響曲第4番に使っていることで知られています。
 メンバー全員参加曲が欲しくて編曲したので7本編成にしてあります。上声のソプラノ+アルト(ソプラノ2)がヴァイオリン・パート、アルト・テノール・バス・Cバスが4部合唱に当たります。Cバスは部分的にファゴット・ソロも含みます。上声2本とCバスは少し難しいですが、後はずっと平易です。
 シンフォニアは3声ですが、Fバスを追加してあります。これは次の曲につなぐためですから単独ならば3本でも出来ます。第2曲第4曲は途中でテンポがコロコロ変わるので注意がいります。最後のシャコンヌはFバスの忍耐力が試されるでしょう。ソプラノ2本がかなり大変です。
12月19日(月)
(更新)バッハのカンタータ第148番のコンチェルトを入れました。コンチェルトとなっていますが、合唱も入っています。合唱+トランペット+オーボエ3+弦楽+通奏低音という規模の曲ですが、よくよく見るとほぼ五声で片付いてしまうのでやってみました。本来、合奏と合唱の対比があるものをリコーダーだけにしましたからやや一本調子になっているとも言えるので実践ではカデンツを強調するなりして工夫が必要でしょう。その辺は原譜を参照してください。曲自体は難しくないのでアンサンブル練習向きでしょうか。
12月15日(木)
今日は吉祥寺の武蔵野公会堂までインド舞踊のコンサートを聴いて(観て)きました。吉祥寺に店があるインド物産店「はるばるや」の主催です。知足庵は経営者の加藤夫妻と20年来の知り合いでして、ちゃっかり招待券を戴いておりました。シタール、タブラは最近頓に有名になった若林さんで、これまた20年前、彼が経営していた「羅宇屋」に入り浸って演奏をよく聴いていた縁があります。加藤夫妻と若林さんとは別々に知り合ったのでまさか知り合い同士だとは知りませんでした。やっぱり世間は狭い。
内容はインド舞踊三種をやるという盛りだくさんで贅沢なもので十分堪能しました。それに若林さんのタブラは相変わらず聴き応えがある。来年は企画数を減らす(当然赤字だし)そうですが、また行きたい。
そんな訳で「はるばるや」のHPリンクを追加しました。是非ご覧ください。
12月14日(水)
(更新)今週のMP3」をモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番の第3・第4楽章に差し替えました。曲目が大分増えたので少しペースを上げることにしました。それに今後は新曲を入れる時にMP3も付けてしまうつもりなので最終的にはこのコーナーはなくすつもりです。結局MIDIの制作の付随品なので特に分ける必要もなさそうです。
今日はKQさんと二人でさや堂の下見兼打ち合わせに行ってきました。マイク用のモニターとスピーカーの配置具合を検討したり、リコーダーの音の具合のチェックも行いました。音はどこから聞いても問題なかったので一安心です。吹いている当人に音が聞こえないなんていう通常のホールでよくある問題もなさそうです。ただ残響が多いのでテンポの速い曲だと旋律がきれいに鳴ってくれるかどうかはなんとも言えません。さてどうなりますか。
12月13日(火)
(更新)モーツァルトの弦楽五重奏曲第2番第1楽章を入れました。既に書いた通り、更新速度はめっきり落ちておりますが、全く忘れているのではありません。この曲も全曲版を目指しています。元が木管八重奏曲なので旋律線があまり弦楽的ではないのでかえって処理しやすくてうれしい。第1楽章は特に悩ましいところもなく通せるでしょう。原調のままだとソプラノが叫んでやかましいのでイ短調に移しました。後の楽章も同じ調、同じ編成でやるつもりです。
12月9日(金)
エオリアン・コンソートとは関係ないのですが、私の本のHPが引っ越しました。どうも転送障害が治らないので当座の間借りです。ずっとほったらかしにしていましたが、少し内容も追加しました。
(更新)今週のMP3」をモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番第2楽章に替えました。極端に難しくもなく、質も良いのでありがたい曲です。トリオはヘ短調なのが辛いですが、テンポが遅めなので支障はないでしょう。
12月7日(水)
(更新)バッハのフーガの技法全曲を入れました。リコーダー・コンソートの定番ですから一つ二つ入れるだけではたいして意味がありません。折角なので全部入れました。配列は新バッハ全集版です。
Cバスの使用が多いのはあまり原譜をいじりたくなかったためです。バスでやる場合は少し低音を処理すればよいのでわずかな例外を除いて特に作りませんでした。
いくつかの曲はコーダで声部が増加しますが、なんらかの形で全ての声部を書き込んであります。処理については後述します。
MP3とMIDIも全部入れましたが、実は大分以前に作った原譜通りのバーチャル版に少し手を加えただけなので、譜面とは合致しない箇所がいくつもあります。ご了承のほどを。二台のチェンバロ用の異稿の編曲は当面見送ることにしたのでその代わり、バーチャルMP3だけ入れておきます。Contrapunctus19a Contrapunctus19b
Contrapunctus1-4 比較的問題はありません。第二番はテノールのかわりにバスを使いましたが、この方が原曲に忠実です。
Contrapuctus5
86小節目から5声、89小節目から6声になります。4本で押し通すのはかなり難しい。ルッキはバスの主題をカットしていますが、これでは曲の意図が壊れてしまいますので知足庵は絶対反対派です。ですからテノールを削除してバスの主題をやってもらうしかないと思います。ソプラノは上声をやって下声は捨てます。ただし、これだと最後に中音のFisがなくなってしまうのでアルトの最終音をFisにする必要があります。やはり最低5本欲しいところ。
Contrapunctus6 76小節目から5声になります。主題が三箇所にあるのでこれを生かすとなると76小節の三拍目で声部を切り替えて(S2→S1、A→S2、T→A)テノール・パートを捨てるしかなさそうですが、ソプラノの下声が主題の途中なので幾分壊れます。これは目をつぶるしかないでしょう。結局、5本必要。最後のところでテノールが3声に割れますが、5本でやるならば、中音(B-Aの進行)を採用するのがお勧めです。
Contrapunctus7 59小節目から5声になります。これはテノールをアルト声部に回してテノール声部を削除するのが最善でしょう。最後の小節の2拍目の和音に迫力がなくなりますがやむなしです。
Contrapunctus8 どの声部も音域が広いのでどういう編成にしても無理が出ます。Cバスにする必然性がないのでバスにしました。STBなら8フィート編成でも出来るのがミソです。
Contrapunctus9 演奏に問題はありません。この曲のCバスをバスにするのは止めたほうがいいと思います。12度の転回対位法を使った曲です。基本主題が計7回登場しますが、副主題が主音から始まる場合(3回)と属音から始まる場合(4回)があって、これが12度の転回対位法です。
Contrapunctus10 バス声部の音域が広いので大変ですが、後は大丈夫でしょう。バス版とCバス版があります。6小節1拍目のソプラノはアルトにお任せしました。主題の途中なのでオクターヴ上げは無理です。10度の転回対位法を使っているのでどちらかの主題を3度ずらしても重ねられます。正副副が3回、正正副が1回出てきます。
Contrapunctus11 最後に5声になりますが、テノール声部を削除すれば問題ないでしょう。第三主題にBACH音形が出るので有名です(91小節目のアルト、138小節目のソプラノ)。
Contrapunctus12 鏡像フーガはあまり音をいじりたくないのでわずかですが裏技を使いました。基本形はCバスだとの6-7小節目が出来ないのでアルトに任せました。これで音いじりは回避できました。バスだとここは吹けるのですが、低音部分がすっかりだめになります。一応、バス版も入れておきました。転回形は音が低いので編成を下げ目に取りましたが、やはり6-7小節で受け渡しをした以外は問題がまるでありませんでした。
Contrapunctus13 基本形は4点ホが出るのでソプラニーノを使っています。バスの音域も高いのでテノールの方が安全かもしれません。修理も一箇所だけです。転回形は特に問題がありません。
Contrapunctus14 音域が広いのでどの楽器でやっても無理が出るので厳格にカノンを堅持するのはあきらめました。
Contrapunctus15-18 特に問題はありません。難度が高い曲もありますけど…。
12月4日(日)
(更新)フローベルガーのカンツォーナ第6番を入れました。これでカンツォーナ・シリーズは完結です。例によってカデンツに悩みがありますが、無理せずにテンポを落とせばこなせるでしょう。最後のテノールはほとんどトリル感覚でやってかまわないと思います。
12月1日(木)
(更新)今週のMP3」をモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番の第1楽章に差し替えました。新譜入れが一段落していて変化がないのでせめてMP3くらいは早めに替えようという魂胆です。かなり曲作りに励まないと形になりそうもない曲ですが、知足庵は大いにやる気あります。できれば、全曲といきたいのですが第4楽章がどうも…。
ここ数日はリヴィウスの「ローマ史」を読んでいます。年頭の目標は第4冊まででしたが、今現在、第2冊の大詰めあたりでBC469年になったところ。目標を下げてなんとか12表法制定辺りまでいけるよう頑張ってます。先が長いなぁ。
11月29日(火)
昨晩から家内の発表会録音を編集に取り掛かって今日一日費やしてしまいました。延べ4時間のテープから曲だけ抜き出して並べるだけの単調な作業なので少しボーっとなってます。演奏時間がほぼ120分なのでやむなくCD二枚にしたので焼き増しの手間も倍になってしまい、時間の消費が辛い(パソコン二台欲しい)。内容は楽しいのでよい記念になるでしょう。
11月27日(日)
今日は大変な日で、家内のチェンバロ発表会と東京近辺のガンバ愛好家の発表会(Contraさんが出るし)と「多摩の音楽家」の第一回定演と船橋のリコーダー・グループ「ロンド」のコンサートとなんと四重のバッティングで途方に暮れました。結果、やっぱ身近なリコーダー吹きを尊重して「ロンド」のコンサートに行ってきました。私たちの宣伝もしたいという下心も当然ありましたが、曲目に私たちと重なるものが三つもあった(ブランデン2番、パッヒェルベルのカノン、フォーレのパヴァーヌ)ので興味が強かったのでBassocontiと二人で行きました。。特に後半の舞曲が楽しくて(私たちはどういう訳か舞曲がひどく苦手)「やっぱ、こういうのやりたい」とおもいましたねぇ。色々参考になりました。
楽譜を勘定したら100曲位になりました。HP開設当初の目標だったので年内に達成できて一安心です。後、フローベルガーのカンツォーナを完了させたら一段落なので小休止します。実は年頭に立てた目標を6月以降完全に休止してしまったので少しはやっておかないと寝覚めが悪いし、現在、編曲にいそしんでいるものが大物ばかりで当分完成しそうもないという事情もあります。
今のところ、着手している曲はモーツァルトの弦楽五重奏曲ハ短調(木管版から編曲したもの)全部とか「きらきら星変奏曲」のリコーダー・デュエット版とかファロネルのラフォリアのリコーダー・デュエット版とか「フーガの技法」全曲とか、とにかく自分で創作するものもあってそう簡単にはいきません。じっくりやらないと悔いが残るので慎重を期したいと思います。
11月26日(土)
(訂正)フェラボスコのファンタジア第9番にミスプリがありました。譜面提供者のContraさんからご指摘がありました(有難うございます)ので訂正しました。。間違いはバスの二箇所だけなのでそれ以外のパートは無事です。
(更新)フローベルガーのカンツォーナ第5番を入れました。短いし、一箇所で細かいことをやっているのは1人だけという合わせ易い曲です。カデンツはバスに集中しているので他の人は気楽に乗っかれます。お手ごろな作品でしょう。
11月25日(金)
(更新)今週のMP3」をバッハのブランデンブルク協奏曲第3番に差し替えました。HP開設当初から入れてあった曲ですが、MIDIの出来が納得できなかったので今までMP3にする気がおきませんでした。実は一月ほど前に一念発起してMIDIの修正をやってこっそり差し替えておきました。これでもまだ不満はあるのですが、これ以上のことは出来そうもないのであきらめです。MIDIはユニゾンの音に悩みがあります。この曲はユニゾンがあちこちにあるので響き具合がどうもよくありません。そこは大目に見てください。

(更新)ストリッジョの5声の「狩り」を入れました。HPのテーマソングなのに譜面がないのは妙かなということで今頃になって入れることにしました。快調で鳴りがいいせいか、この曲を吹くと不思議と音が合ってきます。オープニングに使っている訳はこれにもあります。ストリッジョには他にも4声、6声の「狩り」があります。どれも楽しい曲です。

(平成30年2月26日)原本に基づく新版に移行しました。

 → http://aeolianconsort.chakin.com/Striggio.htm

11月24日(木)
昨日は練習日でした。日程が残り少ないのに出来栄えが心もとない、かなぁ。今日はプログラムとか当日の解説用に作曲者や作品の情報集めに精を出していました。エッカールトの"Zanni e Magnifico"の歌詞が全く分かりません。CDでもあればいいのですがそれもないのでお手上げです。ラッソの"S'io esca vivo"はペトラルカの"Canzoniere"の80番を使っています。困ったことに当てにしていた英文訳がネット上で入手出来なくなっているのでこれもお手上げです。久々に図書館を利用するしかなさそうです。誰か美味しい情報お持ちの方いませんか?
11月22日(火)
(更新)バッハの平均律クラヴィーア曲集第2巻からホ長調のフーガを入れました。技術的には何の問題もないでしょう。内容は中々凝っていて、主題の基本形と縮小形それぞれにストレッタがあり、対主題も付いています。ちょっと気づきにくいのが、23小節目から始まる変形主題のストレッタ。吹いていても主題だと意識しないことがあります。
(更新)フローベルガーのカンツォーナ第4番を入れました。もうフローベルガーのパターンは説明する必要がないと思います。この曲は長大なのでテンポを落としすぎると冗長になりそうです。少し速いくらいで丁度いいでしょう。
(更新)バッハの平均律クラヴィーア曲集第2巻から嬰ニ短調のフーガを入れました。シャープ六個はしんどいので半音下げてニ短調にしてあります。割と好きな曲です。間奏がほとんどなくて主題が次から次に出てきます。のほほんとした気分が味わえるでしょう。
11月21日(月)
(更新)フェラボスコ2世のファンタジア第9番を入れました。譜面はContraさんの提供です。8番と違って速いテンポ向きではありません。ゆっくりとやったほうがよいでしょう。8フィート向きなのでMIDIは低音合奏にしました。一応二部構成になっていてアルトとテノールの二重奏からが後半です。幾分細かい音形が出てくるのでテンポが同じでも速く感じます。
(更新)バッハのヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章を入れました。これで完結です。第1楽章もそうですが、全奏はアルト二本がユニゾンになります。ソロはお休みが全くないのでアルト2にまかせてお休みしましょう。
MIDIはソロを中央に持ってきました。第1楽章はユニゾンのところでソロを休みにしましたが、第3楽章はそのままやっています。MIDIの場合、ユニゾンの響き具合に良し悪しがあるのでその都度確かめてよさそうなほうを使っています。
11月20日(日)
(更新)バッハのヴァイオリン協奏曲第2番の第1楽章、第2楽章を入れました。全曲ありますのでそのうちに第3楽章も追加する予定です。Basso氏が随分前に作ったもので、何度か練習したところ何とかいけそうという感触があります。第1楽章は中間部のソロに難関が待っていますが、練習次第でクリアできる程度だと思います。高音の三点イと変ロもテンポが遅いところなので見てくれほど難しくありません。是非、お試しあれ。第2楽章はバッハ得意の定旋律伴奏付きのアリアです。バスが一番楽しいかもしれせん。
11月18日(金)
(更新)今週のMP3」をモーツァルトの弦楽四重奏曲第5番第1楽章に差し替えました。曲が増えてどれにしようかと迷うのですが、選択はその時の気分次第です。さほど根拠はありません。なるべくおすすめ度の高いものにしてはおりますが。
(更新)フローベルガーのカンツォーナ第3番を入れました。これで半分終わりました。全体に音符が細かい曲なのでテンポは幾分遅めにしたほうがよいでしょう。相変わらずカデンツが難物ですが、工夫と努力で解決する他はなさそうです。
 この曲の第1ブロックは提示と応答が変則的で主調-主調-属調-属調の形になっています。興味深いので他の曲の状況も調べてまとめてみたいと思います。
 第3ブロックはストレッタになっています。最初は主調+下属調で始まりますが、おしまいの方に主調+主調の形も出てきます。これは12度の転回に当たります。バッハのフーガの技法にはこの転回を使ったカノンがあります。
(更新)フェラボスコ2世のファンタジア第8番を入れました。Contraさんから提供していただいたものです。譜面に"ALFONSO FERRABOSCO(the younger)"とありますので父親ではなく息子の作品です。いかにもスペイン人という名前ですが、父親がイギリスに招かれた関係で活動は主にイギリスのようです。
 拍子は原譜通りに4/2にしました。動きが細かいので音価は変えられません。4/4ずつに分割したほうが見易いかなとも考えましたが、慣れれば気にならないでしょう。
 19小節目に小さいカデンツがあって主題の形もここで変わりますからMIDIでは少しテンポを落として節目を付けました。第2ブロックそのものは最初のテンポに戻しましたが、音形の関係で少し遅めに聞こえます。ここで調子に乗ってテンポを上げると33小節目からの第3ブロックで収拾が付かなくなるので要注意です。徐々にテンポを落としていってコーダに入るようにしましたが、実践では一工夫いると思います。
11月17日(木)
(更新)ペロティヌスの「すべてをみそなわし」を入れました。昨日予告していたものです。予想外にMIDIに支障がなかったので作業がはかどってしまいました。オルガヌムは長大な定旋律を持つので管楽器向きとは到底言えませんが、分割処理でなんとかこなせる程度に各パートに分担させました。定旋律の部分はすぐ分かりますから音価いっぱいに頑張って引っ張ってください。おかげで元のパート進行はその都度入れ替える必要がありますのでほとんどパズルのように交替させています。どのパートがどの声部をやっているのか訳がわからなくなりました。いやはや。
 対位法は後の時代とは全く異なります。後には禁則事項となった平行一度、平行八度、平行五度がむしろ中心になっています。長三度は全く気にする必要がありません。フレーズの頭と終わりは必ず完全五度の和音になりますからそこだけ気をつけておけば問題ありません。
 実験的な試みなので実践でどれほど効果が上がるものか不明ですが、残響の多い場所でやれば気分が出る気がします。しかし、曲の長さはやはり問題でしょうか?
11月16日(水)
Tyeの補足など
今日は注文しておいた「ハウルの動く城」を見てばかりいて譜面作りはお休みです。Tyeについて補足しておきます。この譜面の原譜は10月にさや堂で演奏会をいたしましたS氏親子のご子息のほうにあたるContraさん(今回からこの名前で紹介することにしました)から提供していただきました。どうも有難うございます。他にフェラボスコも二曲頂戴しましたので近日中に公開できると思います。
ひと頃、ペロタンのViderunt Omnesをなんとかしようとやってみたことがあります。長大な定旋律はうまく処理出来たのですが声部がごちゃごちゃして投げ出してしまいましたが、今週になって久々に続きを作り始めました。いかんせん長いので公開にたどり着けるか判りませんが、しばらくの間は付き合おうと思っています。
11月15日(火)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第5番第3楽章を入れました。この曲は三楽章形式なのでこれで完結です。この曲はメヌエットですが、参照している原譜に問題があるのか、よくわからないところがあります。ヘ短調の中間部にトリオの指示がないことと主部との境目に反復記号がないことが悩みの種です。このままやると短調のあとでまた長調に復帰することになりますが、繋がりがよくありません。それから、末尾の"Da capo di Minuetto senza Ritornello."の"senza Ritornello"も不明です。
 一応、原譜通りにスコアは作りましたが次のように解釈した方が良いと思います。

(1)短調の部分をトリオとみなしておく。
(2)主部の末尾とトリオの冒頭に反復記号を加える。
(3)"Ritornello"は"Reptica"と書き換えて「繰り返しはしない」の意味とする。

要するに普通のメヌエットの形になりますが、一番妥当な解決だと思います。この他にスラーやスタッカートのつけ方にも疑問がありますがそれらは適宜私の判断で処理してあります。
ついでに一言お詫び。小節番号処理は不完全小節も1小節に数えて表記されています。実践上は支障がないと思いますのでそのままにしてしまいました。
11月14日(月)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第5番第2楽章を入れました。名曲かと訊かれるとハイとは言い辛いのですが、冒頭のカノン風処理が面白いと思います。全体に難しいところはないのでアンサンブルに問題はないでしょう。
(更新)クリストファー・タイのイン・ノミネ「叫び」を入れました。Wernerさんのサイトにもありますが、今回の版は音価が半分になっているのでやり易いと思います。イン・ノミネを定旋律にした曲は数々ありますが、こんなに賑やかなのは珍しいかもしれません。おかげでアルトの定旋律が聞き取れなくなる恐れがありますのでアルトはやや強めに吹いて、他のパートは少し控えめにしたほうがいいでしょう。MIDIもアルト以外は少し音量を押さえました。
(更新)フローベルガーのカンツォーナ第2番を入れました。シリーズの間が二週間も開いてしまったのはモーツァルトに入れ込みすぎたせいです。この曲はたまたま知足庵の家内がチェンバロで練習中の曲なので耳慣れています。三部構成で急緩急になっています。例によってカデンツが4/4に戻るのでテンポの取り方に悩みますが、実践で掴む他はないでしょう。Cバスにしましたが、数箇所の修理をすればバスでも可能です。アルトとテノールに低い音が多いので鳴り難い時はテノールとバスに代える手もあります。ソプラノをアルトにするのはちょっと無理でしょう。名曲なので是非最善形を見つけてください。
11月11日(金)
(更新)今週のMP3」をバッハの幻想曲「来たれ聖霊、主なる神よ」に差し替えました。Basso氏は出来るだけぶっ飛ばしたいと申しておりますが、分散和音中心のこの曲をぶっ飛ばすのはかなりきつい。。実はこの曲にはヴァイマル時代の異稿(BWV651a)があって長さが半分くらいしかないのです。そっちのほうが少しは楽かなぁと知足庵はちょっと逃げ腰。
(更新)ブクステフーデのオルガン・コラール「ああ主よ、哀れな罪びとのわれを」を入れました。私たちのメンバーのKQさんからCDに入った膨大な譜面を頂戴しました。全貌を知るにはかなりの時間を要するとてつもない内容なので嬉しい悲鳴をあげています。ブクステフーデの中にかわいい手ごろな曲がありましたので手を出しました。旋律は有名だし、短いし、易しいしと初心者のアンサンブル練習に最適でしょう。
11月10日(木)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第5番第1楽章を入れました。比較的簡易な曲で編曲の余地も少ししかありませんでした。私たちはあまりホモフォニー系の曲に手を出さないのですが、たまには気分転換にいいかとも考えています。
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第14番第3楽章を入れました。これでこの曲は完了です。予想通り、一番難航しました。特にMIDIは思うに任せず、芳しい出来ではありません。無念。
 曲はA・A'の二部構成になっています。旋律は主に前半はソプラノ、後半はアルトに任せました。後半はソプラノが伴奏に回るのでやや音量を控えたほうがよさそうです。
11月9日(水)
リコーダーと調律のこと
 鍵盤楽器や弦楽器の場合と違って、リコーダー・アンサンブルをやる際に調律或いは調整法にこだわる意味はないと思っています。和音が合ったり合わなかったりの感じは特定の調整法の枠にははまっていない気がします。平均律に耳慣れているのでそれに近い音を出しているかもしれませんが、長三和音の伸ばしのような時は純正になるよう皆意識しています。中音のときはかなり低めにするので気苦労です。楽器の低音部だと調整が効かなくなるので編曲の際には気をつける必要がありそうです。又、二人が中音を出すとお互いの調整をうまくやらないと濁った和音になる危険度が増すことも経験的に判りました。和声理論の上では中音の重ねは極力避けると知ってはいましたが、実践上の意味はこの頃ようやく理解できたのんきな私です。
 MIDIは平均律です。他の調整法もやれないことはありませんが、加工がやたらと面倒です。それに12音を12のチャンネルに分けるのでステレオ効果が使えなくなります。ネット上ではチェンバロでこの手を使っている場合がありますが、リコーダー・アンサンブルには全く不向きですのでやってみようとは思いません。MP3にするならばもう少し楽な手があるのですが、音色が歪んでしまう欠点があって採用不可です(歪みの補正法は全くわかりません)。編曲コーナーに出すわけにはいかないのでそのうちここでサンプルを公開してみようとも考えましたが、正直言って聴き栄えがしないのでためらっています。
11月8日(火)
今日は旅行から帰ったばかりなので更新その他はありません。京都、奈良と回りましたが、奈良ではガンバ奏者の坂本利文夫妻のお宅にお邪魔しました。お二人とも気さくな方々でとても楽しいひと時でした。面白そうな譜面をコピーさせていただいたので何とかリコーダー向きに仕立てたいと思います。
今週はモーツァルトのKV387の第3楽章を出そうと思います。ここまできたら全部やるしかないでしょう。それがすんだらフローベルガーに戻るつもりです。
11月5日(金)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第14番KV387の第4楽章を入れました。今日の空いた時間をフル活用して作りました。第3楽章はやっかいなので後回しです。第4楽章はフーガとソナタ形式が結合した見事な作品になっています。フーガ・ブロックとそれ以外の部分では完全に書式が異なっているのが特徴です。スラーの書き込みなどはまるで違います。フーガ部分だけつなげると完全な二重フーガになります。フーガはテンポをあまり揺らす必要がないので速度変化はほんのわずかで済みますからMIDI作りの労力は多少軽減できました。
 第3主題というか結尾主題はモーツァルトらしい簡明さです。再現部の方の処理に悩んだ末にバスとアルトにまかせました。どうせソプラノにやらせられないならいっそ極端に組み替えた方が面白かろうと思いました。MIDIで聴いてみるとそれなりにうまく行ったようです。この楽章はバスが比較的脇役なので一箇所位主役を張ってもいいでしょう。
(更新)今週のMP3」を差し替えました。今回はフローベルガーのファンタジア第5番です。他の曲を差し置いてという感じですが、ゆったりした曲は8フィートがしっくりくる代表の意味で早目に出しました。4フィートだと明るすぎて曲に合わないんですよね。
 なお、更新の度にそれまでのMP3は各譜面のほうへ移しています。そのため、この更新履歴のリンクもその都度変更していますので以前のものをクリックすると各曲のほうへ行くようにしてあります。
 本当は来週に差し替えるものですが、実は明日5日が練習で、6−8日は旅行に行っておりますので差し替える余裕がないので早めました。ですから新譜も9日までは入りません。
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第14番KV387の第2楽章を入れました。どうも特定の作曲家の作品をやりだすとそれに集中してしまう傾向があります。それと複数の曲を同時並行的にこなしているのですが、難航しだすとどうも長期化してしまいます。バッハのカンタータのアリアやコラールにも取り組んでいますが、どっか気に入らないところがあってさっぱり進みません。勢い、進みやすいほうを優先してしまうのです。今はモーツアルトがはかどりやすい。
 第2楽章メヌエットです。緩徐楽章を第3楽章に回わすやり方はベートーヴェンにはよくありますが(交響曲第9番とかラズモフスキーの第1番とか)、モーツァルトでは珍しいかもしれません。それはともかくこの譜面を見ると少々げんなりします。この強弱記号の多さは尋常ではありません。入力していた私も幾分へこたれております。第1楽章もそうでしたが、どうもモーツァルトは強弱変化の新機軸を試みているようです。
 編曲作業には大抵どこかに悩みどころが発生するのですが、そういう時には曲の構造を一つ一つの音符レベルまで解体して再構成することもあります。主部後半の3-6小節はチェロから第1ヴァイオリンまで分散和音が上がっていくだけなのですが、全く違う形にしました。それからたまに使う手として高音の旋律パートと中音の伴奏パートをそっくり交換する方法があります。案外、違和感なく響くので原曲と比べないと気づかないかもしれません。トリオの後半でこの手を使っています。以前、「雲雀」の第2楽章を編曲した時にもやりました。ソプラノだとうまくいきそうもない旋律線はアルトにお任せというわけです。
11月3日(木)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第14番KV387の第1楽章を入れました。ハイドン・セットの第1番です。1783年の作品ですから第13番から10年経っています。以前からこの曲はリコーダーに出来ないかと楽譜をよく見ていました。とりあえず、第1楽章だけ完成したので入れておきます。後の楽章もいけそうなのでそのうち全曲版にしようと思っています。さすがに古典派になると譜面作りがやたらと面倒ですね。強弱記号やスラーやスタッカートやら書き込むものが多くなってうんざりします。それにMIDIも細かい表情付けを施さないといけませんからそう簡単にはまいりません(正直言って疲れたぁ)。
 楽譜は基本的に原譜に準じたのでスラーはあまりリコーダー向きではありません。フレーズの区切りマーク位に考えて工夫するしかないでしょう。強弱もリコーダーでは極端に付けることは出来ないのでちょっとした変化で効果を上げる努力が必要になります。
11月1日(火)
(更新)フローべルガーのカンツォーナ第1番を入れました。これも6曲全部入れる予定です。構成法も曲調もカプリッチョに似ているので続きのつもりでかまわないでしょう。この第1番は3部構成です。実は第3部はカプリッチョ第11番と全く同じです。カプリッチョの中でこの曲は1ブロックしかない特殊な構成を持っていました。カンツォーナ第1番が原曲で、その一部がカプリッチョ・シリーズに混入してしまった可能性もあるでしょう。
バッハのプレリュードとフーガ変ホ長調BWV552のこと
 バッハ生誕300年に当たった1985年の夏、たまたまヨーロッパに滞在していました。ほとんど無目的に放浪していたのですが、あちこちの教会でオルガン・コンサートがあり、どうした加減かこの曲を三度位聴くことが出来ました(リューベックとコペンハーゲンは覚えていますがあと一箇所は忘れました)。そんなことで記憶に焼きついていた曲です。プレリュードもフーガも雄大な作品ですのでそれぞれ独立した曲として扱うことが可能です。
 プレリュードは完全に別々の動機とリズムによる三つの単位から構成され、8ブロックに分かれています。

 主部(1)-中間部(1)-主部(2)-フーガ(1)-主部(3)-中間部(2)-フーガ(2)-主部(4)

主部(1)(4)は全く同じ(最初の1小節を除く)で完全な再帰形です。主部が中間部やフーガに全く影響しないことからリトルネロ形式の変種とも見ることが出来ます。主部はオルガンで聞いていると気になりませんが、案外音が薄いのでリコーダーにそのまま移すと物足りなく感じてしまいます。それに中間部の個性的なペダル音もバスだけではさっぱり意気が上がりません。ここはやはりFバスで低音を強化しないとやる気が起きないでしょう。ですが、ペダル・パートはフーガ(1)で完全に沈黙してしまうという具合で、せっかく参加してもお休みばかり(しかも二人)で面白くありません。そこでバス1やテノールの長い走句の補強音をやってもらいました。これでバス1やテノールの息継ぎも楽になったはずです。走句をバス1とバス2で交互に分担させる手も使えるのですが、バス2はFバスと同じ譜面を使うつもりだったのでやめました。
 フーガはリズムもテンポも異なる三つの部分から構成されています。

第1フーガ 4/2  主題1
第2フーガ 6/4  主題2 + 主題1
第3フーガ 12/8 主題3 + 主題1

ここまで極端に代える方式はちょっと他に思い出せません。三つの主題がそれぞれフーガとして提示されるので、一応、三重フーガとされていますが、三つの主題が同時に響くことがないので二つの二重フーガと見た方がよいのではないでしょうか。テンポはコラール風の第1フーガから始まって拍単位が次第に細かくなっていくのでそれに応じて速くしていけばよいでしょう。
 第1、第3フーガは5声ですが、第2フーガはマニュアルのみで4声しかありません。編曲に当たって、プレリュードとあまり編成を代えると変ですのでバス一つをソプラノに代えるだけで済ましました。ここでもペダルのお休みが長いという問題がありますが、プレリュード以上にペダルの有無を無視して使っています。ですから第2フーガなどは4声フーガを5声分にしましたので途中で声部の組み換えをやっています。Fバスもけっこう忙しいでしょう。
 
10月31日(月)
(更新)バッハのカンタータ第75番のシンフォニアを入れました。実は大分前に用意が済んでいたのにすっかり忘れていたのです。元はコラール旋律がトランペットで残りは弦楽合奏です。このカンタータは二部構成になっていてシンフォニアは第2部の巻頭の曲に当たります。弦楽合奏部分はコラールの旋律とは全く関連性がありませんのでコラールのことなど気にせずにとっとこやっていくのがよいでしょう。バスの冒頭のFが決まりにくいのでCバスでやる方が安全かもしれません。
(更新)モーツァルトのピアノ連弾用のフーガKV.401を入れました。KV173で予告していたものです。モーツァルトのピアノ連弾曲は8曲ありますがフーガはこれ一つです。これも厳格な4声体で書かれているのでコンソート向きでしょう。実は一箇所平行8度がありました。連弾譜は左右に分離して書かれているのでスコアを作るまで気づきませんでした。そのままにしようか悩んだのですが、編曲の都合で二つの声部が完全なユニゾンになってしまったのでやむなく一方の旋律線を変更しました。ここだけは私の純粋な創作です。どこなのかは極秘事項とします(原譜と比べればすぐばれますけど)。
 この曲は1782年、彼が26歳の時に作曲されました。この年はモーツァルトがスヴィーテンのサロン・コンサートに頻繁に通い始めた年に当たります。このことを父レオポルトに伝える書簡が1782年4月の日付で残っています。このコンサート用に平均律の曲を弦楽に編曲したりしていますから、このピアノ連弾もコンサートでやる目的で作られたのかもしれません。ピアノとしては平易なので素人でも初見で十分弾けます。
 構造はなかなか凝っていて反行形ありストレッタありと盛りだくさんです。KV173と比べるとさすがにこなれていますが、十分にモーツァルトになり切るには至っていない途上の曲でしょう。コーダの作り方などは10年経ってもそれ程進歩したとも思えません。二つ並べて聴いてみると、どうもモーツァルトのフーガはバッハよりもフローベルガーの影響のほうが強いのではないかという気がします。
10月30日(日)

(更新)フローベルガーのファンタジア第7番第8番を入れました。これにてファンタジア・シリーズは完結です。
第7番は主題に半音階を含むこと、主題の応答に反行形が用いられていること、ストレッタが登場することなどに特徴があります。ファンタジアの中では一番動きがある曲です。第8番は2声の曲です。モーリーのファンタジアと同じですね。最初の全音符を慌ててやると後が苦しくなりますのでご注意を。
フローベルガーのシリーズものはまだあります。次はカンツォーナを予定しています。カプリッチョと難度が同じ位なので少し大変かもしれません。
10月29日(土)
(更新)MP3をバッハのモテット「主に向かって歌え、新しき歌を」BWV225に差し替えました。第1合唱を4フィート、第2合唱を8フィートにしたので単に同音に揃えるより音色の違いが出て効果的だと思います。特に第2部のコラールはゆったりしたコラール旋律を8フィートで、少し賑やかな応答を4フィートでやるのでなかなかよい感じです。
(更新)フローベルガーのファンタジア第6番を入れました。どうということもなくすらすらと推移する曲なので易しいです。かえって少し速めのテンポにしないと間延びしてしまうでしょう。主題に減4度が含まれているのが特徴です
フローベルガーのカプリッチョのこと

 
18曲も同じ形式の曲の譜面を作ったり、音を作ったりしていると、いやでも共通性と同時に一つ一つの個性というか相違点が見えて来ます。主題の作り方やその変形の仕方、拍子の交代など、似ているようでいて意外なほど異なるところを発見したり出来ます。
 彼のカプリッチョはファンタジアやカンツォーナなどとも共通する点が少なからずあります。

1.厳格な4声体書法を取っていること。
2.一つの主題のみを用いて各ブロックごとに主題を変形させていくこと。
3.冒頭の拍子は常に4/4。続くブロックでは他に3/4、12/8、3/2、稀に6/4が使われること。
4.ブロック最後の装飾的なカデンツは必ず4/4に戻ること。

同時にカプリッチョは音形が器楽的であるのが特徴です。トッカータほど顕著ではありませんが、鍵盤楽器独特の書法もあちこちに見られます。リコーダーでやる場合、この辺りが難度を高くしているようです。楽譜紹介では18曲一まとめにして一つ一つの曲のことは書いていませんのでこの場を借りて簡単に構成を一覧にしておきます。全部構成が違っているのはちょっと驚きです。曲選びの目安にはなると思います。

番号 調性 ブロックの拍子(括弧内はカデンツ。
-がある時は終止せず連続している)
主な特徴
No.1
G major
4/4 4/4 3/4(4/4) 4/4
3/4が緩になり、急急緩急になる。構成もわかり易く極端に難しいところもないのでやり易いでしょう。
No.2
A minor
4/4 3/4(4/4) 4/4 12/8(4/4) 4/4 3/4
  
ブロックが6つと多い。三つの4/4ブロックが活発で後はゆったり。急緩急緩急緩と環が三つもあるので全体におだやかな雰囲気になっている。3拍子で終わるのはこの曲だけ。
No.3
D minor
4/4 3/2(4/4) 12/8(4/4) 4/4
4/4が活発で中の二つが緩やかという形。カデンツがどれも念入りなので少々難しい。特にバスは気合が入るでしょう。急緩緩急。
No.4
F
4/4 4/4 12/8(4/4)
主題は分散和音型。ブロック三つと少ないがカデンツはどれも念入りでしかも曲調は全体に速いので気が短い人向き。
No.5
G minor
4/4 3/4(4/4) 4/4
これまた3ブロックしかない小さな曲。No.4より短い。急緩急のソナタにしてもあっさりし過ぎかもしれない。珍しく平易な曲。
No.6
G
4/4 4/4−3/4(4/4) 4/4
半音階主題。この種の主題は活発にやり難いのか全体におとなしい。第1ブロックは上昇形、第2ブロックは下降形、第4ブロックは上昇+下降になっていて機能的な構成である。
No.7
G major
4/4 3/4(4/4) 4/4 4/4−12/8(4/4) 4/4
久々に大曲。3拍子ブロックも動きが多い。第4ブロックの付点16分音符がやり難く、最後のカデンツも難関という難度の高さ。第6ブロックはストレッタを使っているのが特徴。
No.8
C minor
4/4 4/4−12/8(4/4) 4/4
半音階主題。No.6と違ってこちらは動きが多いが構成は似ている。それでも主題としては単調になるのはやむなしか。第1、4ブロックが下降形で第2.3ブロックが下降+上昇形。第4ブロックは速くやると収拾が付かなくなるのでやや遅めが最適。
No.9
G major
4/4−3/2(4/4)−12/8(4/4)−4/4 4/4
ここまでで一番長い曲。しかも各ブロックが終わりそうで終わらずつながっているので相当スタミナがいる。3/2の他は気が抜けない。第4ブロックはあわせるのが至難でしょう。第5ブロックは対主題付き。難度は高いけれどやりがいもあり。主題の変化が乏しいのが少し残念。
No.10
D
4/4−3/4(4/4) 4/4−12/8(4/4) 4/4
いきなり忙しく始まる。この曲は途中から3声2声で動くところが多く、珍しく4声体にこだわっていない。誰かしら休みがあるのがむしろ嬉しいくらい大変な曲。3/4では主題の音価が倍になっているだけなので3拍子らしく聞こえない。第5ブロックは対主題付きで反行形まである。難しいです。
No.11
D
4/4
ブロック一つ。主題が調性的にあいまいなので始終不安になる不思議な曲。最後のカデンツが難関で短くても易しくはない。
No.12
F major
4/4−3/2(4/4)−4/4 12/8(4/4) 4/4 4/4
全体の構成はNo.9に似ている。規模はこの曲が最大。しかし調性のせいか音形はやり易い。第5ブロックが難関。第2、5ブロックがストレッタ。第6ブロックは対主題付き。
No.13
E
4/4−4/4
No.11同様とても短い。主題の調性が不安定なのも似ている。長調なのか? 短調なのか? 最後のカデンツをどうするかが勝負でしょう。
No.14
E
4/4 4/4 3/4(4/4) 12/8(4/4)
久々に半音階主題。冒頭は全音階的なふし付きなので長調短調の合成に聞こえる。第2ブロックは対主題付き。肝心の主題がNo.8冒頭と同じになっているのが少し残念。ソプラノが頑張ればなんとかなる曲。
No.15
F major
4/4 3/2(4/4)−6/4(4/4) 4/4
主題が明快でカデンツも凝っていないので実に合わせ易い。全く悩みなし。6/4という珍しい拍子が出てきますが、3/4に聞こえてしまって3/2との対比がやや弱い。
No.16
F major
4/4 3/4(2/2) 2/2 2/2
2/2が出てきますが、4/4と内容的差異はありません。第3ブロックの主題は半音階に変えられているのが最大の特徴。しかもAsGis、EsDisの異名同音まで登場する。ミーン・トーンで響きを確かめたくなる曲です。平易なのでやる価値あり。
No.17
A minor
4/4 3/2(4/4) 12/8(4/4) 4/4
冒頭主題がバッハのカプリッチョを連想する。取ったかも。第3ブロックは主題が順行形と反行形で登場する。第4ブロックは対主題付き。カデンツも忙しいのは常に一人なのでややこしくならず合わせやすい。
No,18
C major
4/4 3/4(4/4)−12/8(2/2)−2/2
主題の雰囲気も曲調もNo.2の途中までとよく似ている。第4ブロックは対主題付き。最後のカデンツが賑やかですがおちついてやれば難しくないはずです。

10月28日(金)
(更新)フローべルガーのファンタジア第5番を入れました。ファンタジアは大体まったり系の曲種ですが、この曲はとりわけ波風がない(16分音符が全くない)ので8フィート向きだと思います。MIDIも8フィートにしました。和音の響き具合を楽しむ気持ちで臨んだ方がいいでしょう。
(更新)バッハのモテット「霊はわれらの弱さを助けたまう」BWV226の後半の2曲を4声にしたMIDIを入れました。この曲は4声で進行する部分が長いので8声だと少し賑やか過ぎて判りづらいところがあります。この方が各声部を聞き取るのによいと思います。
シューマンの「子供の情景」のこと

 10年程前の編曲です。ピアノ曲というとベートーヴェン、リスト、ドビュッシー、シェーンベルクしか興味がない視野の狭い私ですが、この曲集にはちょっとした思い入れがあります。
 吉田秀和に「ベートーヴェンを求めて」という著書があります。一時期、愛読書にしていてロマン・ロランの「ベートーヴェン研究」とセットで読みふけっておりました。主に楽曲分析、動機処理を扱っているのですが、吉田秀和は著書の中でこの種の分析法を「レティ」から学んだと書いています。私はこの「レティ」なる人物について寡聞にもそれまで知らなかったので、「ハテ、何者かいな?」と調べてみたのですが、当時は彼の著書の邦訳もなく大まかな知識を得るに止まりました。1995年に至って彼の「名曲の旋律学」が出版されたのでようやく彼の方法論に触れることが出来たわけです。そしてその巻頭の分析対象がシューマンの「子供の情景」だったのです。
 彼の主張を一言でいうと「統一した楽曲では一つの動機が同形でかつ同一音程で出現するように構成されている」としていいと思います。そのため、同一音形をかなり強引に導き出そうとしていることが多く、その分析はかなり過激で全面的に納得できるわけではありません。ですが、「子供の情景」の分析は(この作品に限定すれば)圧巻で十分納得がいくものでした。
 「子供の情景」を編曲してみたくなった背景にレティの分析を読んだ記憶があったのは事実で、編曲の過程で分析の追試を色々試みました。そこで判ったことはシューマンが実に綿密な動機処理を行ってこの曲集を纏め上げている事実でした。全曲、中にはリコーダーで出来そうもないものまで編曲してしまったのは主にシューマンの構成を壊したくなかったからです。
 「子供の情景」は第1曲「知らない国々と人々」の冒頭旋律、 <H G Fis E D> で全ての曲が作られています。

 第2曲「珍しいお話」 冒頭はニ長調に移調した形でかつリズムを変形してそのまま出現します。
 第3曲「鬼ごっこ」 ロ短調ですが、冒頭で元の音程のまま使われています。
 第4曲「おねだり」 ニ長調なのですが、ここでも冒頭で元の音程のまま出てきます。
 第5曲「満足」 「おねだり」のリズムを継承した上で動機は少々変形されていますが確認は簡単です。
 第6曲「大事件」 動機の最初の2音が和音化して<Cis・A→G→Fis>になっています。リズムは第1曲と同じです。
 第7曲「トロイメライ」 最も変形された曲ですが、2小節目、6小節目あたりを睨んでいると動機が透けて見えてきます。
 第8曲「炉辺で」 冒頭に素直に出てくるので判りやすい。
 第9曲「木馬の騎士」 一番見えにくい曲。冒頭右手の中に<C→A→G→F>の形で潜んでいます。
 第10曲「むきになって」 嬰ロ短調に移して<Dis→H→Ais→Gis>になっています。
 第11曲「おどかし」 最初の2音が4度音程になっていますが見つけるのは簡単です。
 第12曲「子供は眠る」 9小節目から中間部にはっきり出てきます。
 第13曲「詩人のお話」 冒頭にも中間のカデンツにも見て取れます。

 とまぁ、こんな具合です。更に細かく見ていくと面白いのですが、それはここでは出来ません。レティの方法論は一部で高い評価を受けつつ、「音楽そのものから離れすぎ」と敬遠する人が多いのもよくわかります。私は大好きなのですが。

 編曲のねらいはそんなところなので実践向きな曲ばかりではありません。MIDIのテンポはあくまで理想ですので、第3曲「鬼ごっこ」、第9曲「木馬の騎士」や第11曲「おどかし」の一部をこのテンポで実践するのは至難でしょう。実際にやってみるとテンポを遅めに取れば、出来ないことはありません。それでも「鬼ごっこ」はなかなか気分が出ませんでした。私どもで演奏会に上げるのは無理そうです。
10月27日(木)
(更新)モーツァルトの弦楽四重奏曲第13番二短調の第4楽章を入れました。モーツァルトのフーガというと「ジュピター」の第4楽章とか「魔笛」の序曲とかをすぐに思い浮かべますが、後期のフーガはかなりこなれてしまっていてモーツァルトそのものになり切っています。この弦楽四重奏曲は1773年、彼が17歳の時の作品でまだ厳格な4声体書法に縛られている感じです。かえってその方がリコーダーにはいいんですが。それにしても17歳でこれだけの曲を書くんですからやはりすごい人ですなぁ。
 モーツァルトのバッハ受容というとすぐにスヴィーテンの影響を思い浮かべますが、スヴィーテンのヴィーン着任は1777年ですのでこの作品とは無関係です。モーツァルトにはあまり詳しくないのでどんな経緯でこのような曲が生まれたのかは判りません。彼の弦楽四重奏曲を一番から順に聴いていくとここに至って唐突にフーガが出てくるのでとても不思議な気持ちになります。
 モーツァルトにはピアノ連弾曲にも厳格な4声体のフーガがあるのでそちらも挑戦したいと思います。
浪漫座〜ツィンマーマンの夢〜のこと

 以前、BBSに書きましたが、9月17日に佐賀県佐賀市の歴史民俗館で1人コンサートをやりました。ここは旧古賀銀行の建物で外装は煉瓦作り、内装は木造西洋作りでとても素晴らしいものです。大正時代のモガ・モボの格好がよく似合う雰囲気があって音響もほどほどでなかなかなものです。その一階が「浪漫座」というレストラン・カフェになっています。マスター(角田さん)の尽力で長いことコンサートを催してきたそうですが、今年〔2005年)から才能ある若者に場を提供しようと『ツィンマーマンの夢』という企画を立ち上げました。運営は佐賀大学の学生たちが有志でやっています。9月は第3回ということで4団体の一つに何故か若くもない私も出ることになりました。一団体40分持ちなので少々キツイ。
 それほどネタが豊富な身分ではありませんのでプログラムは次のようにしました。

(1)ファン・アイク「ナイチンゲール」(ソプラニーノ)
(2)ファン・アイク「涙のパヴァーヌ」(ソプラノ)
(3)ダニエル・ブラウン「無伴奏小曲集」から5曲(アルト)
(4)セバスティアン・バッハ「無伴奏チェロ組曲第2番」〔アルト)

 40分では少し多めなので繰り返しは全部なしでやることにしましたが、当日にマスターとおしゃべりをしていた時にバッハとコレギウム・ムジクムの話を入れて欲しいと注文を貰ってしまい、益々時間がなくなってしまったので最後のバッハはプレリュード・アルマンド・ジーグだけで後は省略することになりました。少し湿気が多かったせいかサムホールの操作がやりにくくて高音の跳躍がうまくいかず困りましたが実力から言ってまぁこんなものでしょう。心臓に悪い企画ですが、得難い機会でしたので自分なりにに十分楽しめました。
 佐賀大学のコーラス・グループの面々やギター弾き語りをやった友納さんなど若い人たちが頑張っている姿はとても清清しくておしゃべりの方も十分楽しんだのでこちらも少しは若返った気がします。
 鑑賞に堪えるとは思えませんが、サンプルということでダニエル・ブラウンのアルマンドを入れておきます。演奏より響き具合の方に注目してください。
10月26日(水)
(更新)バッハカンタータ第182番を入れました。バッハのカンタータの中でも最も有名な曲の一つですのでどうしても編曲したかったものです。原曲は4声合唱+リコーダー+弦楽+通奏低音ですが、グループの人数やらなにやらを考慮して6本版にしました。SATBは基本的に合唱パートをやっていますが時折合唱がお休みで弦楽だけのところはそちらにも回っていますから休む暇はほとんどありません。
 全体的に難しくはありませんが、第7曲のコラールは冒頭のテンポ取りを速くすると後が忙しくなって大混乱に陥る危険性がありますし、遅くするとソプラニーノとソプラノが眠ってしまう危険性がありますのでなかなか微妙です。この曲は声部数で言うと4声で済んでしまうのですが、通してやることを想定して6本参加の形にしてあります。12月のコンサートでは大事を取ってこの曲は省くことにしました。
 ヴァイマル・カンタータは佳品が多いので他にもやってみたい曲があります。そのうち挑戦するつもりです。
パーミュテーション・フーガ(Permutation Fugue)のこと

 バッハのカンタータにあるフーガを紹介するのは今回が初めてですのでパーミュテーション・フーガについて触れておきたいと思います。
 バッハのフーガは変幻自在で特定の型に収まりきれるものではありません。平均律のフーガの魅力もその多彩さに負うところが大きいのではないでしょうか。そうは言っても使用する楽器の違いや編成の違いによってある程度のパターンの違いがあることはチェンバロ用とオルガン用のフーガを聞き比べるだけでも肯けると思います。そしてカンタータの合唱に使われる典型的な形式がこのパーミュテーション・フーガなのです。
 パーミュテーションは普通「順列」と訳されるのですが、「順列フーガ」とは一体何なのか? 実のところ、日本語のバッハ関連書で名前は出てきてもその内容を解説したものが見当たらないのが実情です。私はヴォルフが編纂した"The World of theBach Cantatas -Early sacred Cantatas"の英訳本を読んでいて初めてこの言葉にぶつかりました(P.90、今では邦訳が出ています)。簡単な説明があったのですが、(1)カノン風の形式であること、(2)バッハの独自の創造であること、程度しか判らず(そもそもどう訳すかも判らなかった)「何じゃこれは?」と考え込んでしまったのでした。対主題付きのフーガとの違いが飲み込めなかったのです。国内文献を漁っても要領を得ないので、結局カンタータのスコアを見ながらひたすらCDを聴いて考えた結果、大体のことを掴むことが出来ました。
 フーガの主題をTとします。第2声部がTを始めると第1声部はUを奏します。第3声部がTを始めると第2声部がUを、第1声部がVを奏します。4声ならば、第4声部がTを始めた時点で他の声部はUVWを奏していることになり、以後は同じ4つの旋律を各声部がカノンのように奏し続けることが出来ます。図解するとこんな具合です。

第1声部 T U V W T U V W
第2声部    T U V W T U V
第3声部      T U V W T U
第4声部         T U V W T

このまま続けていくと同じことの繰り返しになりますからある程度のところで少し味付けを変えていくのですが、この基本形をパーミュテーション・フーガといいます。通常のカノンと異なるのはフーガの場合、応答主題が調的変形を受けることがあるので厳密なカノンにはならないことです。ですが、第3声部は又提示主題に戻るので第1声部と第3声部どうしならば完全にカノンを形成します。
 カンタータ第182番第2曲は典型的なパーミュテーション・フーガなので例にします。この曲ではソプラノから主題が始まって1小節ごとに声部が加わります。そしてソプラノとテノール、アルトとバスはそれぞれ完全なカノンになっています。9小節目にリコーダーが入るまで上の図解通りに8小節間続きます。リコーダーの入りと同時にパーミュテーションは終わります。他のカンタータの例では、第21番「わが心には憂い多かりき」の最終曲、第50番「今や救いと力が現れたり」などを挙げることが出来ます。使用例はとても多いので幾らでも発見出来るでしょう。
 この形式が判ると逆に使っていない曲種にも気づきます。合唱曲でも二つの受難曲、ロ短調ミサには使われていません。モテットもどうやら使っていないようです。器楽曲ではまずあり得ないと思ったのですが、なんとブランデンブルク協奏曲第4番の第3楽章がパーミュテーション・フーガでした(私の判断なので異論はあるかもしれません)。おそらく唯一の例だと思います。
 パーミュテーション・フーガの知識があってもリコーダー・アンサンブルには関係ありませんが、曲を紹介したついでに構造面に触れておくのも何かの足しになるかもしれません。
4台のチェンバロのための協奏曲BWV1065のこと

 12月のコンサートにやるので鋭意練習中の曲です。この曲は既に北御門さんがヴィヴァルディの原曲を4本のアルトとバス用に編曲したものが市販されています。大分前にその譜面で練習したこともあります。それはそれでいいのですが、ヴィヴァルディをやる時に常に問題になるのが「音の薄さ」なんですね。独奏用協奏曲はもちろんですが、この曲でもトゥッティを除くと大部分がソロばっかりで他は伴奏に回るか完全にお休みかどっちかなのです。4本もソロがあるのにこれなら2本で間に合ってしまいます。これではつまらない。そこでバッハの出番となったわけです。
 バッハの編曲は実に個性的なのですが、主に次のような特徴があります。

1.原曲の完全なソロ部分に他の3本のソロ楽器に旋律的な伴奏を追加していること。第1楽章を例に取ると、28小節以下、59小節以下にその方法が取られています。特に後者では元の旋律線が隠れてしまう位、加筆旋律が頑張っています。私の編曲では弦楽器の伴奏音形まで加えてしまったのでなおさらです。それから101小節以下は元々4本のユニゾンですが四つの旋律に書き分けています。
2.中低音音形の旋律化。或いは追加。これも59小節以下が顕著で、ソロ・パート以上にバス・パートのほうが難しくなっていますし、全体にテノール・パートの役割が重要になっています。テノールに回した音形はほとんどがチェンバロの左手部分なのですが、ほとんどバッハの創作したものばかりです。トゥッティの末尾には特に念入りな加筆が施されています(9小節以下、16小節以下、26小節以下など)。
3.同一音形の変奏処理。86小節以下に同じ和声進行が都合6回現れます。元はどれも同じ旋律の繰り返しですが、バッハは全て異なったものに代えて都合6個の変奏にしています。特に93小節以下のアルト4には原曲からは思いもよらない旋律が登場します。
4.トゥッティ・パートの拡充。ヴィヴァルディはソロ部分でトゥッティ・パートが全く沈黙します。彼の場合、ソロとトゥッティは「合奏と室内楽の対比」という考えがあるのでそれはそれで理解できますが、バッハの場合は「合奏の中のソロ」のやり方を取っているのでトゥッティ・パートがソロ部分にも進出してきます。

 とまぁ、こんな具合なのでバッハ版では必然的に音がやたらと多くなります。それにチェンバロが4台ともなるとそれだけで十分にやかましいので「何をやってるかわからん」という不評も出てくる次第です。ですが、使える音が多いことはリコーダー編曲にとって不都合ではありません。欲しい音をあちこちから拾って6本に纏め上げる作業は実に楽しいものでした。4つのソロ・パートはほぼそのまま移し替えていますが、他のパートから持ち込んだ音も多いので役割は随時変動します。編曲は元とは別物ではありますが、吹く時にはそのことを少しは考慮したほうが良いかもしれません。
10月25日(火)
(更新)フローベルガーファンタジアは全8曲なのでこれで半分終了しました。第4番は"Sol, La, Re."動機と"Lascia fare mi."動機の二つから構成されています。"Lascia fare mi."は「私を放っておいて」とか「私に任せろ」とかの意味だそうです。音名を使ったシャレと言ったところでしょうか。曲は二部構成で多少あっさりし過ぎに感じます。なるべくテンポを早めにしてとっとこやったほうがいいでしょう。
(更新)バッハの平均律第2巻から変ロ短調のフーガを入れました。10年位前に作ったのですが、あまり好評は得られなかった無念な曲です。ハ短調に移していますがそれでも途中にフラットが多くなるし、指使いも厄介なのでやむなしというところです。内容的には反行形を伴う典型的なストレッタ・フーガで実に見事な作品です。主題の出現順は次の通りです。

1.主題の提示             A→S→B→T
2.順行形のストレッタ         T+A → S+B
3.反行形の提示            T→A→S→B
4.反行形のストレッタ         T+S → A+B
5.順行形と反行形のストレッタ    S(I)+T(R) → B(R)+A(I)
6.順行形と反行形の4重ストレッタ  S・A(R)+T・B(I)

主題の処理を明確にするには他の部分とはっきり区別出来るアーティキュレーションを決めて音量的にも少し強めにするとかの工夫が必要だと思います。リヒテルの演奏がとても参考になります(テンポは遅めでしたけど)。MIDIでは4分音符のほとんどにメゾ・スタッカートをかけてテンポは幾分速すぎる位にしています。音量調整はしませんでした。MIDIだとやや作りすぎに聞こえてしまいます。
10月24日(月)
(更新)バッハの平均律第1巻から嬰ニ短調のフーガを入れました。三本ものはこれが初めてです。高校時代から「平均律」と「フーガの技法」はフーガ技法の教科書だったのでかなり古馴染みな曲です。「主題の拡大形と反行形を伴うストレッタ・フーガ」とでもいうのでしょうが、「リズム変形主題」というほかでは見かけない独特な形が出てくるのが特徴です。この形は「フーガの技法」では目立った使い方をしていない(No.3 No.4に少しあるのみ)ので代表例と言えるでしょう。
バーチャル・リコーダー・コンソート

 現実にコンソート用の曲を作る場合、いろんな条件を満たすために苦慮するのですが、MIDI作りだけを目的にするならそうした制約は全くありませんから純粋にリコーダーで鳴らしてみたい曲をそのままコンソート調に仕立てることができます。あちこちのサイトに紹介されているMIDIを使えば、どんな曲でもすぐに現実には不可能なバーチャル・リコーダー・コンソートになってしまいます。でもこれは公にすると盗作になりますから私の内輪の楽しみです。そこで自作を一つ紹介します。リコーダー向きなのに編曲しようとするとどうしても無理が出てしまう曲ということでバッハの「フーガの技法」のコントラプンクトゥス第8番です。
10月23日(日)
(更新)フローベルガーファンタジア第3番を入れました。カプリッチョからシリーズ化しているので作成はほとんど機械的に出来るので至って楽チン。MIDIもrit.の加減と最後のちょっとした間の取り方に気を使えばよいだけなので既に慣れっこになりました。フローベルガーは鍵盤曲でも厳格な4声体書式を取っているので実にリコーダー向きです。スヴェーリンクなどではなかなかこうは行きません。トムキンスBarafostusなどは4声中心ですがかなりの部分が3声です。1人ぼさっとしているのはつまらないので少々旋律を追加したりしています。今聞いてみると少しやりすぎとも感じますが野心的とか意欲的とか善意に解釈してください。そのうち、フレスコバルディもやってみたいのですが、トムキンスばりに加筆を要するのではないかと見ています。
倉庫について

 
MIDI、PDF、あげくに容量を食うMP3をネット上に置く格納する倉庫はメンバーのmonitorgold氏が提供してくれています。一応説明は受けたのですが、どういう仕組みになっているのかはさっぱりわかりません。とにかく容量は莫大だそうなので心おきなく放り込んでおります。MP3は既にMIDIがあれば作成方法は簡単なのですが、時間を食いますので一週間一曲ペースで入れ替えています。当初は容量不足を心配してそうしたのですが、この形のまま維持していこうと思います。
表紙のBGMのこと

 A.ストリッジョの5声の「ラ・カッチャ」は今のところエオリアンのオープニング曲の座にあります。譜面はマールブルクで活動している"Canticum Antiquum"というコーラス・グループのHP(http://www.canticum-antiquum.de/scores/scores.html)にPDFで紹介されています。Basso氏が見つけてパート譜を作りました。練習の冒頭にこの曲をやると妙に音が寄ってくるので音合わせにもってこいです。
10月22日(土)
(更新)MP3の差し替えをしました。今回は五色鶸」の第2楽章です。原曲はソロと通奏低音だけですが、Basso氏が中声部を加筆しております。MIDI段階でシチリアーナのリズムをどう表現するか考えたのですが、正直なところもう少し工夫しないと硬いかなと思っております。比較的初期の加工なのですがもう一度やり直すのは気が重いのでそのままMP3にしてしまいました。

MIDI作成のこと

 ”SOL2”で加工しています。譜面自体は"Finale"で作成し、そこからMIDIに落として加工しますが、もっぱらリコーダー・アンサンブルばかりなので処理パターンはさほど代える必要がないので楽といえば楽です。主なところではVolumemain Volumeも100、Effect1(残響効果)を最大の127に設定しています。それ以外の効果は加えていませんがそれ以上の必要はなさそうです。後、expressionを127に設定しています。これは特に効果上は不要なのですが、他の曲でexpressionを動かしている場合があると次の曲に影響してしまうので加えています。当初はそのことに気づかずに処理していたので初期のMIDIではうっかりすると前の曲の効果が残存してしまうこともありますのでご注意ください。
 Gate time(音符を伸ばす長さ)は曲の性格によって変えています。100%だと音がつながり過ぎてタンギングの感じが出ないのでスラーを強調するときを除いては使いません。コラールみたいなゆったりした曲は95%、活発な曲では90%を基準にしています。それ以上に強調するときはスタッカートやメゾ・スタッカートを加えて随時加工しています。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第4番第2楽章などはほぼ全体にスタッカートをかけたので平均Gate timeは45%位かもしれません。
 Panは当然ながら声部数や曲の形態でその都度決めています。0〜127に割り振るのですが、せっかくPanにするなら目立つようにしないとつまらないのでかなり極端にしています。4声なら Soprano = 19, Alto = 49, Tenor = 79, Bass = 109 にしています。バッハの8声のモテットでは二つのブロックの高音を両端に持っていって中央に双方の低音がきてシンメトリーの形にしています。
 まだMIDI作成の初心者ですのでこの程度で事足りています。



  これまで更新のたびにBBSに書き込んできましたが、これから(2005年10月
  22日)はこちらに記載することにしました。とりあえず日記風にするつもりですの
  でよろしくお願いします。
  仲間から「読みにくい」と指摘されてしまいましたので枠に入れてみました。
  

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